「キングオブすれ違いコント」感想文

この記事では、水曜日のダウンタウン内の一企画「キングオブすれ違いコント」の感想文をお送りする。

「キングオブすれ違いコント」とは「すれ違いコント、今ならしれっと自分のものにできる説」の検証のために開かれた大会(?)であり、大会理念は「空いたあの枠を狙え!」である。

なお、制作局がTBSであるため、劇画調のファイナリストのイラストや、暗室での意気込みインタビューなど、キングオブコントと演出が酷似しているのも特徴である。

 

一週間経ったとはいえネタバレは不可避であることには注意していただきたい

 

「蚊を殺した」、蚊を殺しただけの東ブクロ。ちょっとした聞き間違いで、森田が大パニックに………

勘違いの結果、パニックになっていく森田と、普通のことを言っているだけの東ブクロの対比は、さらばらしさ全開。人を殺してしまったかすれ違うという意味では「殺しちゃった…」に近くもあり、話を聞いてないがゆえにすれ違うのは「車と彼女」に近くもある。

「黙々と編集していたのに部屋入ってきたから殺した」で展開的にも物理的にも動きを作ってくるのはさすがだが、劇団ひとりの言う通り新しい情報は少なかったかも。

また、勘違いに入るまでのフリも相当長い。この辺りは、「のぞきと警官」や「障子をへだてて」などは非常にコンパクトにまとめているアンジャッシュの凄さが相対的に滲み出た結果となった。

 

「裏カジノの面接」。アンジャッシュで面接、という設定を見ると「万引き犯と面接」のコントを思い出す。が、ガッツリ犯罪が絡む主題は「相席」を思い出す。

また、鈴木もぐらの後々小声でツッコミを足すスタイルには渡部の影が見えたりも。というか、鈴木もぐらのツッコミっていうのがあまりに新鮮。

中身は、あまりにリアリティのある「裏カジノで働こうとする借金が凄いおじさん」という設定を筆頭に「カンボジアカローラの偽物を作らされる」というアウトローなワードで空気階段のよる味付けが足されたコント。オリジナリティや笑いの量ではさらばより大きかったが、「どちらも常識人(ボケていない)なのに状況が面白くなる」という理想的なすれ違いコント像、アンジャッシュ像からは遠のいていた気が。

 

「すれ違いのワルツ」、生きているものを見るとすれ違いざまに骨を抜きたくなる男。

最初に決勝進出(?)しているのを知ったときは、「すれ違いコント枠」じゃなくて「企画クラッシャー枠」だと思ったが、「すれ違い」というキーワードを踏襲したうえで破壊する点や、後半で「ワルツ」の意味がハッキリするなど、意外と知的なネタ展開。アンジャッシュの隠し味は確かにあった………が「キングオブすれ違いコント」という競技に「隠し味」で勝てるはずないだろ!

 

  • あとがき

エンタ世代の自分としては、アンジャッシュのすごさを感じずにはいられない。アンジャッシュの恐ろしいところは、「アンジャッシュみたい」という一つの形容詞ができるまで、とことん「すれ違いコント」を突き詰め続けたところにある。アンジャッシュは「すれ違いコント」以外のネタをほとんど持っていない*1。そこまですれ違いを極めたからこそ、コンパクトなフリのネタを作ったり、FAXや電子メールなどのツールを取り入れたすれ違いコントが作れるのだろう。

番組内で冗談半分に言われていたが、もし第2回があるのなら、それはアンジャッシュの復帰戦としてほしい、と、切に願う。

*1:オンバトド初期の頃はベーシックに児嶋がボケて渡部がツッコミを入れるネタをやっていた