年末年始に見た、きちんと記録したいお笑いネタ12選

どうも、こんばんは、オルソンです。

 

みなさん、年末年始いかがお過ごしでしょうか?いつもと代わり映えない君もそうでない君もポケモン言えるかなに挑戦だ!…じゃなくてですね、年末年始というのは良いんですよ。何が良いってね、ネタ番組を毎日やってくれんの。毎日よ、毎日。週1とかじゃなくて毎日やるの。で、まあそうなると感想でもガンガン書いて行きたいところでしたが、全部のネタ番組の全部の感想書いているとそれだけで2018年が終わってしまうわけです。そこで!今回は「みんなに知らせたい」、「個人的に記録しておきたい」お笑いネタを12本選んで、感想を記事にすることにしました。以下、感想です。

 

ある小洒落たレストランで料理を注文しようとしたが、料理の名前がめちゃくちゃ長い…という本当にただそれだけで5分繋いでいるネタ。「トツギーノ」なんかで売れた時は「シュール」、「本人も本人のファンって言ってる人もスカしてる」と言われていたような気がするが、近年(と言っても、もう7年くらい前からの流れ)のコントは「オリンピックで100m2秒台を出してしまった男」とか「異常にルールが長いカードゲーム」とか、いい感じに丸くなっている。今回のコントも「フランス料理屋のメニューの長さ」というかなりベタな部分から作られたコントだ。そんなバカリズムがどこで腕を魅せるかといえば中盤以降のボケだ。面白い設定とIPPONグランプリに何度も優勝したほどの高い大喜利力から放たれる面白いボケ、そして高い演技力が組み合わさり最強に見えるのがバカリズムのコントだ。今回のコントも「逆手に取った」「心意気で臨んだ」「オマール海老のオマール部分をすり潰した時のオマール音」など本筋から少しズラしたボケが非常に巧いし、グラスが「空気を作るための小道具」以上の使い方されたシーンはちょっと感動すらしたし、(何でもアリなんじゃないか…)とこっちが思い始めたタイミングで本当に何でもアリになる二品目、三品目も良かった。オチがああいうことになるのも予想がつくが、ああいうことにする上でどの品で行くかも結構考えてるはずだ。

元がベタなだけにキッチリと調理してきたバカリズムの脅威。本人に出る気がないだけで、R-1ぐらんぷり出ればいつでもぶっちぎりで優勝できるのだろうと思わせる脅威。今日もバカリズムが面白い、明日も多分面白い。それが他の芸人にどれほど脅威なのか…。

 

 

検索ちゃんネタ祭りより。ある銀行強盗事件の事件前の計画を立てる強盗を児嶋が、事件後に事件報告をする刑事を渡部が演じる。これはなぜかペイチャンネルを無料で見れる時期に見たのが初見だったはず。調べてみたらもう6年前のネタだった。すれ違いコントをやる前のアンジャッシュは児嶋がボケで渡部がツッコミというかなりオーソドックスなコントをやっていたのだが、のちに方向転換しピーポ君の交通安全教室のような音響ネタや、すれ違いコントを自身のスタイルとしていったのである。そんなアンジャッシュの今回のコントも、すれ違いコントではないし、「間抜けな銀行強盗」というオーソドックスな設定だし、フリ→オチがきっちりしすぎてるほどにきっちりしたコントだが、「銀行強盗事件そのものの様子は見せず、犯行計画と事件報告を交互に見せる」という見せ方で新しさを出しているコントだ。尺の都合で省略されたボケがあったり、オチが完全にぶつ切りだったりしたのは少し残念ではあったが、初見の時めちゃくちゃ笑ったことはよく覚えている。

 

 検索ちゃんネタ祭りより。角田と飯塚がいるところに、豊美が角田との結婚を報告しに来る。が、飯塚はそれを知らないフリしてほしいと急に角田が言い出して…。小芝居をする飯塚、小芝居を知っている角田双方が笑いというかボケになっているコント。小芝居の前に飯塚が「小芝居見られるの恥ずかしいじゃん!」と言ってしまうため前半の飯塚の小芝居では笑いにくい…が、だからこそ角田が小芝居をバラしてしまう展開での爆発がある。その後の飯塚の小芝居を再現する角田のコミカルさと言ったらないね、たまんないね!

…しかし、そんな角田のコミカルさを全て中和するほどの巧くも怖いオチが…。最初の「豊美のフルネームが豊本豊美」っていう雑な設定が伏線になってるんだよなあ…。TV追っかけてるだけでも半年に一回くらいは怖いネタに出会えるんですよねえ…。いい時代(?)になったもんだ。

 

バナナマンの爆笑ドラゴンより。松竹芸能所属の、ベテランのような落ち着いた語り口と技術を持つ盤石の漫才師のネタだ。…が、この時披露したのはボケである中西が「どうも〜なすなかにしです〜」と名乗ったあとの観客への挨拶ができない、というそれだけのネタ。「挨拶の動きのボケ→ツッコミ→ツッコミに合わせた挨拶の一言」の繰り返しなので、ダレないようにするにはかなりの技術を要する。そういう意味では彼らのようないぶし銀の漫才師にしかできないネタだが、挨拶だけでボケ通すというのは尖ったネタ構成とも言える。尖っているか尖っていないのかよくわからないネタという意味で何気に凄まじいネタだった。

 

  • まんぷくフーフー(食べたいもの)

バナナマンの爆笑ドラゴンより。結成1年目のマジカップルの男女コンビ。まず、度肝を抜かれたのはこの2017年(録画を見た時には2018年になってたけど)に夫婦漫才師が現れたという事実。そして、マジでただイチャイチャしてるだけなのに不意打ちできっちりと笑いを取っていく。この不意打ちっぷりがたまらない。カレーの話になった時の「何で?」と「ナンで」をかけたボケでスベり笑いをじわじわ誘いつつの「もう、面白いこと言わないでよ!」というアシスト。結成1年目だから粗いは粗いが、技術がついてきたらめちゃくちゃ化ける…かもしれない。

 

  • インポッシブル(ムテキマン)

バナナマンの爆笑ドラゴンより。ある男が深夜に帰ってTVをつけると「ムテキマン」というヒーロー番組が始まり…。このネタに関しては爆笑ドラゴンが初見じゃなかった気もするぞ…?でもどの番組かは思い出せない。一発目のかなりシンプルな裏切りがズルい。かなりシンプルな裏切りだけど、それだけにあれは反則級に笑う。あの一発目が面白いから、実はボケ数がそんなにないのに満足してしまう。バカネタの破壊力が冴え渡るインポッシブルらしいネタだ。でも、「深夜に帰ってきてTVをつけたらたまたまやってた番組をダラダラ見る」という根底の設定がいい。だからこそ一発目のボケもそのあとのdボタンの件も引き立つ…んじゃないかなと思う。

 

  • ロバート(ナイロンDJ)

爆笑ヒットパレードより。上京した山本の娘が彼氏を連れてくるので父親である山本に会わせたいらしい…が、その彼氏の職業はナイロンDJ…?爆笑ヒットパレード自体はちゃんと見てないけどENGEIグランドスラムでやってたネタだなこれは。ロバートのネタというと秋山のキャラクターばかりが注目されがちだが、実際は「鰻屋のうなぎや割り箸袋のおてもとの字ばかり書いている書道家」や「地方TV局のCMにありそうなチープな曲ばっかり歌ってる歌手」など何気ない面白さを見逃さず捕まえてそのままコントにしてしまう設定のアホさにある。その意味でこの「ナイロンDJ」のアホさは格別だった。かなり長い時間「秋山の濃いキャラに困惑する山本」に使いながら、そのフリを飛び越すくらい馬鹿馬鹿しくも面白い「ナイロンDJの実態」が本当にアホとしか言いようがない。彼らがENGEIグランドスラムで言っていたのだが、このナイロンDJは秋山が小学生の時に実際やっていた遊びらしい。確かにそれ以外でこれ思いつく方法ないわな!

あと、これは余談だが爆笑ヒットパレードで芸人がやるネタって意外と攻めてる。攻めてるんだけど元旦の朝からちゃんと見ようって気にならないんだよなあ…よくないよなあ…。

 

ドリーム東西ネタ合戦より。 かの有名な超ウルトラハイパー白熱したお笑い賞レースこと、THE W優勝作品。セット、服装、音楽、そして自身の声に至るまで細部にわたってドラえもんを固めておきながら、ドラえもん関係なくゆりやん本人の話をするというギャップ一筋のネタ。ドラえもんネタを作る場合、みんながドラえもんのイメージから遠いところに行くというのは当たり前だが、それを「本人のエピソード」としてしまう発想がすごい。「先輩の社長と飯に行かされる」、「喉の肉が気道を塞ぐ」など明らかにドラえもんじゃない話を選ぶエピソードのチョイスもいい。

あと、THE Wの時とドリーム東西ネタ合戦の時でエピソードの部分を変えてあったことも書いておきたい。当たり前だけど、エピソードの中身差し替えれば新ネタがエピソードの数だけできるんだもんなあ…。画期的やでえ…。

 

ドリーム東西ネタ合戦より。とは言ってもこれも初見は半年くらい前のENGEIグランドスラムだったはず。田中演じる「どうしても新宿に住みたいので、新宿で事故物件を借りる男」というキャラクターに「霊感がなければ事故物件でも怖くない」という気持ち悪い正論を流し込んで行くアンガールズらしさ全開のコント。事故物件という設定からして怖いのだが、山根が座ったところが前の住人が死んだ場所→「霊感がない証拠だよ」、午前2時になると開かなくなるドア→「内側のオートロック」など、客を怖がらせた分きっちり取り返す田中のワードのパンチが気持ちいい。そういう意味ではオチも見事だ。

 

ドリーム東西ネタ合戦より。「ビデオデッキのビデオ挿入口にチンチンを挿入したら抜けなくなったので家電量販店に電話する…」というドアングラな設定のコント。実は彼が売れるきっかけであるR-1ぐらんぷり2006において、トツギーノかこれか最後まで迷ったコントらしい*1。…聞いたことはあったがTVで見るのは初めてだった。こんなド下ネタかけなくてよかったな、と言わざるを得ない。こんな設定から過程まで終始下ネタでも、10年以上前のネタでも、今と変わらぬバカリズムの高い大喜利力や後に「都道府県の持ち方」や「贈るほどでもない言葉」など感覚的な笑いを生むこととなる発想力を魅せるネタ中の一言がある。それがこちら。「(股間からビデオデッキがぶら下がってる自身の状況を)カタカナの『ト』みたいな…」

 

  • カミナリ(ギクシャクジーザス)

 ゴッドタンマジ歌選手権より。芸人になる前はラップをやっていたというカミナリがマジで作って来たラップ曲を披露。オードリーのズレ漫才なりハライチのノリボケ漫才なり、新しいスタイルの漫才が売れるとそのスタイルに名前がつく。カミナリの「強くツッコミ入れるときに頭を思いっきり叩く」漫才は「新しいどつき漫才」として定義が固まりつつあり、どつきというだけあって高い暴力性を内包してしまっている点が批判されたりされなかったりする。しかし、一方で「(10回クイズのネタで「お母さんのバカ、って10回言ってというボケに対して)1回でも言っちゃいけねえな!!!」というツッコミがあったり、叩くのかと思わせてものすごくいい笑顔でたくみがまなぶを褒めるくだりがあったりと暴力性を中和している部分があるのもカミナリの漫才の特徴だ。

そんなカミナリがラップで見せたのは「コンビ同士でラップバトルをするが、最終的に仲直りする」という代物であり、ラップの途中にまなぶのエピソードトークや漫才を挟んで、例のどつきを入れるという、番組中の言葉を借りれば「漫才とラップの融合」であった。やっていることが変わらないのに、色々な見せ方を持っているのはやべえな…。来年のM-1決勝も全く同じスタイルで来ちゃうかもしれない…。

 

 

ゴッドタンマジ歌選手権より。普通のエピソードにツッコミを入れて笑いに変えて何とか笑いに見せているサマを「お笑い風」と表現するほどに腐ってしまったハライチ岩井が現代のつまらないバラエティにクソぶっかけるような歌詞で歌い上げた歌「忘れねえからな」。序盤は若手女優やモデルへの批判と、対象も内容もややベタよりだったが、後半の凡百バラエティを批判するパートは圧巻。「ながら見くらいがちょうど笑えるお笑い風この世界では」「必死こいてネタ作って勝ち取った賞レースの先は、ネタはいいから自宅と家族、通帳、彼女全部見せろ」「尖っている若手芸人は尖りをイジられ丸くなるか、腐って消えるかの二択」と、2008年のM-1グランプリ決勝進出し、ハライチが売れてから年経った今でも変わらぬ凡百バラエティの凡百ぶりを痛烈に批判するパワーワードのオンパレード。そうだよなあ…尖っている芸人が尖ったまま売れた試しってないんだよなあ…。ネタが面白いと前々から思っていた芸人が売れて来たらネタをやら(せてもらえ)ず自宅と家族、彼女通帳全部見せ(させられ)てるサマって見てて哀しくなるんだよなあ…。今の所、ハライチ岩井を腐り芸人として出すバラエティはゴッドタンしかないようだが「TVはつまらない」というのがあるあるでも何でもなくなるくらい鮮度が下がっている今、直球でアンチテーゼを放てるアンチがもう少しヒール的な活躍をしてもいいのでは…と思ってしまう。あと、単純に曲調がいいから、カラオケとjubeatに入れてくれ(願望)。

 

あ、以上です。今年はお笑い風ではなくお笑いでいっぱい笑う年にしたいですね。

(おしまい)

 

*1:ちなみにバカリズム本人はこのネタをしたかったそうだが、それを止めたのが東京03豊本