キングオブコント2021感想文

どうも、こんばんは、オルソンです。

 

 

今回は、キングオブコント2021の感想文です。世界最遅なので大丈夫でしょうが、キングオブコント2021のネタバレしか含まないので気をつけてください。

 

 

 

というわけで、感想です。

 

「研究所」研究所からアンドロイドが逃走し…蛙亭って、イワクラのセンスやキャラに目がいくところですが、実は中野がめちゃくちゃ声を筆頭にめちゃくちゃポップという武器があるんですよね。何を言っても面白くなるというか、ストーリーありきとはいえ「オムライスを食べたいんです!」をあんなに面白く言える人、そうはいないですよ。

そこへ行くと、中野演じるホムンクルスは、めちゃくちゃ突飛な「そういう人」であって、ある面じゃ全然ボケてないという。「お母さん!」も間違ってはないし、「キツいな〜」「めちゃくちゃホムンクルスじゃないですか」も、言い方やワードチョイスが普通すぎてホムンクルスらしくない、ということはある意味普通のことしか言ってない。かの名作、「喋れるようになたよ」に近いものがあります。ポップな中野だからこそ、思いっきり気持ち悪くしてみるという逆転の発想が光ったネタだった。

もちろん、イワクラ演じる研究員が随所で見方をサポートしていくから成立していることを忘れてはいけない。「ちょっと可愛い…」「凄い!もう語呂合わせができるの!」「ウヒャ〜…ごめんなさい、そんなつもりじゃなくて…」

 

 

 

「幼馴染」転校の手続きのため居残りしていると、強烈なキャラのカップルが…

「漫画でよく見る幼馴染の男女」を、かみちぃとアタック西本の強烈な見た目に置き換えたコント………だが、序盤の裁判の件からして、このコントはさらなる深淵へ向かっている…というのも、この幼馴染の言動、意外と「どの漫画にもない」のである。

また、「見た目体育教師じゃん!」からは、こちらも「体育教師が甘えてるようにしか見えなくなる」という強烈な効果を残しに来ていた。そういう意味ではさらにもっとウケていいところだったが…

初見のときは、「面白さにストーリー盛り込んできた蛙亭」に対して、「面白さだけだったジェラードン」に物足りなさを感じてしまったが…当たり前のように細かい所作まで練り上がったコントでした。

 

 

ボトルメールボトルメールを拾い、文通を繰り返して会うことになった女性は…

関西コテコテのキャラクターは一辺倒で、「浦井が関西コテコテ女をどう見ているか?」を変えている。このシステムがまず素晴らしい。また、終盤の「夢オチ→本当にそう」の2段落ちは世にも奇妙な物語のホラー回でよく見るパターンだが…コントでやったのは史上初なんじゃないかな?オチ含めて暗転が「言うてる場合か」の直後にしか来ないようにする、見方のガイドラインを含めてかなり仕上がったコントだった…。

 

 

 

「迷子センター」前半は、「迷子センターに変な人がくる」というベーシックなコント。うるブギのコントには「八木が笑ってしまう」という設定のコントがいくつかあり、M-1予選に漫才も出していたが、やっぱりこの「迷子センター」が圧倒的に一番面白い!

ツッコミにワードセンスはなく、ただただ「思わず笑ってしまう」で面白さを出していくという半ば反則なスタイル。このコントはかつて、菅家さんが一記事書いていたことが全てで…後半は何かを回収しているようで、何も回収してないんだよな。終盤の、「トヨタトヨタ!」「ちょっとお父さん、やめてくださいよ!」が素晴らしい。いつまですれ違ってんだよ!

「SF的でなく日常的な設定」で「多様性の受け入れられなさ」を描いたネタという意味で、図らずも、蛙亭のコントと真逆と言えるかもしれません。そして、「時代のアップデート」などと言われるからこそ、今お笑いが最も存在を肯定すべき人間の業なのかもしれません、「多様性の受け入れられなさ」。

 

 

「勝手に教えるために付き纏ってくる厄介なおじさん」に、プラスアルファを入れたコント。この、プラスアルファによって「付き纏い」の厄介さが違う方へ成長していく。まさにニッポンの社長のネタに見える「天丼」のベタさと、軸の「不条理」が入り乱れたコント。「カードがなくなった」と言っても付き纏ってくる。「向こう行っててください」といっても付き纏ってくる…。

オチも良かった。善意100%だったと思うと、余計に怖いし面白い。

 

 

 

  • そいつどいつ

「パック」パックしている彼女の顔が怖い…の一本で行っているコント。

パックあるあるとして見たらベタで弱々しいはずだが、そこは、ワインをこぼす→拭くときの動き、包丁→研ぐ→音、など構成と演技がしっかりしている。特に、松本竹馬の「少し気だるそうな彼氏」の演技が個人的にめちゃくちゃツボなんだよな…。このくらいの関係のカップルコントってなかった気がするから…。

 

 

  • ニューヨーク

「結婚式」結婚式の前日の段取りを確認してみると、前日にもかかわらず…。

嶋佐が演じる「デキる人っぽい店員」という悪意も、「デキる人っぽい店員がポンコツ」という設定もありがち。ボケ1つ1つも極めてベタ。

だからこそ、嶋佐の演技力、そして屋敷のツッコミの力強さが素晴らしい。「何がオッケーやねん!」「白!!!」「それは知ってる!!!」「結婚はもうしてます!」その勢いそのままの採点後コメント。

ある意味チャレンジ精神をビンビンに感じたが…まあ、そのチャレンジでキングオブコント決勝の順位がどうなるかっていうと…うーん。

 

 

  • ザ・マミィ

「道案内」街にいる変なおっさん…に道を聞く若者が現れ…

変なおっさんのコントだが、「変なおっさんに道案内を頼む人」がボケという設定の新鮮さ!濃いキャラが濃いツッコミを見せるコントはあったが、「変なおっさん」というのは…そして、「変なおっさんにまともに絡もうとする男」がボケとは…

「(初対面の人に)2万でいいんで貸してください!」という「純粋」で括れない若者の純粋さからも、「おら、人と話したの2、30年ぶりだぞ!」や「人に信じられたのって初めてかもな」と言った哀しいセリフを持つおじさんからも、とてつもなさを感じさせるコントだった。

 

 

「火事」火災が発生!その場所はなんと…

まずツカミが速すぎる。「火災報知器の音鳴らせば火災のコントになる」のをあんなに巧く使うとは…。そのあとも、「社交ダンス教室」「私は警察官だ!」「窓への呼びかけ」と展開が濃密で……もちろんその合間に入る「心配ありません!Mですから!」「私は山崎だ!いや、崎山だ!」なども笑った…が、一番笑ったのは「ストッキング引っ張られるもぐら」だった。あれはズルい。あんなのキングオブコント決勝でやる種類のお笑いじゃない。

 

こっくりさん」お化けはいるのかいないのか?いないなら合わせ鏡しようがこっくりさんしようが出てくるはずはない…?

午前4:44にトンネルで合わせ鏡しながら、こっくりさんをするとどうなるか?という絶妙な「ありそう」さ。微妙に共感を入れてくるのが良い。

野田の動きに村上がツッコミを入れていく前半は、「吊り革」に限らず、多くのマヂラブの漫才で見られる…が、まさか中盤にして死んでしまうとは…死んだうえで10円玉と展開していくとは…、このサプライズは、漫才では表現できないものでしょう。「タイムリープ」といい「シャドウ」といい、彼らのコントは漫才で見れないものを見せてくれる…が、今年は特にコント師の壁が分厚くて分厚くて…。

 

ここからファイナルステージ

 

 

「レジ袋」レジ袋をケチって大量の菓子を抱えている男。

先ほどは、千原兄弟がコントする時の女装した千原ジュニアにしか見えなかった平井の挙動不審な演技・キャラクターが魅力。あれだけ買ってレジ袋をケチる人間の挙動不審さに納得させざるを得ない。ソウドリでも見たネタだが、後半はソウドリでは出なかったパート。そうか…そういう展開か…そういう展開でも「レジ袋」がついて回ってくる展開はさすがの一言。

また、平井の挙動不審というか独特な言語感覚の数々!「忙しなくさせてしまった。ランチタイムの忙しなさ」、「はからずもスクワットをさせてしまった」、「友達認定の判を押した」

 

 

  • ザ・マミィ

「社長室」ドラマっぽいやり取りをして遊ぶ社長と社員。何かありそうで何も起きない。いい意味での空っぽぶりがたまらない。2人とも緊張も緩和も秀逸な演技を見せており、良きバカコントだった。

ただ、ザブングルの「なんてな」を思い出したのは自分だけではないはず。

 

 

「コンセプトカフェ」小学生の時に自由帳に書いた漫画のコンセプトカフェという設定がもう最高。こんなバカバカしいネタもできるんだよなあ。

暗転が甘いとうっすら見えるリスクを負ってまで、「雨宿り」という喫茶店から出れない理由づけをしているところから「コント師」のこだわりを感じる。

また、喫茶店の店員もあくまで「コンセプトカフェの店員」として行動している。「このブラックホールの湧き水というのがそれに近いであろう!」…話進まないと困るのは店員もそうだもんなあ…。

その後の「豆にはこだわっております…」も好き。湧き水じゃなかったのかよ!通貨の件など、店員が妙に甘いって設定もたまらなかったですね…。

 

 

  • 総評

いや、今さらながら、今年のキングオブコントはレベル高かった!もちろん、決勝進出者のレベルが上がっているんでしょうけど、審査員の審査コメントのレベルも上がっているのが良かった。審査コメントがしっかりしていると、敗退者が出ても(敗退者が出るのは当たり前なのだが…)納得できるものですねえ…。

今年は例年以上に審査コメントしにくかったはずですが、それでもしっかりしたコメントができるあたり来年も再来年も審査員はこの布陣でお願いしたい!

ニューヨークが最下位、というのは(ネタの中身も含め)意外でしたが、売れてない人より売れてる人が最下位になる方が圧倒的に悲壮感が小さいので良いことだと思っております。こんな場で、物怖じしない人って面白いですよ。一部炎上していたようですし、わからんでもないですが、そういう人はFODお試し入会して、「脱力タイムズにニューヨーク屋敷が出た回」を見ていただけると嬉しいです。態度が悪い人って面白いですよ。ええ。

最後に、一応触れておくと「優しい笑い」と言われていたことについて…これはなんというか…うるとらブギーズのコントはわかりやすく「受容しきれなさ」を笑いにしていましたけど、男性ブランコやザ・マミィの1本目も「(関西コテコテやヤバいおじさんを)過剰に受容している人」を笑っているわけで…そう思うと巧妙な変化球になっただけじゃないかな、と思います。一時期は「見た目イジリで炎上とは何だ!」という時期もあったけど、その風潮が拡大して「ストレートな見た目イジリはウケないからやらない」となっただけというか。しかも、変化球は結局残ってるんだよなあ、とモヤモヤしているし、改めてモヤモヤし直しています。なんだかなあ。

 

なんだかなあ、で終わりです。文句あるか?

(おしまい)