相席食堂殺人事件

ノブ「お隣よろしいですか?」

大悟「どうぞ」

二人「千鳥の相席食堂です」

ノブ「もう、丸パクじゃあ!!!!」

大悟「ハッハッハ!!!これはイカンよ、本当に。これはやっちゃダメよ。」

ノブ「これ、だけはね!誰やこれ考えたん!?」

構成作家「あ、僕です」

ノブ「また君か!?」

大悟「君ではないけどね、考えた人は別にいるわけだから。もう彼は涸れきってるから。」

ノブ「亀田みたいに言うなぁ!」

(VTR再生)

ナレーター「今回、相席する旅に向かったのは…岩手県盛岡市の富士見町。(シャララーラ♪シャラララーラ♪)冷麺でも有名な盛岡市にあるこの町は人口当たりの麺の本数の消費量が日本一。そんな町で相席するのは…」

KAITO「どうも、こんにちは」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「KAITOさんや!」

ノブ「レッドヘアーズのボーカルの?こんなに髪赤かったか?」

大悟「見ない間により赤くなった……鉄火丼みたいな…夕方のニュースでよう見る鉄火丼みたいな…」

ノブ「ハハハ、メガ盛りのな!」

KAITO「どうも、こんにちは。KAITOです。ロケはね、初めてなんですけど…ここは、僕の出身地でしてね…」

ノブ「岩手なんや」

KAITO「小学生の時はいじめられてまして、朝行ったら机の上に花があったり…」

\ちょっと待てぃ!/

ノブ「二度とその話すなよ!」

大悟「こんな明るいロケでそんな暗い話!こんなにも晴れ渡っているのに!」

KAITO「朝行ったら机の上に花があったり…担任もいじめに加担してましたから…このままじゃ生き地獄だなって思いながら過ごしてましたね…」

ノブ「もうええ、もうええ!」

テロップ(AM11:55)

ノブ「12時でええ!」

KAITO「いやー、まずは食堂を探さないと…」

通行人「レッドヘアーズのKAITOさんですよね?サインお願いできますか?」

KAITO「いいですよ」

大悟「いい人や」

(KAITO、ペンを出すためにカバンを開ける)

\ちょっと待てぃ!/

大悟「どうした?」

ノブ「見てみ?KAITOさんのカバン。こんなに快晴やのに、レインコート入ってる」

大悟「ええやろ、それは。心配性なんやろ。急に雨降るかもしれんし。」

ノブ「雨の心配してんの?レッドヘアーズが?」

大悟「それはするやろ、レッドヘアーズでも」

(KAITO、ペンを出すためカバンを開ける)

KAITO「ちょっと待ってくださいね、あっ!」

小銭「ジャラジャラジャラジャラジャラ!」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「小銭がジャラジャラて!チャリンとかやなくてジャラジャラて!」

ノブ「財布パンパンやろ〜これは…」

大悟「紙幣を知らん人やん」

小銭「ジャラジャラジャラジャラジャラ!」

KAITO「あ、あ、あ、ちょっとすいません(全部拾ってから)はい、サイン。」

通行人「ありがとうございます!」

KAITO「あっ、この店とか良さそうじゃないですか?『田中素麺』。すいません、相席食堂という番組でカメラ入ってもよろしいでしょうか?」

ノブ「ええ人はええ人やなあ」

KAITO「すいません、ここ座らせてもらってもいいですか?」

                

ナレーション「田中素麺、生まれも育ちもここ、富士見町の店主が小麦粉から作る素麺は透き通るような白さと喉越しが特徴。富士見町民自慢の一品。」

KAITO「(素麺をすすって)あ、美味しいですね。あ、赤い麺も入ってる。あれ?あ、自分の毛か。」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「何今の?何を見せられたん?」

ノブ「自分の毛が赤いって忘れたんか!?」

テロップ(PM2:05)

ノブ「2時でええ!」

ナレーション「続いて、KAITOが訪れたのは…パスタナポリ。林の中に佇む落ち着いた雰囲気のお店。看板メニューは店名の通り、ナポリタン」

ノブ「ナポリタン、ナポリ由来じゃないやろ!」

KAITO「いやー、いい雰囲気の店内ですねえ…」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「どした?」

ノブ「目ぇ、怖すぎじゃあ!TVに出していい顔じゃねえ!」

大悟「ハッハッハ!ほんまや、これあれやろ?人殺したやろ?」

店主「こちら、ナポリタンになります」

KAITO「あ、それでは早速いたd…」

外のパトカー「ピーポーピーポー♪」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「これは良くないよ。消さないと。」

ノブ「一生懸命やってるんやからな」

大悟「サイレン消すか、撮り直すかしないと、これは」

KAITO「それでは、早速いたd…」

パトカー「ピーポーピーポー♪」

KAITO「あれ?何かあったんですかね?」

店主「うちの従業員が見つけたんですけど、裏の林で叫び声が聞こえて、行ってみたら田中素麺の店主さんが死んでたらしいです。ちょうどミヤネ屋が始まったから14時頃のことでした。」

\ちょっと待てぃ!/

ノブ「冷静すぎるやろ!!!!」

大悟「この店主犯人ちゃう?」

ノブ「コラコラコラ!たしかに冷静すぎるけど!!!」

大悟「いや、だって自分の店の裏に死体あるんですよ?それもせっかくのTVロケで。」

店主「裏の林で叫び声が聞こえて、行ってみたら田中素麺の店主さんが死んでたらしいです。ちょうどミヤネ屋が始まるから14時頃のことでした。」

KAITO「ええっ!?誰に殴られたんですか!?」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「なんで撲殺限定なん?」

ノブ「ハハハ!そうやなあ、普通は刺し、じゃあ〜!」

大悟「普通は、っていうのもおかしいけど…でも普通刺すよなあ!」

KAITO「誰に殴られたんですか?」

店主「それはまだわからないですけど…とにかく、冷める前に食べてください」

ノブ「食えるかあ!」

KAITO「あ、そうですね。では。」

大悟「食えんのかい。」

KAITO「ズズズ…あ、美味しいですね。(ここでナポリタンの映像に切り替え)ケチャップだけじゃないというか、すごいトマトが効いてるというか…(ここでKAITOの映像)」

\ちょっと待てぃ!/

ノブ「どした?」

大悟「見てみぃ、KAITOさんの袖口。もう赤いねん。」

ノブ「本当だ!まだほとんど食べてないのに!」

大悟「ナポリタンに腕入れた人の汚れ方なのよ、あれは。」

ノブ「韓国の露店の人や!」

KAITO「いやー、美味しかったです。ありがとうございました。(なぜか財布を出すKAITO)」

スタッフ「お代はこっちが…」

KAITO「あ、そっか」

\ちょっと待てぃ!/

ノブ「これ天然か!?」

大悟「やりに行ったやん、これは!やりに行くとしたら1軒目やん!」

ノブ「ほんで、何で財布こんな薄いん!?」

大悟「ハハハハハ、ほんまや!小銭が消えた!」

ノブ「あんなにあった小銭が!」

BGM「シャララーラ♪シャラララーラ♪」

KAITO「千鳥さん、今日は久々に里帰りできました。どうもありがとうございました。」

おわり

\ちょっと待てぃ!/

大悟「髪の毛、黒なってない?」

ノブ「ハハハ!暗いだけやろ!」

大悟「退色してるやん!」

ノブ「してない!暗いだけやって!」

おわり

ノブ「今日、おかしない?」

大悟「おかしいんよ。まず引っかかったんが小銭やな。せやけど、他にもおかしいとこいっぱいある!」

ノブ「そやなあ。」

大悟「結論いうど。ワシはな、KAITOが田中を殺ったと思っとる。」

ノブ「やっぱりか。まずおかしいんは、小銭が消えとるんよ。」

大悟「あの小銭が凶器じゃ、袋かなんかに詰めたら鈍器になる。」

ノブ「そうやろ?だからKAITOさんはあの時『誰に殴られたんですか!?』って聞いたんや。」

大悟「そうじゃ、あ、でも犯行時刻は2時やって言っとったからKAITOさんにはアリバイがあるか」

ノブ「いや、2時じゃないんよ。テロップによると2時5分なんよ。それで、ナポリ店主曰く叫び声が聞こえたんはミヤネ屋がちょうど始まったところやから2時なのよ。」

大悟「なるほど…今日行ったん誰や、このロケに。」

スタッフ「あ、僕です。」

大悟「あの〜、ナポリ入る直前にKAITOさんいなくならんかった?」

スタッフ「え〜〜と、あ!確かにトイレ行きたいとおっしゃって、しばらくいなくなりました!」

ノブ「アリバイ崩れた!2時で良くなかったんや!」

大悟「つまり犯行の流れはこうじゃ。まずKAITOはロケとして田中素麺に寄り、何らかの方法で店主をナポリの裏に呼び出す。その後、何事もなかったかのようにロケを続けるがナポリの前で一旦トイレといってスタッフから離れる。そんで、財布の中に入れた大量の小銭をビニール袋に入れて鈍器を作り、田中さんを撲殺する。」

ノブ「返り血わい?返り血つくやろそんなんしたら。」

大悟「レインコート持ってたやろ?あれで返り血防いだんやろ。それでも袖口と前髪についてたけどな。」

ノブ「そうか!だからナポリタン食べてた時韓国の露店に…」

大悟「まあ、だからナポリに入った頃にはついてたっちゅうことやな、あの血痕は。そんで、ロケがエンディングを迎える頃には酸化して前髪についた血が黒くなったんよ。」

ノブ「なるほどな…」

大悟「そんで、小銭を回収する。時間がないからレインコートもナポリの近くにあるはずだから、証拠になるど。でも、動機がわからん。」

ノブ「それは分かっとるわ。冒頭で『小さい時いじめられてて』みたいなこと言っとったやろ?そんで田中製麺は店主が地元育ちってナレーションで言うとったじゃろ?」

大悟「なるほど、いじめてたんが…」

ノブ「いや、違和感あるな、とは思うとったけど、推理繋がったな!古畑やん、もう!古畑やん!」

大悟「古畑じゃないです、新畑です。」

ノブ「つまらんのぉ!」

(おしまい)