R-1ぐらんぷり2018準々決勝レポ

 こんばんは、オルソンです。

 

2月3日、私は父が予約してくれたR-1ぐらんぷり2018の準々決勝(東京会場)を見てきた。3000円で40組以上の芸人のネタを見れるというのは素晴らしかった。と言うことでここからは1組ずつ感想を綴って行く。ちなみに「〇」が付いているのは観客にもウケていて自分も笑ったので、多分準決勝行きそうないわば予想である。

 

  • 大谷健太〇

「2コマ漫画」。フリップを2枚使った2コマ漫画を次々見せて行く。トップかつ無名だけど、きっちりウケていた。霜降り明星粗品のフリップに近いけど、絵が上手い分「サメよりヤバい奴」など絵力で持っていけるのは強み。2コマ漫画1つ1つのストーリーはないが、後半で前半の2コマ漫画を被せる件は前半の1.3倍くらいウケていた。

 

  • きの

「野球部」。野球部の先輩が後輩に野球部のことをみっちり叩き込む。野球部の坊主イジリからのサッカー部がロン毛に流れて行く辺りとかベタすぎるのがどうも。でもオチのチョーク投げる件はあれこそ丁寧に振ったベタだけど面白かったな。

 

  • カニササレアヤコ〇

雅楽モノマネ」。雅楽の楽器「笙 」を使ったモノマネ。「〇〇のモノマネ」のフリの部分が雅楽の専門用語まみれで分からない→実際に笙を吹いて披露するがやっぱり分からないのローテーションだが、3分尺だと飽きる前にオチ前の件に行ける。もしかするとTVで売れるキャラ……………かもしれない。

 

一日中松戸駅前にあるモニターを見つめてる人にはお馴染み手賀沼ジュン。ネタは「L'Arc〜en〜Cielの書き方が分からない」。歌ネタであり、歌詞に合わせてフリップをめくって行くラルクのスペルイジり。こんな狭いテーマで3分乗り切れんのか?と思いきや、記号の使い方で迷走したり、他のロゴとマッシュアップしたり、正解をネットで調べてから出てくる事実もネタにしたりで乗り切れてしまうのが凄い。個人的には「軽く案じ得る」が好き。

 

「宇宙人の良いところ」。ゴッドタンでやってた奴を宇宙人に。フリップのことを「イカ」と呼んでいるわ、「イカは海におかえり」と言いながら海の絵が書いてある箱にフリップをしまって行くわ…ゴッドタン見ていた人ならわかると思うけど、終始もう中的な感じの変な人…。賞レースで勝ち上がるタイプというよりそれこそゴッドタン的なバラエティに拾われて売れる方のルートしか見えないタイプのネタだった…。どうしても嫌いにはなれない…。

 

  • ZAZY〇

「中華屋さん」。食へんに寸で「スン」、アスパラガスが「薹(トウ)」、中華「饅(マン)」などをリズムとニュアンスで押し切る割といつもの訳わからん紙芝居。何というかホーム感があったというか凄い受け入れられてる感じでウケてた。いつか決勝進出すると思うんだよなあ。もちろんそれは今年かもしれない。

 

  • ユリオカ超特急〇

「ハゲ漫談」。豊田真由子の「このハゲー!」に関するエピソードトークを掴みに、ハゲ関連のエピソードトークを。この人は発想とか以上に、滑舌とか間とかが絶妙で序盤の豊田真由子イジリの段階で笑ってしまう。そんな感じで結構ウケてもいた。

 

  • まとばゆう

「山手線の駅」。歌ネタ王決定戦やTHE Wでやっていた手短にまとめる奴を今回は「山手線の駅について山手線の発車メロディで」。手短にまとめる方の件は当たり外れが結構あるけど、それより直後に差し込む一言が好きだったな。「(高田馬場について)早大生が飲んでゲロ吐いて街を汚すことが社会的に許されてる」の後の「羨ましい!」とか、「(西日暮里について)日暮里でいいよね!」とか。

 

キングオブコント決勝進出したこともあるコンビ「巨匠」の片割れ(現在は解散しもう片方は芸人も引退している)であり、TBSの2017年末のバラエティの実写版カイジにも出ていたが、高所恐怖症が祟って一回戦の鉄骨渡りであっさり敗れてしまった人。ネタは「パチンコのやり方」。インフルエンザで倒れた先生の代わりにやってきた先生の知り合い、というクレイジーな設定で掴み、生徒のことを「みーんな肉の塊だろ?」と言い放つだけでもクレイジーなのにそれを「パチンコ台は見た目が違ってもみんな同じルールであることの例え」として使うクレイジーさ。何より設定がパチンコということ。巨匠は解散しても何一つ変わらずクレイジーということがわかったいいネタだった。決勝行って欲しいなあ…でもやっぱコード的なアレがアレになっちゃうかなあ…?

 

  • パーマ大佐

掴みでいきなり「顔と名前と著作権の大切さだけ覚えて帰ってください」。本ネタは「末尾にジャ〜ン♪をつけて発車メロディっぽくする」。こんな短時間に発車メロディでネタ被りという事実を手短に笑いに変える。ただ本ネタは、演奏技術は高いけど、ネットで似たようなことやってる人見たことあるし…何より歌ネタではなくメロディネタなので歌詞でボケれないのが辛いところ。客席も笑いより拍手の方が大きかったので多分「演奏や編曲技術は凄いけど…」という見え方は間違えてない、多分だけど。

 

「女優を諦める」。田舎では可愛い可愛いと散々持て囃されていたのにいざ東京に出ると…ということで当時持て囃していた田舎の友人を問い詰めて行く…。昨年の決勝で披露した占い師のネタのような割と偏見強めのボケも入ったコント。ネタ中にBGMとしてドリカムの「何度でも」がかかっていたんだけど、その音量が超デカいの。程なく音量が落ち着いてから、後半の「私、パチンコ営業のこと墓場って呼んでるから!」辺りから盛り返していたんだけどBGMなくても面白いというか、BGMの音量調整さえ上手く行ってれば前半もっとウケてよかったんだよなあ…。もし準々決勝落ちてたら、まあドリカムのせいということでいいと思います。

 

「映画の予告編」。フリップでどういう映画か示して、それを音響絡めて一人芝居で演じる。ここも、その音響の音が割れていてセリフが聞き取りにくいところがいくつか。二連続で音響ミスすんな。でもネタは良かった。あるあるだけど、映画本編見終えたら記憶の奥底に行ってるような予告をほじくり返してくる着眼点と、パントマイムが何かを分からせる表現力が見事。ただ調べてみるとどうもコンビでもやってるネタのようだ。あんまりそういうの良くないと思うな僕は。

 

「フリップ」。昨年の決勝で見事準優勝した、ジブリっぽい女の子がフリップネタを作ってきた。が、なかなか披露しない……というRGのあるある言いたいに限りなく近い構成を取ったメタネタ。ただそこにジブリっぽい女の子というキャラクター、ジブリっぽい女の子が言いそうなことが乗っかることで無限に笑えるネタに。このキャラクター好きなんだよなあ…。余談だけど、髪の質感がツヤツヤすぎてカツラだと思ったらカツラだったんですねえ。あと横から見ると、使いもしないのにフリップが7枚くらいあった。芸が細かい。

 

今売れてる、野沢雅子のモノマネ芸人。今回も野沢雅子ネタで「カーナビのレコーディング」。あの出来上がった出で立ちとキャラクターはやはり生で見ると笑ってしまう。ネタは「おでぃば」というお馴染みの悟空訛りの他に、「この右折はクリリンの分!」というドラゴンボールとカーナビの絡んだボケや長めのドラゴンボール一人芝居、カーナビにもドラゴンボールにも出てこなさそうな謎のセリフなど色々な野沢雅子ボケを見せつけて行った。フリ役として相方がいた方が良さそうな感じになってしまってるのが何とも言えないけど、クオリティは高い。

 

  • しずる村上

「歩道橋の手すりを歩く女」。かなりキテレツな設定なのにやってることはまさかの一言ネタ。しかも一言ネタのクオリティが正直…うん。ウケる一言ネタはちゃんとウケてたけど…。正直今日一番ウケてなかったな…。

 

「筋肉紙芝居:桃太郎」。筋肉紙芝居:桃太郎というネタを、音響の渡辺くんに盛り上げてもらいつつ披露する…………が、音響がめちゃくちゃで…という結構直球なメタネタ。ただ、石出奈々子と違い、筋肉紙芝居は筋肉紙芝居できっちり作ってあり、「爺さんと婆さんがムキムキとか…用意してたのに時間がないから」と高速で流して行ってしまう。ちゃんとしたネタのメタ化というかなり贅沢なネタと言えるかも。

 

「卒業式前」。卒業式前、最後のホームルーム。先生は生徒一人一人に「形態模写」を贈る。設定自体は単なるフリで結局は散漫な形態模写が本題という構成のネタ。注がれるビールとか今にも消えそうな電灯とか着眼点はベタすぎる、が動きと顔のコミカルさは生で見ると笑ってしまう。

 

科捜研の女」。科捜研の女沢口靖子のモノマネで捜査会議と称して色々な怪事件…もといあるあるネタを披露していく。アイデンティティ田島同様、似ているモノマネというのはキャラクターとして面白いよなやっぱり。そこがもうまず手堅くめちゃくちゃウケる。Abema TVのフリップネタ王決定戦ではもっとヤバいネタをやっていたはずだが、そこは決勝を見据えた放送コードを通れる仕様で勝負。「ドキュメンタリーが青汁の宣伝だった」ってアレ、ベタというか擦られすぎだけどどうしても自分は笑っちゃうんだよな…観客もそこで猛烈にウケてた。

 

  • 浜村凡平

「油物コント:エビフライ」本人がエビフライのパックを持ちながらコールしたタイトルを尊重。ただ、内容は「薬局に行ったら薬ではなくエビフライを渡されたので困惑しつつクレームを言う」というタイトルの割にはベーシックなナンセンスコント。この設定が「油物コント」というコールのワクワク感(ハードルとも言う)を超えていたかと言うと微妙なところ。事実「セリフに何度も登場するエビフライ」ではあまりウケてなかった感。ただ「ジェネリックはアジフライ」「噛まずに飲むのは無理!」などエビフライから少し反れたボケでちょこちょこウケてはいた。

 

  • すえひろがりず南條

変換は諦めてる、「するひろがりず」って書く手も考えたけど。ネタは「今昔ライン」。舞台上にある今と昔のゾーン。昔の方に行くと昔っぽくなってしまうという…。見せ方を変えただけで基本はいつもの能アレンジの奴。能のネタは好きなんだけど、能アレンジのフリになる「今」の方の演技が粗いのがどうしても少し気になったかな…。

 

  • キャプテン渡辺〇

カイジの黒服」。カイジの黒服としてクズを地下に送り込んで行く仕事をしているという男がこれまでどんなクズを地下に送り込んで来たか、というクズ漫談。「その昔、R-1準決勝で海物語のサムに扮してパチンコ漫談してめっちゃウケたけど落とされたあと、普通の姿で漫談してR-1決勝進出を2回果たした」という歴史があることを考えると芸風が退化した気がしないでもない。ただ、借金しているクズ、バイト先の居酒屋にいるクズなど様々なクズが地下に送り込まれる漫談はベストアルバムと言えなくもない。多分キャプテン渡辺の周りに実在するクズなんだろうな…。

 

「ポールダンス」。この日、トップクラスでウケていた人の一人。と言っても、本ネタのポールダンスしながら一言いうところではなく、一言と一言の間の客いじりがウケてた。それはもう狂ったようにウケてた。客に尻を見せつけてから「あなた、今、同性に対して新たな感情芽生えちゃってる!」はなあ…。面白かったなあ…。

 

  • サイクロンZ

「子供の前でマジック」。マジシャンが子供にマジックを邪魔されるというネタ。子供だけでなく母親が絡んで来るところや終盤の歌パート、そして地味に巧いオチまでよくできたネタ。準決勝進出するかは組数にもよるけど五分五分では。「そのペットボトル怪しい!」「だから調べてって言ったじゃん!」

 

あらびき団アマレス兄弟というコンビで出演し、ただレスリングをやるだけのネタをしたコンビ。ネタは「アマレス電話」。一人で何するのかと思いきや「レスリングの時につける耳当てが電話になったら…」というなかなか妙な設定の歌ネタ。歌いながらフリップめくるタイプのネタで、フリップの絵も相まってわかりやすいネタ。

 

  • おぐ〇

「ハゲの名は。」R-1ぐらんぷり2014決勝進出者にしてこの日のトップウケ。「女子高生がハゲのおっさんと入れ替わる君の名は。のパロ」という設定バラしの段階で狂ったようにウケて、そのまま何を言っても狂ったウケがキープされる状態。事実「ハゲの性欲って物凄いじゃん!」「ハゲなのにディズニーとピクサーしか入ってない…意味不明すぎる!」とかハゲへの偏見をぶつけまくるボケも面白かった。版権パロというのが評価を下げさえしなければ決勝はある。

 

「お笑いオーディション」。お笑い番組のオーディションで田上よしえを審査する人自身を田上よしえが演じるというやや複雑な構図のネタ。いやー、賞レース予選って本当にこういうネタ見れるですねえ。何しろツカミから「(手を合わせて)お願い!お願い!お願い!からのナマステ〜」だし、田上よしえがオーディションに来たら来たで「国民的美少女コンテストの会場だったら隣ですけど…」に始まり、最終的には「(客席を見渡しながら)業界関係者は声かけた方がいいと思うよ?」という自画自賛の嵐だしで身内感が強いのは否めない。「カビキラーの容器の底のカビはどうやって処理すればいいんでしょう?」なんかは田上よしえらしくていい。

 

  • クロコダイルミユ〇

コンテンポラリーダンス」。体の柔らかさを生かして何か凄い動きで何かを表現するが…「東京タワー!」次は動きのあるものを…と言いながらまた動き出すが「(最後に腕を振って)バッター!」…。ダンス部分をフリにした「無回転謎かけ」のようなスカしネタ。フリとなる動きやセリフに変化をつけて見るものを飽きさせない。やっぱり、動き系のネタは生で見ると違うな!あと、コンビの片割れなのにピン用のネタ持って来たと言うだけで、もう素晴らしいことです。

 

「サスペンス料理番組」。サスペンス風のシリアス演技と料理番組の融合。井上マーらしい綺麗にまとまったネタだけど、綺麗にまとまりすぎてウケきらなかったのも井上マーらしい…。構成の綺麗さが評価されれば準決勝いけるけど、ウケ重視だったら少し厳しい。

 

「なすび」。キャラクターはいつものだが、相変わらず新しいことして爆発的に面白いことをやらかしてくれる。今回のネタは「フリップが小さい」。オチのフリップのあとに一言入れるが、そもそもオチのフリップが見えないというある種メタ的なネタだが、このフリップの後の一言がとにかく面白かった。やっぱり天竺鼠川原はタダモノじゃない。

 

  • こがけん

「音楽ライブ」。イオンモールで音楽ライブをしていると観客のiPhoneが鳴り出し…。いわゆる歌ネタ。歌ネタかつ散漫な構成というのが何ともいえない感じ。曲が切れると展開がリセットされるのがアレなところです。ウケもそれなり。

 

  • レオちゃん〇

「4分間で何ができる」。そのタイトルの通り、恐らく自分が面白いと思ったことをごちゃごちゃに混ぜ込んだストーリーも構成もクソもないネタ。何しろ「4分間で何ができる、3分バージョンでーす!」と言い放ち、胸に雑誌のSweetを縛り付けた状態で出て来て何かと思えば「Sweetの付録になれました!」と言い放ち、しかしその後のショートコントは「肩で蜘蛛が死んでるOL」とタイトルから厳ついし、そのコント、自分がSweetの付録っていう設定関係ないし、肩で蜘蛛が死んでるOLも「肩で蜘蛛が死んでるのと関係ない会話から突然肩で蜘蛛が死んでるのに気づく」というあらすじだし……………。個人的には結構好きです。

 

「THE HELL HAND」。まさかのペープサートでネタ進行。最初(どうせ自分の手で紙人形回収して終わるんだろうな…)と思わせておいて手のペープサートが登場、サメが出て来る件で(サメ関係なく海面からHELL HANDが出て来て終わるんだろうな…)と思わせておいてサメの口からHELL HANDが出て来る、などオチが同じショートコントの羅列なのに裏切れるところはセンスを感じざるを得ない。決勝でも映えそうだな…。決勝進出すれば、だけど。

 

「どうでもいいことを教えてくれる曲紹介」。細かすぎて…でお馴染みのやつ。一応ラジカセとザ・ベストテンっぽいフリップは持って来ていたけど。そこそこ笑ったし、新ネタを作っているっぽいところは好感持てるけど、今更これがR-1決勝進出って言うのはちょっと見えないよなあ…。

 

  • チョコレートプラネット長田

「ジェットコースター」。たいそうな大道具が組まれたと思ったらチョコプラだった。わけのわからない小道具に客の長田が振り回されるコント。ボケが自由すぎて流れちゃった印象が強い。そういえばレッドカーペットとかで松尾がボケでこういうボケを流す感じのやってたな、ってちょっと懐かしくなってしまった。でも音響がボケとはいえピンでボケ流しは単純にちょっと厳しい。

 

「なめとこ」。佐々木さんに何度電話をしても「なめとこ」という気持ち悪い声の男に繋がってしまう…。ってこれオンバトでオーバー500取ってたコンビのネタだろ!そう言うのやめようって言ったじゃん!会話がない分多少手数が上がっているような気はするが基本的に内容はオンバトの時とおんなじ。オチがジグザグジギーのネタの中でも特に投げっぱなしなのもおんなじ。

 

  • ペンギンズ・アニキ

「アニキ漫談」。ここも、普段のアニキ漫才をピンにした感じ。舎弟がいない分自分でオチを説明したり、アニキが自ら笑ってない観客を脅したりとピンに丸め込んだ感がどうしても。ややウケくらいの滑り方からフォローを自分で入れていく感じは少しダンディ坂野っぽかった。

 

フラッシュ暗算」。フラッシュ暗算だが数字ではなく単語が出て来て…という、少し検索ワード連想クイズに似たネタ。ピン専用でハゲ関係ないネタを持って来るというだけで好感度爆上がり(n回目)。システム以上の展開を起こしにくいネタなのでウケはそこそこ。

 

ブルースリー」。ブルースリーがフリップをめくりながら、有名な掛け声である「アチャー」っぽい言葉(アーチャー、中田敦彦前田敦子ことあっちゃんなど)をアチャーっぽい言い方をするかなり勢い重視のネタ。Twitterのクソ画像botみたいな言葉遊びしかしてないんだけど勢いと手数でまんまと大笑いさせられてしまった。お茶を持ってるアグネスチャンやホラン千秋の頬の件でしれっと構成を見せてくるところもたまらない。

 

  • マツモトクラブ〇

「昔の友人」。昔の友人の家への行き方をその友人に聞いているのだが電波が…。電波の悪さを押していくサマはロッチの試着室や千鳥の蒸し穴子を彷彿とさせる………いわば天丼の構成。これまでのマツモトクラブに足りなかった、分かりやすくくだらないボケ、構成のネタ。これまでR-1決勝で披露したネタより評価されやすいネタになったと言えるかもしれない。いやー、いいネタだった。

 

  • ピクニック〇

「ラジオ体操」。右手、左足、腰を大怪我した状態でラジオ体操第一をするというただそれだけ。それ以外の小細工どころかラジオ体操の歌詞を除くと本人のセリフはほとんどなく、アイディア一発勝負のストロングなネタ。一部の体操では全く動けないので動かない、という件はもうめちゃくちゃウケてたしめちゃくちゃ笑った。いい発想のネタだったなあ…。

 

  • サツマカワRPG

ほぼセリフのなかったピクニックの直後に「どうも〜〜〜〜!!!!!!サツマガワRPGで〜〜〜〜す!!!!」という超大声が映える。いいネタ順取ったな。ネタは「ショートコントを深夜3時にリメイク」。いわゆる深夜テンションを題材にしたネタで、普通のショートコントを見せてからリメイクした奴を見せるという意外に堅い構成。大声もブリッジでは出すがショートコント本編(?)では使わない。リメイク内容も「単純につまらない」ではなく「間違った方向にシュール」というのが深夜テンションらしくて良い。

 

  • 尼神インター誠子

「細かいモノマネ」。一応朝ドラだったかのオーディションという設定はあるが、本ネタはその設定と無関係な細かいモノマネいくつか。ギフト☆矢野とかおばたのお兄さんと比べるとウケはどうしても控えめ。やっぱり漫才できるなら漫才するに越したことない芸人の一人です…。

 

「明るく陽気に行きましょう」。下がり上がりでも披露していたウクレレ漫談。この人も間の使い方が巧いんだよねえ…。分かりやすいネタが分かりやすくウケていた。なんだかんだでこういうネタはこういうネタで、いい。「俺の一番の失敗作は………そういうことです」

 

「ミニセグウェイ」。いきなりミニセグウェイに乗って登場し、ミニセグウェイを使って動きモノマネをいくつか見せる。ミニセグウェイでしかできない動きで動きモノマネをするという現代性というか発想の勝利。小栗旬のカードは一回だけ使用。でもそのネタも小栗旬ではなくセグウェイでめっちゃウケてた。あれは笑う。

 

  • アイアム野田

「猫と話すおばさん」。猫に対して「〇〇なんですか?」「〇〇なんですね!」と聞き返して会話(?)をしているおばさんというコントだが、そのお題は「お笑いライブの話」。猫がお笑いライブのチケットを自分で予約して自分で行く、という笑いどころはあるがその先は「ロッピーは取りやすいけど、イープラスはすぐサーバーが落ちる」「いつもいってるライブに人気者がきてその人気者のファンがいっぱい来るからチケットを取れなくなった」「行けなくなったライブチケットをTwitterで譲り先を探して、見つからったらツイートを削除した」とお笑いライブに行く人あるある。というか実質内輪ネタ。客席は狂ったようにウケてたけどわからんわからん。決勝進出というかゴールデンの地上波で流す設計のネタではない(下ネタや反コンプラ要素はなかったけど)。いやー、賞レース予選って本当にこういうネタ見れるですねえ(田上よしえに次いで2度目。人力舎しっかりしろ)。

 

「乳首アート」。アメトーークかなんかで披露していた、乳首の形に合わせて色々な絵を描く奴をフリップで。フリップで用意している分アメトーークの時に比べるとアドリブ性は落ちるが、結構ちゃんと面白かった。

 

「隣人の苦情」。アパートで隣に住んでいる人が大学生が集まってうるさいと苦情を言いにきた………というかなり分かりやすい設定から「隣の部屋の会話をあまりにも克明に聞きすぎている男」というホラーと笑いが良い配分で共存した良いネタ。大トリだし、決勝もちらつくしでハードルは上がるけどしっかり面白かったのでしっかりウケていた。準決勝どころか決勝あると思いますね、ハイ。

 

  • 総評

とりあえず、なんだかんだ書いたが、面白くない芸人、全くウケていない芸人はいなかった。前半ウケてなくても後半で面白いこと言えばウケる。そういう受け入れ態勢がしっかりした観客だと感じた。決勝だとこれが緊張感とか会場の広さとかでウケなくなっちゃうんだよなあ…と思った。

ただ、一方で多少なりともTV出てる売れかけた人の方がウケやすいっていうのはどうしてもあるな、と。そういう意味ではZAZYとかアイデンティティ田島とかはやっぱ笑いが早く大きい。ただ、無名でも準々決勝くるとあれば面白いし、それに対してきっちりウケる、いいライブにいい客ですよ本当に。

とにかく自分は行けたらまた行きたいなあと思いましたね、結構オススメです、予選見に行くの。