ラーメン二郎は怖くない 〜初心者向けラーメン二郎ガイド〜

こんばんは、オルソンです。

 

さて、みなさんはラーメン二郎というラーメン屋に行ったことがあるだろうか?ラーメン二郎はコッテリしたスープ、ゴワゴワした太麺、こんもり載った野菜の山など様々な特徴によって他のラーメンとは一線を画している(下写真参照)。

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そのため、ラーメン二郎がラーメンに与えた影響はそれなりに大きく、二郎ではないが、先述の特徴を持った二郎のようなラーメンを提供する店も現れ、「二郎系」、「二郎インスパイア」といった名前で呼ばれている。「ジロリアン」と呼ばれる熱狂的なファンが多数いることが知られる一方で、コアなファンのみが客であり、一つの魔境が作られていると思い敬遠する人も後を絶たない。例えば…

 

久々に池袋店行ってきたのでレポ。

開店一時間前から並んで、俺は余裕の一番乗りをゲット。
いわゆる、ファースト・オブ・ファースト。
開店して着席、
一息ついて改めてファーストロットメンバーを確認してふと気づいた。
普段はこの店、学生が多いのだが今日はサラリーマン、OLと客層が豊か。
しかも素人が多いのか、コールの仕方もめちゃくちゃで、
他の麺バーとの協調性のかけらも見えない。
これはまずい・・・ファーストロットの乱れは、
閉店まで波及しオペレーションに重大な支障を来たす。
ふと店主と目が合う。額に汗を浮かべながらのその表情は明らかに
「たのむ・・・あんたがロットマスターになってなんとかしてくれ」
と訴えかけていた。。。
ここまで期待されたら、断る理由は無い。やってやろうじゃないの。

大豚W全マシが俺の前に置かれる。難攻不落の要塞さながらのその野菜の山に、
俺はさっそく箸を刺しこみ、胃袋に詰め込み始める。
しかし、今日はいつもの単純な、自分との戦いではない。
俺は自分の要塞を攻略しつつ、店内を注意深く監視する。

さっそく発見。盛りの豪快さをネタに、しゃべりまくる二人連れの学生。
――ロット乱しの元凶その1、『不要な私語』。ギルティー。
俺は勢いよくテーブルをバシッ!と叩く。
その音に驚き、店内に再び静寂と規律が戻った。

そしてその隣!長い髪を気にしながら、
上品にすぼめた口で一本ずつ麺をすすりこむOL!
――ロット乱しの元凶その2、『女』。ギルティー。
俺は箸で女を指し「すばやく食え!」と麺をかきこむジェスチャーを送る。
OLは髪に添えていた手を放し、一心不乱に麺をかきこみはじめた。
そう、それでいい。

ロットマスター(=俺w)の的確な指揮により生まれた規律と調和。
俺はさながら、オーケストラを指揮するコンダクターだ。
この全能感、多幸感―――。

結果、全員がほぼ同時にどんぶりをカウンターの上に置くことで、
ファーストロットという名のコンサートは見事に成功し幕を閉じた。
店を出たところで、先ほどのOLと目が合う。
軽く俺がウィンクをすると、彼女は恥ずかしそうに逃げていった。

 

 

といったコピぺが、ネット上に伝わっている。

 えー、なんだこれは。なんなんだこれは。何とこのコピぺ、1000文字近くある。なげーよ。あんまり文字数が多い記事書くとはてブロのアプリが重くなるから嫌なんだよ。しかも、このコピぺに書かれていることは基本嘘である。ラーメン二郎はもっとカジュアルに誰でも行けるラーメン屋であるというか普通のラーメン屋にすぎない。ということでこの記事では自分が初めてラーメン二郎に行った経験を話し、先述のコピぺに代表されるネットのデマを一刀両断してやろうと思う。

 

 

1、ろう

私が初めてラーメン二郎に行ったのは松戸駅前店である。これをいうと大学が思いっきり特定されるが、私の大学は松戸駅が最寄り駅であり、前々から「松戸にもラーメン二郎がある」とは聞いていたが、先述のコピぺに怯んでいたのと、大学と二郎が駅を境に点対称だったためにしばらく行かずにいた。ここで、旅行等のついでにラーメン二郎に行こうとしている読者に注意しておきたいのは大体のラーメン二郎は駅前にないということである。これは松戸駅前店とて例外ではない。そんなこんなで、大学1年の夏頃、意を決してラーメン二郎に入店した。ロッカーキーの番号が書いてある方みたいな食券を購入し、並ぶ。なお、食券を購入してから並ぶのか並んでから食券を買うかは店によるが、前者の二郎の方が多い、と思う。さて、通常ラーメン二郎には「ラーメン」しかないが、厳密には「小ラーメン」「小豚ラーメン」「大ラーメン」「大豚ラーメン」の4種類がある。つまり、大盛とブタ(一応補足しておくと、ブタとはチャーシューのこと。)増量はできる。また、横浜関内店などには混ぜそばがあり、京成大久保店などにはつけ麺がある。というか京成大久保店には味噌ラーメンもある。何でだよ。例外を長々と語ってしまったが、初二郎だった私は当然「小ラーメン」を注文。二郎では小が並盛を意味する。あと、並盛を意味すると言いつつ普通のラーメン屋の並盛よりはだいぶ多い。店内を見回す。意外だったのは女性が散見されるということ。女性がどんどん強くなっていくこの日本社会において、ガッツリした飯は男しか食べないという時代はとっくの昔に終わっていたようだ。なーにが、「ロット乱しの元凶その2、『女』。ギルティー。」じゃバカバカしい。…と思っていたら、女性客の一人が1/3くらいラーメンを残し、店員に謝罪しながらカウンターに丼を置いた。それに対して、店員は笑顔で「いいよいいよ」と言いながら丼を下げた。そう、少なくとも松戸駅前店において(他の店舗でも見たことないけど)、お残しを全部食べきるまで帰さないという昭和の学校給食みたいな蛮行はしていないのである。もちろん、不用意なヤサイマシマシや大ラーメンの注文による安易なお残しは、二郎各店舗のTwitter公式垢(持ってる店舗と持ってない店舗があります)で度々ボヤかれるし、食べ物を粗末にしない方がモラルが優れているので、お残ししないに越したことはないが、店内でリバースするよりはよっぽどマシなので、無理はしないでおこう。あと、これは男女問わずなのだが、2人連れくらいなら普通にいたし、雑談もしていた。これは個人の見解だが、せっかく友達と一緒にメシ行こうって時にカウンターのラーメン屋に行こうとする神経がわからない。それほど強い中毒作用の現れと取れなくもないが。さて、1人でスマホをイジりながら座席で待っていると、店員が「ニンニク入れますか?」と聞いてくる。ご存知の方も多いと思うが、この質問は「はい」か「いいえ」で答えるものではない。「ニンニク入れますか?」としか聞いていないが、実際にはニンニクの他にヤサイ、アブラ、カラメを追加することができる。今の4つの中にわからない食べ物がある人は下記参照。

 ニンニク:ニンニクであることに間違いはないが、チューブニンニクより粗めに刻んだ生ニンニク。粒の大きさや辛さや水分量などは店舗により異なる。

ヤサイ:もやしとキャベツの混合物。なお、8割はもやしであり、店によっては10割もやしの場合もある。

アブラ:二郎は豚骨醤油なのだが、豚骨スープは長く煮込み、背脂がたっぷりプカプカ浮かんだものを使用している。そして、アブラを頼むと、豚骨スープの上澄みの背脂が投入される。

カラメ:二郎の醤油は「カネシ」という尖った味というか、しょっぱいというより塩辛いと言える味わいの特殊な醤油が使われている。そして、カラメを頼むと、カネシ醤油を追加で入れてくれる。けして、ラー油やタバスコ的なものではないので注意。

 

さて、私は「ヤサイニンニクマシ」と答えた。麺や豚やアブラを増やすと腹にくるが、もやしなら増やしても大丈夫だろうという算段によるものだった。結果的にこの算段は成功。コッテリした麺や豚を食べる合間に汁に浸かってないもやしを食べて口をさっぱりさせる、というのが最も食べやすくて美味しい食べ方だと思うからだ。あと、暴飲暴食をしても食物繊維を摂取しておけば整腸作用によりウンコが程よい硬さになるというメリットも見逃せない。なので、基本的にヤサイはマシにしておいた方がいい。なお、アブラを入れるとヤサイの上にアブラが載るため、ヤサイでさっぱりする技が使えなくなるので注意!(下写真参照)なお、二郎系の盛り付けが汚いというイメージはこのアブラを丸出しにするスタイルに支えられている部分が大きいと思うが、アブラを入れなければ下写真のようにアブラがヤサイの上に載っかることはない。

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食べきることはできたが腹は一杯。この時はしばらくコッテリしたもんいらんな…というか、もう二郎は一生いいな…と思っていた。はずなのだが、数ヶ月に一度はどうしても二郎食べたくなる体質になって今に至る。

 

2、初二郎向きの店

以上が私の初二郎経験談である。私は「大学の近くにあったから」という理由だけで初二郎に松戸駅前店を選んだが、一方で二郎は麺の太さも豚の味も汁のコッテリ具合も店の雰囲気も店舗ごとに異なるという事実がある。そこで今回は全店舗を制覇したわけではない私が、初心者向け二郎をいくつか紹介しようと思う。亀戸店とかは店主が怖いんだ…。

 

  • 目黒店

初心者向けとして有名な二郎。というのも一杯500円で、少し量が減りだいぶ安くなるという価格&量設定が完全に初心者向けなのが特徴。なお、量の減りっぷり以上に価格の下げっぷりが大きいため全ての二郎で最もコスパが良いとされている。ただ、この店。他の二郎と比べても店が狭い、天井が低い、店主の雰囲気が怖い、他の二郎と比べても駅から遠いなどコスパ以外のほぼ全ての点が初心者向けとは言い難い店舗になってしまっている。個人的には、目黒店を初心者向けとしてはオススメできない。

 

  • 品川店

今まで行った店の中で、汁が最もさっぱりしているところの筆頭。とはいえ、普通のラーメンよりはコッテリしてるけど。また、店内にゆとりがある点や食券を出す前に「麺少なめ」と申し出れば麺少なめになる点なども初心者向けに選んだ理由である。

 

  • 札幌店

 試される大地に初出店した二郎。僕の記憶が正しければ仙台店や会津若松店や京都店より早く出店したはずで、当時はほとんど首都圏のみだった二郎が北海道に出店するなんて!と大変驚いた記憶がある。店舗が広い、券売機に「麺少なめ」ができることや、「ニンニク入れますか?」など、二郎独自のシステムが丁寧に書いてある、二郎としては珍しく多少魚介ダシも入れてることもあってか少しあっさりめになっている、などが特徴である。冬の札幌で身を冷やし、腹を減らしてから食えば、冬眠前の熊みたいな原理で少食のキミも二郎を食い切れるかもしれない。

 

  • 環七一之江店

個人的に初心者向けとして最もオススメの店舗である。品川店と比べると店の面積は狭いが、一人一人のゆとりは恐らくこちらの方が上。さらに、カウンターが厨房をぐるっとほぼ270°回る構造により大収容数を実現。店主の雰囲気が良い、など申し分なし。

また、環七に面する出口から出れば、駅から徒歩5分程度という立地の良さ&わかりやすさも良い。量はやや少なめ、汁のコッテリ度もやや低め、麺のゴワつきがやや低め、と全てがやや控えめなのが特徴。この全てがやや控えめな二郎で二郎の雰囲気を掴むのが二郎童貞卒業には良い、と思う。あとこの店は汁なしがある。

 

3、人生が変わる1分間のロットの話

 「日テレの番組のロゴを色使いと構文だけ再現する」という見出しの小ネタがいよいよネタ切れしたが、先述のコピぺでも出てきた「ロット」という単語の説明がまだであったため、まだこの記事を続けようと思う。この記事のテーマは「二郎コピぺとかいうデマを一刀両断」なので、太字の部分だけ流し読みすれば、先述のものに代表される二郎コピぺがいかにホラ吹きピー太郎かわかってくれるように設計している。というわけで太字で書かせていただくと、ロットという5人程度の客の塊は存在する。どういうことか?まず二郎というのは大変麺が太い。ということは茹で時間が通常のラーメンと比べてかなり長い。そのため、カウンターから厨房を覗くとわかることだが、店員はラーメンを5杯(店によるはずなのだが大体5杯)同時並行で作っている。そして、行列ができると「客が5人入店→5杯同時に作って提供→5人が同時に食べ終わる→客が5人入店→…」のループを形成する。この「客が5人入店」というのがロットである。そして、上記の無限ループをよく読むと机上の空論ということに気づくだろう。そう、人間がものを食べるスピードには個人差があるので「5人が同時に食べ終わる」とは限らないのだ。そのため、食べるのが遅い客が現れると次の「客が5人入店」にループに繋がらなくなる。これが先述のコピぺにも出てきた「ロットが乱れる」状態である。しかし、ラーメン二郎の店員も人の子。よって、ロットが乱れたからと言って怒る店員などまずいない。少なくとも俺は見たことない。なので、安心して二郎に行ってほしい。