人間とは何か?ロボットとは何か?〜お笑いを通して考える〜

ロボット工学三原則

第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

— 2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版

 

 

 

どうも、こんばんは、これからロボットの話をするのでロボット工学三原則をド頭に挿し込んだら頭良く見えるかと思ってやってみた、オルソンです。

今回テーマとなるロボットはこちら

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そう、pepper君である。pepper君は、あなたの街のsoftbankショップにも必ずいる、ヒューマノイドロボットであり、最近は8割の企業でいらないというニュースも出てきてしまっているヒューマノイドロボットである。しかし、pepper関連では最近こんなニュースもあった。

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そう、R-1ぐらんぷり2018決勝進出者であるカニササレアヤコがpepperを相方にしてM-1グランプリ2018に出場したのである。戦績自体は一回戦敗退(どうやら、本番でpepperの挙動が上手く行かなかったらしい)だが、これは非常に重大なことである。よくピン芸人が別のピン芸人と即席でコンビを組んでM-1に出ることはあるが、ロボットと組んでM-1グランプリ出場というのが非常に21世紀らしい。20世紀にはロボットもM-1グランプリもなかったからだ。ただ、それ以上に重要なのはpepperが人間として認められたということである。というのも…

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M-1グランプリの出場資格にはきちんと「1名での出場は不可」と書かれているからだ。漫才の大会であるM-1グランプリでは小道具とは縁がないように思えるが、実はリップクリームくらいだったら出場できる。しかし、pepperはリップクリームのような「モノ」ではなく「ヒト」として出場を果たしたことになる。そうでなければ、前述のアイアンアームズが、「カニササレアヤコとpepperのコンビ」ではなく「カニササレアヤコが小道具持ってきてネタをしている」ということになり、そうなるとM-1グランプリには出場できないからだ。

と、ここまで書いておいてなんだが、よく調べてみるとM-1グランプリの舞台にpepperが立ったのはアイアンアームズが初めてではないらしい。

【密着レポート】ロボット漫才のペッパーズ、今年はなんと2台のペッパーで漫才!?|ロボスタ https://robotstart.info/2017/10/06/doublepepper-m1.html

3年前のM-1グランプリですでにpepperをM-1の舞台に立たせた男はすでにいた。しかも「本人がpepperを相方にして漫才」というアイアンアームズパターンでは飽き足らず、「pepperとpepperで漫才」という0人での出場までさせていた。まあ、0人での出場はM-1グランプリ出場規約で禁止されていな…あ、2名以上ってキッチリ書いてあったわ。ということで高度に発達したヒューマノイドロボットは人間と見分けがつかず、M-1グランプリの主催である吉本興業や制作局の朝日放送はpepperを人間として認めている、という結論が出る。

 

さて、pepperのお笑い賞レース出場はM-1グランプリにとどまらない。実はR-1ぐらんぷりにも出場している。そして吉本興業公式チャンネルにその動画もある。

https://m.youtube.com/watch?v=tmTZufx4MEk

ネタのクオリティ以前に、「pepperの胸元の画面でフリップ芸というのはpepperの個性を生かしているが、pepperの胸元の画面は斜めなので観客からの視認性が悪い」という問題点を抱え一回戦落ちしているわけだが、R-1ぐらんぷりM-1グランプリと対照的にピン芸人の大会である。ということはpepperはR-1ぐらんぷりの制作に関わっている関西テレビから見ても人間なのだろう。もしそうであるならば、「人間とpepperの会話劇」は一人コントにはならないのだろう。ところが、そうなると、疑問が湧いてくる。

R-1ぐらんぷりに限らず、一人コントには「エアーで会話の相手がいるテイ」というのは定石である。今年でいえば、ルシファー吉岡の生姜のネタや紺野ぶるまのプロポーズのネタがそうだ。これ自体は114514年前からある手法であり、エアーである以上「こんなのピン芸じゃない」って言われることはなかった。しかし、そんな一人コントに革命を起こしてしまった男が数年前からR-1ぐらんぷりの決勝に幾度となく来ている。

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そう、マツモトクラブだ。彼のコントの特徴は録音した音声との会話劇。つまり、エアーでの話し相手は相手の台詞を想像させる台詞回しが必要になるがそれを「録音した音声を相方にする」という手法で乗り切っているのだ。こうなってくるとpepperにボケをプログラミングさせるネタとボケの音声を録音して流しているコントの違いはいよいよ説明しにくくなるのではないだろうか?どちらも見ようによっては2人との会話であるし、見ようによっては1人が考えて吹き込んだものと本人のネタなので1人コントと言えるのだから…。pepperは人間を模している、ということであれば録音音声も人間を模している(どころか声はマツモトクラブの生声)し、pepperは機械だ、ということであれば音声を録音再生するのも機械なのだから…。もう分かりません。ヒューマノイドロボットって何ですか?人間って何ですか?人間味って何ですか?人間性って何ですか?ロボットって何ですか?tan1°は有理数か?初めからそう諦めてしまったら僕らは何のために生まれたのか?Yesでいいのか?趣味は?人間関係は?イケメンだけど彼氏はいるの?

 

 

と、ここまで書いたところでR-1ぐらんぷりってその昔、なかやまきんに君とキャプテンボンバーを別人としてエントリーすることを認めたことのある大会だったことを思い出したのでもう寝ます、おやすみ。

(おしまい)

 

 

 

 

 

 

相席食堂殺人事件

ノブ「お隣よろしいですか?」

大悟「どうぞ」

二人「千鳥の相席食堂です」

ノブ「もう、丸パクじゃあ!!!!」

大悟「ハッハッハ!!!これはイカンよ、本当に。これはやっちゃダメよ。」

ノブ「これ、だけはね!誰やこれ考えたん!?」

構成作家「あ、僕です」

ノブ「また君か!?」

大悟「君ではないけどね、考えた人は別にいるわけだから。もう彼は涸れきってるから。」

ノブ「亀田みたいに言うなぁ!」

(VTR再生)

ナレーター「今回、相席する旅に向かったのは…岩手県盛岡市の富士見町。(シャララーラ♪シャラララーラ♪)冷麺でも有名な盛岡市にあるこの町は人口当たりの麺の本数の消費量が日本一。そんな町で相席するのは…」

KAITO「どうも、こんにちは」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「KAITOさんや!」

ノブ「レッドヘアーズのボーカルの?こんなに髪赤かったか?」

大悟「見ない間により赤くなった……鉄火丼みたいな…夕方のニュースでよう見る鉄火丼みたいな…」

ノブ「ハハハ、メガ盛りのな!」

KAITO「どうも、こんにちは。KAITOです。ロケはね、初めてなんですけど…ここは、僕の出身地でしてね…」

ノブ「岩手なんや」

KAITO「小学生の時はいじめられてまして、朝行ったら机の上に花があったり…」

\ちょっと待てぃ!/

ノブ「二度とその話すなよ!」

大悟「こんな明るいロケでそんな暗い話!こんなにも晴れ渡っているのに!」

KAITO「朝行ったら机の上に花があったり…担任もいじめに加担してましたから…このままじゃ生き地獄だなって思いながら過ごしてましたね…」

ノブ「もうええ、もうええ!」

テロップ(AM11:55)

ノブ「12時でええ!」

KAITO「いやー、まずは食堂を探さないと…」

通行人「レッドヘアーズのKAITOさんですよね?サインお願いできますか?」

KAITO「いいですよ」

大悟「いい人や」

(KAITO、ペンを出すためにカバンを開ける)

\ちょっと待てぃ!/

大悟「どうした?」

ノブ「見てみ?KAITOさんのカバン。こんなに快晴やのに、レインコート入ってる」

大悟「ええやろ、それは。心配性なんやろ。急に雨降るかもしれんし。」

ノブ「雨の心配してんの?レッドヘアーズが?」

大悟「それはするやろ、レッドヘアーズでも」

(KAITO、ペンを出すためカバンを開ける)

KAITO「ちょっと待ってくださいね、あっ!」

小銭「ジャラジャラジャラジャラジャラ!」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「小銭がジャラジャラて!チャリンとかやなくてジャラジャラて!」

ノブ「財布パンパンやろ〜これは…」

大悟「紙幣を知らん人やん」

小銭「ジャラジャラジャラジャラジャラ!」

KAITO「あ、あ、あ、ちょっとすいません(全部拾ってから)はい、サイン。」

通行人「ありがとうございます!」

KAITO「あっ、この店とか良さそうじゃないですか?『田中素麺』。すいません、相席食堂という番組でカメラ入ってもよろしいでしょうか?」

ノブ「ええ人はええ人やなあ」

KAITO「すいません、ここ座らせてもらってもいいですか?」

                

ナレーション「田中素麺、生まれも育ちもここ、富士見町の店主が小麦粉から作る素麺は透き通るような白さと喉越しが特徴。富士見町民自慢の一品。」

KAITO「(素麺をすすって)あ、美味しいですね。あ、赤い麺も入ってる。あれ?あ、自分の毛か。」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「何今の?何を見せられたん?」

ノブ「自分の毛が赤いって忘れたんか!?」

テロップ(PM2:05)

ノブ「2時でええ!」

ナレーション「続いて、KAITOが訪れたのは…パスタナポリ。林の中に佇む落ち着いた雰囲気のお店。看板メニューは店名の通り、ナポリタン」

ノブ「ナポリタン、ナポリ由来じゃないやろ!」

KAITO「いやー、いい雰囲気の店内ですねえ…」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「どした?」

ノブ「目ぇ、怖すぎじゃあ!TVに出していい顔じゃねえ!」

大悟「ハッハッハ!ほんまや、これあれやろ?人殺したやろ?」

店主「こちら、ナポリタンになります」

KAITO「あ、それでは早速いたd…」

外のパトカー「ピーポーピーポー♪」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「これは良くないよ。消さないと。」

ノブ「一生懸命やってるんやからな」

大悟「サイレン消すか、撮り直すかしないと、これは」

KAITO「それでは、早速いたd…」

パトカー「ピーポーピーポー♪」

KAITO「あれ?何かあったんですかね?」

店主「うちの従業員が見つけたんですけど、裏の林で叫び声が聞こえて、行ってみたら田中素麺の店主さんが死んでたらしいです。ちょうどミヤネ屋が始まったから14時頃のことでした。」

\ちょっと待てぃ!/

ノブ「冷静すぎるやろ!!!!」

大悟「この店主犯人ちゃう?」

ノブ「コラコラコラ!たしかに冷静すぎるけど!!!」

大悟「いや、だって自分の店の裏に死体あるんですよ?それもせっかくのTVロケで。」

店主「裏の林で叫び声が聞こえて、行ってみたら田中素麺の店主さんが死んでたらしいです。ちょうどミヤネ屋が始まるから14時頃のことでした。」

KAITO「ええっ!?誰に殴られたんですか!?」

\ちょっと待てぃ!/

大悟「なんで撲殺限定なん?」

ノブ「ハハハ!そうやなあ、普通は刺し、じゃあ〜!」

大悟「普通は、っていうのもおかしいけど…でも普通刺すよなあ!」

KAITO「誰に殴られたんですか?」

店主「それはまだわからないですけど…とにかく、冷める前に食べてください」

ノブ「食えるかあ!」

KAITO「あ、そうですね。では。」

大悟「食えんのかい。」

KAITO「ズズズ…あ、美味しいですね。(ここでナポリタンの映像に切り替え)ケチャップだけじゃないというか、すごいトマトが効いてるというか…(ここでKAITOの映像)」

\ちょっと待てぃ!/

ノブ「どした?」

大悟「見てみぃ、KAITOさんの袖口。もう赤いねん。」

ノブ「本当だ!まだほとんど食べてないのに!」

大悟「ナポリタンに腕入れた人の汚れ方なのよ、あれは。」

ノブ「韓国の露店の人や!」

KAITO「いやー、美味しかったです。ありがとうございました。(なぜか財布を出すKAITO)」

スタッフ「お代はこっちが…」

KAITO「あ、そっか」

\ちょっと待てぃ!/

ノブ「これ天然か!?」

大悟「やりに行ったやん、これは!やりに行くとしたら1軒目やん!」

ノブ「ほんで、何で財布こんな薄いん!?」

大悟「ハハハハハ、ほんまや!小銭が消えた!」

ノブ「あんなにあった小銭が!」

BGM「シャララーラ♪シャラララーラ♪」

KAITO「千鳥さん、今日は久々に里帰りできました。どうもありがとうございました。」

おわり

\ちょっと待てぃ!/

大悟「髪の毛、黒なってない?」

ノブ「ハハハ!暗いだけやろ!」

大悟「退色してるやん!」

ノブ「してない!暗いだけやって!」

おわり

ノブ「今日、おかしない?」

大悟「おかしいんよ。まず引っかかったんが小銭やな。せやけど、他にもおかしいとこいっぱいある!」

ノブ「そやなあ。」

大悟「結論いうど。ワシはな、KAITOが田中を殺ったと思っとる。」

ノブ「やっぱりか。まずおかしいんは、小銭が消えとるんよ。」

大悟「あの小銭が凶器じゃ、袋かなんかに詰めたら鈍器になる。」

ノブ「そうやろ?だからKAITOさんはあの時『誰に殴られたんですか!?』って聞いたんや。」

大悟「そうじゃ、あ、でも犯行時刻は2時やって言っとったからKAITOさんにはアリバイがあるか」

ノブ「いや、2時じゃないんよ。テロップによると2時5分なんよ。それで、ナポリ店主曰く叫び声が聞こえたんはミヤネ屋がちょうど始まったところやから2時なのよ。」

大悟「なるほど…今日行ったん誰や、このロケに。」

スタッフ「あ、僕です。」

大悟「あの〜、ナポリ入る直前にKAITOさんいなくならんかった?」

スタッフ「え〜〜と、あ!確かにトイレ行きたいとおっしゃって、しばらくいなくなりました!」

ノブ「アリバイ崩れた!2時で良くなかったんや!」

大悟「つまり犯行の流れはこうじゃ。まずKAITOはロケとして田中素麺に寄り、何らかの方法で店主をナポリの裏に呼び出す。その後、何事もなかったかのようにロケを続けるがナポリの前で一旦トイレといってスタッフから離れる。そんで、財布の中に入れた大量の小銭をビニール袋に入れて鈍器を作り、田中さんを撲殺する。」

ノブ「返り血わい?返り血つくやろそんなんしたら。」

大悟「レインコート持ってたやろ?あれで返り血防いだんやろ。それでも袖口と前髪についてたけどな。」

ノブ「そうか!だからナポリタン食べてた時韓国の露店に…」

大悟「まあ、だからナポリに入った頃にはついてたっちゅうことやな、あの血痕は。そんで、ロケがエンディングを迎える頃には酸化して前髪についた血が黒くなったんよ。」

ノブ「なるほどな…」

大悟「そんで、小銭を回収する。時間がないからレインコートもナポリの近くにあるはずだから、証拠になるど。でも、動機がわからん。」

ノブ「それは分かっとるわ。冒頭で『小さい時いじめられてて』みたいなこと言っとったやろ?そんで田中製麺は店主が地元育ちってナレーションで言うとったじゃろ?」

大悟「なるほど、いじめてたんが…」

ノブ「いや、違和感あるな、とは思うとったけど、推理繋がったな!古畑やん、もう!古畑やん!」

大悟「古畑じゃないです、新畑です。」

ノブ「つまらんのぉ!」

(おしまい)

サンキューちばフリーパス旅行

どうも、こんばんは。おそらく誰にも旅行記を期待されていないオルソンです。

 

 

今日は、10月の日曜日と月曜日にサンキューちばフリーパスという切符を使って旅行に行った時のことを書こうと思う。

 

サンキューちばフリーパス

千葉県内のJR線、銚子電鉄いすみ鉄道小湊鉄道、流鉄の全線および、ちばこうバスなど一部の路線バスまで乗れてしまうフリーパス。乗車可能範囲が「千葉県内JR全線」なので、十二橋や天王台など変なところがフリーパスの限界となるのも特徴。値段は3900円だが、フリーパスとしてはやや珍しく、子供料金設定アリ(1950円)。発売期間は8月1日〜11月29日で、利用期間は9月1日〜11月30日である。何の一ヶ月!?なお、2日連続での使用が必須。

 

というわけで、電車を使っていすみ鉄道小湊鉄道銚子電鉄を2日間かけて撮影したのが今回の記録である。

 

1、1日目

まず、小湊鉄道を海士有木で撮るために、8時に千葉駅入りという悠々としたプランをセッティング。小湊鉄道の始発である五井は千葉からの所要時間がたかだか20分、そしてそこからたかだか9分で着く海士有木の駅前にはもう田んぼが広がっているのだワハハハハ。と、タカを括っていた、が、しかし。私は里山ロッコの存在を忘れていたことに気づいてしまう。里山ロッコとは2015年から運行開始した、3両のトロッコがSL型のディーゼル機関車によって牽引されている列車だ。ただし、運行区間が上総牛久〜養老渓谷間なので、海士有木での撮影は不可能なばかりか、上総牛久より奥なので本数は五井〜海士有木のそれの半分になり、アクセスが格段に終わってしまう。千葉駅8時入りなんて悠長なプラン建てなきゃ良かった…遅起きは三文の損、とはこのことである。さらに、里山ロッコの撮影にはもう一つ問題点が。この時間からなんとか上総牛久に行き、午後はいすみ鉄道を撮る前提で撮れるのは92号という上りすなわち上総牛久行である。小湊鉄道は東西に線路を伸ばしているため、単純に考えれば養老渓谷からやってくる里山ロッコは東からやってくる。それを午前中に撮るってのは…逆光だ…。が、これらの問題をハイパーダイヤとグーグルマップとオルソン大先生のスーパーウルトラブレインにより解決、アドリブで撮影記のプランを立ててしまったのだ、ワハハハハ。特に工夫を光らせてやったのは、光線の問題。

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小湊鉄道は概ね線路を東西に走らせているが、カーブが全くないわけではない。ないわけではないはずという執念がこのヘアピンカーブを見つけさせ、不可能を可能にしたのである。

里山ロッコがやってくる。実際に撮った写真は少し傾いたので、久々の撮り鉄だしこういうこともあろうかとあらかじめ調べておいた方法でチョイチョイっと傾きを直して…

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いや、全然逆光なんかい!!!!!どこでどうミスったのかわからないが不可能を可能にできていないことだけはわかる。あまりに不可能を可能にできていないので、びっくりしてカメラが傾いたのである。慌てて後追いを撮ったが、それも傾く。幸先最悪のスタートだ。幸先最悪って語呂はいいね、語呂だけは。

こんな不可能が可能にもならないしょっぱい撮影地はさっさと移動する。馬鹿野郎お前俺は良き田んぼにいくぞお前。ちなみに良き田んぼはここからさらに上総久保側にあり、とうとう上総鶴舞より上総久保の方が近いところまで来ることになる。健康のために一駅歩いたので今日は何食べてもゼロカロリーである。

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小湊鉄道キハ200形。里山ロッコ以外の小湊鉄道在籍者量はすべてこれだが、DMH17Cという1950年代開発のエンジンを搭載しているおそらく最後の車両であり、新造年も一番新しくて1977年という非常にレトロ調ではなくレトロな車両である。写真はちょうどいい柿の木があったのでそれが背景になるように撮る。背景ってこだわれるならこだわった方が絶対いいね。

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通過駅のある優等列車の方が所要時間が長いという人間の固定観念を裏切ってくる路線図

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上総鶴舞まで行く途中で上総牛久で乗り換えたときにすることがなさすぎて撮影した、鉄道ファンフォトコンテストで一枚は入賞してる感じ風のスナップ

ここからどうやっていすみ鉄道に行くのか?路線図を見ると上総中野を経て房総半島を突き抜けることを思いつくだろう。しかし、実際はあまりに本数がないので五井まで戻って、蘇我外房線に乗り換えるのが一番早い!というわけでそのルートに乗っかり、途中蘇我で万カツサンドと酒を購入し、ボックスシートで一杯引っ掛けながら大原へ向かう。ちなみに後述するが、この日の昼飯はトンカツ定食を予定している。

トンカツ定食における最悪の前菜を酒で流し込んだ男が大原に到着。ここで駅前の源氏食堂というところが今日の昼飯。この食堂は孤独のグルメに出演経験があるほか、いすみ豚を使ったトンカツがとにかく分厚いと評判らしい。なお、正式名称はトンカツ定食ではなくカツライスであった。ここは「〇〇定食」ではなく「〇〇ライス」というようだ。生姜焼きライスやコロッケライスなどもあった。また、カレーライスというメニューもあったのだが、これはカレーが主菜の定食なのか、それとも普通に思ってるカレーライスがくるのか?????

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大きさを比較するタバコの箱的なものがないが、それでもつたわるこの厚さ!もちろんただ厚いだけではなく、エビじゃないはずなのにプリプリした食感の脂身としっかりした噛み応えの赤身の触感バランスが非常に良くてめちゃくちゃ美味しい!これは凄いわ…いすみ豚最高!源氏食堂最高!

さて、大原駅での接続時間は18分。つまり、のんびりと大原で昼飯を食べるといすみ鉄道に乗り遅れるというシステムで旅程を立てている。しかし、ご安心を。次の撮影地は大原〜西大原なので歩けばOKなのである。撮影地の近くに保育園と子どもセンターがあり、列車を待っている途中にその運営を行っているおじいさんが現れて「この山の上には親のない子どもたちがいっぱいいる、そういう施設を私が建てた」という話を聞かされて(保育園と子どもセンター同じ人が運営してる上に、近くに住んでるんかい!)と思ったり、カメラの電池がピンチを示すオレンジ色の表示になって慌てたりしながら休日限定のいすみ鉄道名物急行列車を待つ。

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いすみ鉄道の急行列車はキハ28とキハ52の併結により、国鉄時代の急行列車をそのまま再現しているのが特徴。

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いすみ350形。一見すると古めかしいデザインだが、そういうコンセプトの車両なので実はいすみ鉄道の中では結構な新車である。

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先ほどの普通列車が大原へ向かうための運用も横がちに取ることで有効活用。まさかラッピングが白飛びの要因になるとは…。

写真を撮ったので西大原駅に歩き、帰還。その時やってきた普通列車キハ20だった。もう一本ぶん待てばよかったかな…いや、でも結構日没近かったし、そもそもいすみ200形も撮れてないし…まあ、しゃあなし、ということで。

帰りは駅前の魚屋でイカの塩辛を購入した。特急の車内で酒と一緒にチビチビやるためだ。しかし、この塩辛、全然匂いが立たないな…と思ったら、凍っていやがった。まさかの販売形式。仕方がないので家まで塩辛はお預けとなり、ただただ特急で千葉へ戻っていった。

夕飯は千葉駅前にある大阪王将天津飯を食べる。卵はフワトロで美味しかったが、卵が美味すぎてご飯が邪魔な気がした。しかし、大阪王将…こんなに美味いとは…。

 

2、2日目

この日は6時に千葉駅入りをするという非常に早起きな予定。しかし、目的地は銚子。乗り換えなしかつ終点なので、実はここから2時間も眠れる、やったね!まあ、実際は1時間半くらいのとこで起きてしまったのだが、特に何かが起こるでもなく銚子に到着。ここから銚子電鉄に乗り換えだ。

銚子電鉄は駅舎が個性的なのが魅力の一つ。洋風の駅舎もあれば、木造駅舎をそのまま使用している駅舎もある。また、本銚子駅はヒロミがリフォームしたことで話題になった駅舎だ。

※注意※

線路内立ち入りは犯罪です!危険であるだけでなく、場合によっては乗客に多大な迷惑をかけることにもなりかねません。

また、撮り鉄1人がそういった行動をとると撮り鉄全体のイメージの毀損につながります。

ルールを守って楽しい撮り鉄ライフを。

そんな本銚子駅も華麗にスルーし、次の駅の表示画面を鵜呑みにしていたら目的地をスルーするトラブルに見舞われ、犬吠駅で折り返そうにも犬吠駅の駅舎に発達している鯛焼き屋や売店は朝早すぎて開いていないなんてこともありつつ、君ヶ浜駅に到着。この近くの第4種踏切、つまり遮断機も警報機もない踏切が撮影地だ。

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2500形。元々は京王線の車両だったが、塗色を銚子電鉄色にして使用している。逆側が湘南窓。

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元々は伊予鉄道の車両。デビュー当時から今に至るまでなぜか、澪つくしカラーという銚子が舞台だった朝ドラのタイアップカラーになっている。

なんと、銚子電鉄は機関車を除くと、現役車両が2編成しかなかった。なので今日この場所に居続けても別の列車が来ることはない。早起きしなければよかった。1日目は早起きすればよかったのに2日目は早起きしなければよかったというこのプラン構成の下手さ。そしてアドリブで予定を作ろうにも銚子は千葉の端なので別の場所で撮り鉄というのも難しい…。というわけで銚子観光に切り替えることに。まず君ヶ浜駅から銚子行電車に乗り、ヒロミが改築した本銚子駅をまたスルーして、観音駅へ。

※注意※

線路内立ち入りは犯罪です!危険であるだけでなく、場合によっては乗客に多大な迷惑をかけることにもなりかねません。

また、撮り鉄1人がそういった行動をとると撮り鉄全体のイメージの毀損につながります。

ルールを守って楽しい撮り鉄ライフを。

観音駅はぬれ煎餅とたい焼きを売っている…はずだが、やっていない。仕方ないので、銚子市場を目指し、ガイドブックに載っていた「久六」という店で、ガイドブックに載っていた金目鯛漬け丼(1890円)を食べることに。しかし、久六はマグロ専門店となっており、マグロ背中トロ漬け定食(2980円)を食べた。ガイドブックに騙されるとは思わなかった。思わぬ出費だ。みなさんも古いガイドブックはさっさと捨てましょう。諸行は無常なので。ただ、その味は抜群。脂の乗り方がマグロごとにまちまちで、しっかりした食感のマグロもスルッとなくなる脂の食感も両方楽しめた。ご飯も炊きたてだったし、おかわり自由なのでおかわりしてしまった。美味しい美味しい定食だったが、完全に写真を撮り忘れていた、ということに気づくのは店を出て観音駅に戻る途中のことであった…。

さて、銚子観光には犬吠駅に向かえば灯台も地球が丸く見える丘もあることがわかった。展望台が2つって犬吠にはバカと煙しかいないのか?そして、このまま犬吠に行く列車を観音で待つと1時間以上待つことが判明。「歩く」ということを含めなんらかの手段を探すと、20分後くらいに来る、銚子電鉄と似たようなルートを辿る路線バスを発見。しかもそのバスはちばこうバス!そう、冒頭で話したようにサンキューちばフリーパスで一部区間無料になるバスだ!よしっ!イケる!と思い調べたところ、銚子周辺の路線は全てサンキューちばフリーパス適用外でした、無念。

というわけでバスで犬吠へ。犬吠駅より灯台に近いところにバスが着いたのでまずは灯台を目指す。なお、灯台まで歩く途中に地球が丸く見える水族館を見つけたが残念ながら閉館中だった。

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観光をすると思っていなかったので、広角レンズを持ってこなかったことを後悔しつつ、iPhoneで撮影。灯台は下が、灯台博物館として灯台の仕組みや実際にこの灯台で使われていたライトやレンズなどが展示されており、99段の階段で上に登る(エレベーターなどという文明の利器はない)とオーシャンビューが待っている

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日によっては富士山も見えるらしいがこの日は見えず。こんなに晴れてて見えないならどの日なら見れるのか。

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地上に降りて、東映みたいな波や海を撮影。海ってやっぱりいいよね。

このあと、灯台の周囲にある土産屋を見て、サザエの串焼きだけ購入して撤退した。ご当地ポテトチップスとしてサザエの壷焼き味も売られていたが、1袋440円…サザエが高級なのはわかるが、ポテチにその値段は勇気がいるぜ…。

この後は地球の丸く見える丘へ。途中に犬吠駅があったので、朝見た鯛焼き屋で鯛焼きを買おうとすると、今日は臨時休業だった。観音駅といい水族館といい閉まりすぎである。悲しいね。というわけで、地球の丸く見える丘を目指す。

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途中、そこそこデカい寺をスルーしつつ歩く…が、地球の丸く見える丘は坂道、しかも坂を上るにつれてどんどん眺めが良くなるのが歩きながら見受けられる…。これもう地球の丸く見える丘行かなくて良くね?と思いながら結局歩く。地球の丸く見える丘展望台は入場料が350円。自力で高い坂歩かせといてなぜ入場料が犬吠の灯台より高いんだ?入り口に貼ってあった「銚子で一番高い場所」っそういう意味なんか?そういえば展望台の中に入ってるレストランのドリンクも微妙に高かったし。

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ただし、眺め自体は灯台より格段にいい。同じような景色だが、風力発電のプロペラを30台くらい望んだり、ギラギラの太陽を撮ったりして楽しむ。この展望台も日によっては富士山が見えるらしいけど今日は見えず。この後は坂を下って犬吠駅に向かい、列車に乗り、ヒロミが改築したことで有名な本銚子駅をスルーして、銚子で成田線に乗り換えた。

※注意※

線路内立ち入りは犯罪です!危険であるだけでなく、場合によっては乗客に多大な迷惑をかけることにもなりかねません。

また、撮り鉄1人がそういった行動をとると撮り鉄全体のイメージの毀損につながります。

ルールを守って楽しい撮り鉄ライフを

この後はまっすぐに家に帰らず、フリーパスの端を目指したいからという理由で、市川へ向かい、豚極有というラーメン屋へ。店名に豚が入っていることから分かるように二郎系だ。千葉県ってなぜか二郎が薄いんだよね、松戸と大久保にしかない(しかも松戸は月曜定休日)。

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というわけで食べた豚極有のラーメン。これが今まで食べた二郎以外の二郎系で一番美味しかった!弾力のある脂身を持ちながら、ホロホロほぐれながらも繊維は強い噛みごたえも持つブタ、ゴワゴワ感はないがそのぶんかなりモッチモチの麺が優勝。もちろん、トッピングでつけた豚ホルモンも美味しかった。これは市川二郎といっても過言じゃないぞ…。

この後はまっすぐ家に帰還し、この旅行は終了した。

(おしまい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京03「不自然体」のライブビューイングを見てきた【ネタバレ98%カット】

どうも、こんばんは、オルソンです。

 

 

10月13日土曜日、私は第20回東京03単独ライブ「不自然体」をライブビューイングで鑑賞してきた。ライブではない。ライブビューイング、つまり映画館での上映だ。

いやー、東京03の単独ライブ、本当に素晴らしかった。2時間笑いっぱなしだし、笑いすぎて劇場出た時頭痛くなっちゃった。次回も行きたい…けど、すぐ完売するライブなので次回行ける保証などない。

 

そんな、東京03単独ライブの記録・感想をネタバレをできる限りナシにしつつ、箇条書きで書いておこうと思う(12月にWOWOWにて放送予定があるほか、DVD化も控えているはずなので)。

 

・コントは全部で7本。どのコントも「日常や創作物にありがちな会話の些細な不自然さ・矛盾を大胆に突く」というタイトル通りかつ東京03らしいコント。当然のように全部面白い。

・どのコントも最高潮でスパッと終わる。いい意味で「そこがオチかい!」と毎回驚かされてしまう。

・全てのコントとコントの間に幕間映像アリ。全て、コントと関連しているか、なんならそのコントの続き。BLオチで終わったコントをBL方向に転がしてみたり。幕間同士や幕間と別のコントの間を無理しない範囲で繋げたり被せたり。

・幕間映像は笑いもそうだが、映像のクオリティがほとんどドラマのそれ。小道具やセットもリッチになってる。居酒屋のコントを見ると特にそれがよくわかる。

・1本目から「不自然な隠し事を何とか隠そうとオタオタする角田とそれを暴いてしまう飯塚」という台本自体は割とありがちなコント…かと思えば角田の一言で鮮やかに急カーブする展開に痺れる。

・オープニングは角田がボーカルの歌。マジ歌選手権とは、また少し毛色の違った笑いの取り方。

・些細すぎる部分を掘り下げて一本の長尺コントにするパワーが光るのは2本目、些細だけど共感を呼びそうで個人的にも好きだったのは3本目。どちらも、悪意なく角田を傷つける飯塚の演技が光る。

・というか、東京03のコメディアンといえば角田のはずだが、この日は飯塚の方が演技がノッていたような…。

・4本目、5本目、はお笑いの中からヒントを見出している気がしてならないコント。

・4本目は古くはバナナマンの怪談ネタなどで見られ、カミナリなども手を出している「話がヘタな人」が主軸なコントだが、「話自体がヘタな人」ではなく「話の繋げ方がヘタな人」なのがめちゃくちゃ新しい。めちゃくちゃ新しいけど、言われてみると確かにこういう人はいる。

・瞬間最大風速は個人的にも客席的にも5本目の「ちんちん」。東京03にはあまりない下ネタの不意打ち。………………何というか5本目に出てくる感じの関係の芸人コンビいっぱい浮かぶんだよなあ…。マジ歌選手権に出てるあの人とか…。

・6本目は「そのあまりに自然な演技に、不自然な箇所に気づかない」というライブタイトルと矛盾してるのか、一周回って逆にタイトル通りと言えるのかよくわからない、とにかく末恐ろしいコント。ちなみに、本日唯一の豊美出演作。

・7本目は奇しくも「不自然な隠し事を隠そうとする男」が出てくる点が1本目と共通しているコント。元々、今回のライブでいえば3本目、4本目のような、古いネタでいえば「落ち込んだ同僚」や「友人の友人」のような、人間関係についてのこちらの思考を抉るコントが多い東京03だが、抉るを通り越して完全に教訓をセリフに乗せている箇所がいくつか。でも、そういう緊張を必ず緩和する大振りのボケの破壊力が気持ちよすぎる!

・追加公演らしいので7本のコントの後、「角田のやりたいこと公演」なる特別コーナーが。ぬるっとエンディングトークをした後ぬるっと始まった企画は「過去の単独ライブの幕間映像で使った曲でベストアルバムを作る」。過去の単独ライブの幕間映像を見れたのがよかった(小学生並の感想)。そして、過去の幕間映像にもノッている飯塚の姿が…。

 

 総評するとめちゃくちゃ面白かったし、これほどのキャリア、これほど多くのコントを作っていながら、まだまだ新しい切り口、新しい切り方で、しかもめちゃくちゃ面白いコントをちゃんと作れているという事実が怖すぎる。東京03は3人とも演技が上手いので、恐らく多少ベタな台本でも、角田のパワー、飯塚のツッコミ、飄々とした豊本の雰囲気で東京03らしいコントにしてしまうし、爆笑をかっさらえるんだろう。でも、そういうベタな台本を演技とパワーで東京03の笑いに変えるコントは1本もなかった。それが本当に面白かったし、大満足だったし、恐ろしかった。

(おしまい)

限りある時間を大切に…

どうもこんばんは、オルソンです。

 

今回の記事はこちらの続編です。

時間はお金じゃ買えないよ - オルソンブログ http://orsonblog.hatenablog.com/entry/2018/09/16/011702

というわけで、現在、スキマ時間をガンガン使ってGYAO!にて一挙配信されたアニメドラマどもを見つつ、バラエティも見ている。そんなバラエティアニメドラマの感想を今期のものとして見ていたものと同時に書こうと思う。

 

1、バラエティ

  • ゴッドタン

毎週土曜日の深夜に配信。2017年8月26日に24時間TVの真裏でゴールデンSPを行なった後、2018年にはギリギリゴールデンかどうか怪しい時間の正月特番にも抜擢される、が基本は深夜2時台の番組。

企画の自由度は非常に高く、「この芸人知ってんのか」のような若手芸人を売り込む企画から、「かずこ*1デトックス」や「腐り芸人セラピー」などのような、一度は売れた芸人の特定の面をイジって調理した企画、キス我慢選手権やストイック暗記王のような、本来の企画をフリにして結局9割茶番みたいなコントになる企画まで様々な企画があり、MCであるおぎやはぎ劇団ひとり以外の出演者は非常に流動的。「嘘つけない女決定戦」や「ゲラ女王決定戦」のような、なぜかアイドルが主役の企画もある。

ちなみに今週土曜深夜配信回は総集編らしい。

 

追記:総集編は見逃し配信ナシらしいです。

 

  • 勇者ああああ

毎週木曜日深夜配信。THE MANZAI及びキングオブコントファイナリスト経験者でもあるアルコ&ピースがMCを務める。コンセプトは「ゲームに詳しくなくてもなんとなく見られるTV番組」

こちらも、ゲームを使用した企画をやる、ということ以外は大概幅広い企画を行う番組で、ただ芸人が対戦ゲームするだけの「RIFUJIN FIGHTING GENERATION」や、ゲームソフトの発売時期をクイズにした「クイズクロスフェード」など、普通にゲームをプレイする企画から、非暴力不服従の精神で縛りプレイを行う「ゲームガンジー王選手権」や野球ゲームをプロゲーマーVS芸人で行うが、芸人側につくハンデが「選手に関する面白いゴシップ1個で1点」という捻ったゲームプレイ、はてはクイズ王とあるジャンルだけ詳しい芸人がジャンルごとにQMAをするだけのただのクイズ番組まである。

どの企画でも根底にあるのは「何かしらないけどゲーム遊んでる姿やゲームの話って楽しい」という雰囲気。そこに芸人としての「笑い」がちゃんと融合したりしなかったりするんだ…。

今週は、5人のMOTHER2大好き芸能人がMOTHER2を熱く語るアメトーーク的企画…と思いきや2人だけMOTHER2の知識をネットで一夜漬けした人が混ざっている「名作ゲーム人狼」。何とかウソをつき通そうとする人狼の面白さ…もさることながら、ある人のキャラクターがまた凄いんだ。「さあ!」

 

  • 有田ジェネレーション

毎週水曜日深夜配信。有田哲平がオーディションをして、面白いと思った芸人が「有田ジェネレーション」に入れる…という、基本的には若手芸人発掘ネタ番組。なお、「有田ジェネレーション」をこれ以上増やすのは困難ということもあってか、オーディションに来た芸人と既存のレギュラーがネタバトルをして、後者が負けるとレギュラークビになってしまう、という厳しめのルールつき。あんまクビになってるとこ見たことないけどね。

ネタバトルでは「きちんと面白い若手芸人」もそうだが、この番組の場合「どうしようもない芸人を小峠がツッコミで強引に捌く」という裏笑い的見どころもあるのがこの番組の特徴。

ネタバトル以外にも、途中でツッコミ入れて話を止めるの禁止の「ちょっと聞いてもらってもいいですか?」、売れ出し〜中堅のコンビがラップバトルをするラッパーキャラ芸人であるシオマリアッチのための企画「funkyジェネレーション」などの企画があり、今週配信企画は「funkyジェネレーション ダイアン編」。ボソボソとした語り口の西澤と、イジられると大声張り上げる津田のコンビであるダイアンとラップバトルの相性は抜群。顎外れるかと本気で思うくらい笑った。

 

  • 相席食堂

毎週月曜日夜配信。「旅先の食堂で地元の方と相席をする」というコンセプトで、関西ではロケ芸人として、昔からめちゃくちゃ名高い(らしい)千鳥が色々な場所にロケをする………のではなく、ロケが上手くない芸能人をロケに向かわせて、その映像をスタジオにいる千鳥がイジり倒すという結構悪質なコンセプトの番組。結構悪質なコンセプトなのにその悪質さがほぼ伝わらないのはひとえにみんな大好き千鳥が持つアノ雰囲気の賜物。

一方で、千鳥ノブの例えツッコミも冴えに冴え渡る「台湾のかき氷やん」「Eテレの長さなのよ」「2時でええ!」。また、大悟は大悟で、IPPONグランプリ準優勝としての高い大喜利力を遺憾なく発揮。「家燃えてるときの顔」「すべての字を吸い取った」。

今週は先述のセリフの一部を引用した「笑い飯西田のロケ回」と別に、名作と名高き「長州力&尼神インター渚のロケ回」を配信中。

 

以前1記事丸々特集したこともあるくらいには大好きな番組。ひょっこりはん出演経験もあるが、基本的には関西の芸人、もっと言えば大阪吉本の芸人しか出ない*2。「一発ギャグ」「一分トーク」などのテーマが掲げられた椅子で椅子取りゲームをして、座れなかった人が椅子に掲げられた表題でその椅子に座っている人と戦う、という番組。若手芸人のネタバトルという意味では有田ジェネレーションに似ていなくもないが、椅子取りゲームと融合したルールの独自性と「一分トーク」や「一発ギャグ」のようにある程度練れるものから「大喜利」「モノボケ」「歌」のように、アドリブで対応しなくてはならないものまで様々。

今週は過去6度の座王に輝いたM-1チャンピオン笑い飯西田を筆頭に、M-1準優勝のスリムクラブ真栄田やM-1キングオブコントともにファイナリスト経験アリのモンスターエンジン西森、中堅枠としての次長課長井上、過去幾度となく静かにしかし着実なセンスを見せて来たロングコートダディ堂前と名選手が集い、名勝負を繰り広げまくっている神回。あと2日で配信が終わるが是非見てほしい。

 

2、アニメ

全13話。血球を擬人化してその働きを描いたアニメ。一応今期の覇権アニメということになりそう。聖地巡礼記事も書いているが、正直面白さでいうとそこまで…。血球の細胞しか出てこないぶん30分尺13話はちょっとダレる。「働くホルモン」とか「働く臓器」とか見たくなってくるのは僕だけじゃないはずだ。あと、解説に重きを置いていてギャグはそんなに多くない。「朝10時にEテレでやって小学生が見る教材か?」と思っていたら本当に教材化されるらしい。ある意味正しい。

 

  • 京都寺町三条のホームズ

全12話。京都を舞台にしたはんなりミステリー、だって。ミステリー目当てに見た身としては1話完結なのに15分近く前振りに使ってしまうので物足りないといえば物足りない。実は恋愛の方が主体と気づいたのは3-4話見進めてからであった。オープニングと次回予告の「ホームズさんっていけずですね…」を聞くために見ていたアニメといっても過言ではない。そんなこと言いながら最後まで見切ってしまったんですけどね。

 

全12話。TLで一体どれほどの人間が見ていたのか観測不能バカボンを使っている上に「深夜」と冠する以上、TVギリギリのメチャクチャをやらかしにやらかすギャグアニメ…だったのは間違っていないが、2018年にメタネタを尖った笑いとするのは…、他も前述のハードルを越えるほどハチャメチャだったかというと首を傾げてしまう…。

ただ、そんなハードルのことを考えなければメチャクチャなアニメだったのは事実だし、これ以上メチャクチャだと笑いは減るかもしれないのでそう考えるとこれでいいのだ。メタネタも「まず、画面比を4:3から16:9に変えるために画面枠を押す」「バカボンのパパ役の声優オーディション」「2話で総集編」「作画崩壊dボタンで回避」などやりきっっているので面白くはあるし、実際笑った。

あと、余談だが個人的には、同じくメチャクチャなアニメでおなじみ、ポプテピピックよりは楽しめた。あってないようなものでもストーリーの軸があった方が自分は楽しめるんだなあ、と思った。

 

  • やはり俺の青春ラブコメは間違っている

全12話。「奉仕部」という何でも屋みたいな部活で陰キャの男(比企谷八幡)と陰キャの女(雪ノ下雪乃)が学校内の色々な事件を解決する話。

比企谷八幡雪ノ下雪乃も様々な事象に主張や偏見を持っている、これがめちゃくちゃ長くてめちゃくちゃ面白い。ここを受け入れられないとこのアニメを見る意味はない。しっかし長セリフだよな…収録大変だったろうな…。

ストーリーとしてはミステリーであったりバトルであったり文化祭であったり1話ごとの軸もあるし、比企谷八幡雪ノ下雪乃の関係性についてはある事実が明らかになること含めて、12話を通した縦軸となっている。ちゃんとしたストーリーがあるからこそ、前述の長セリフ大偏見がちゃんと光るのだ。あと後半に出てくる相模南の妙なリアリティが怖すぎるキャラの立ち方も必見モノ。

一挙配信ではなく、2話の配信終了が10/9で、それ以降、n話の配信終了が10月n+7日ということでゆったり見させていただいてる。以前、去年の真夏…じゃなかった秋口ごろに夜通しで見た時に比べると雪ノ下雪乃の声に違和感持つことなく見れるのも良い。

 

3、ドラマ

今期のドラマとして唯一見ていたドラマ。「ある日突然家にキャリアウーマンが義母としてきた、そんな娘の困惑と成長を描く…」というドラマ。

主眼はやはり綾瀬はるか演じるキャリアウーマンの義母。しっかりしたキャリアウーマンとしての一面と、綾瀬はるかの素が出てきたかのような天然の一面、どちらも面白いし、お互いのキャラクターを破壊するに至らせないバランスが当然綾瀬はるかの演技も素晴らしい。まあ、演技が素晴らしいのはみんなそうだろって話なんですけどね!いい意味でサラッとしている父親役とか!

6話で突然、ナレーション一行でほとんど別のドラマに様変わりし、「一粒で二度美味しい」の実現に成功しているのも特徴。あのままだとちょっとダレそうだもんな、あれは巧い。

 

過保護すぎる子供が親離れしようとする様子と、実は子離れできなくなっている母の子離れを描いた日テレのドラマ。放送当時は結構評判良かった………はずなのだが、SNOWを使ったゲロスベリゲロ演出の多用と、あまりのティッシュ配りの長さに、見事1話切りを達成するに至ったドラマ。誰かがツイートしてた「日テレはドラマもお笑い風にコーティングされてる」って本当だったんだな、と身をもって。2個目くらいの「ホームビデオを毎日見てる」なんてボケは心を鷲掴みにされたんだけどなあ…。 

 

  • ドクターX(2016)

院長も副院長も外科内科部長も出世と病院のイメージアップのことしか考えてないというわかりやすく腐敗した大学病院に、「私、失敗しないので」が決め台詞で本当に絶対失敗しないフリーランスの外科医である大門未知子が斬り込む、という非常に分かりやすい医療ドラマ。

これだけだと、見どころは1ミリもなさそうなものだが、この分かりやすい医療ドラマに、「手術ができるだけであとはただの米倉涼子」としか形容できない大門未知子の手術等以外でのいい感じに品のないキャラクターやコメディ的な小ネタを仕込むことで、サクサク見れるドラマに仕上げてある。サクサク見れるといいつつ他のドラマ同様1時間枠なので、サクサク1時間が経つだけなのだが。我思うゆえに我あり。

こういう風に本筋に小ネタを仕込んで面白くした記事はオルソンブログの理想なのでそういう記事をどんどん書いていきたいですね。

 

 

1999年放送のドラマ。TOKIO松岡演じる無気力な無職男、甘粕四郎に天童世死見なる天使が現れ、「〇〇までに✖︎✖︎しないと即死亡」という命をかけた課題略して命題をクリアしないと、甘粕四郎が「生きる価値のない男」という烙印を押され、そして死ぬという設定だ。

設定は何やら説教臭いし、実際そういうメッセージ*3を含んだシーンもあるが、甘粕四郎の間の抜けたダメ男ぶりや、甘粕四郎の職場となるMONOカンパニーの社長社員のキャラクター、そして天童世死見までもがコミカルなので実際はコメディドラマである。

オチは基本的に「甘粕四郎がギリギリで命題クリア」→「もしクリアしてなかったら死んでいたことを証明する出来事が起きる」→「天童が甘粕に何やらメッセージを伝える」という風に決まっており、フレームが完成されている。あまりに完成されすぎているので飽きかけた6話ごろに、なぜかOPの演出が変わって今回のハイライトがサイレントで流れるようになるとともに、命題のバリエーションが増え、最終的になぜか爆弾アリカーチェイスアリのサスペンスになることと、甘粕四郎がきちんと成長し、そういう意味では毎回少しずつ違うキャラクターとなって行くサマでこちらを飽きさせない。また、9話はちょっとした仕掛けのある回なのだが、コントや舞台ならある程度普通なのにドラマでやると「仕掛け」になるというセンスがいい。しかも、仕掛けに頼り切らずに普通に台本が良い。

個人的には一生で見たドラマで一番好き。これまであまりドラマ見てこなかったのでおそらく不動だろう。

余談ですけど、OPもEDも挿入歌も「Oh!Heaven !」と「Oh!Heaven!のオルゴール版」しかないという貧乏くささ…もとい音楽を大事にする姿勢はどうにかならなかったのか?終盤もう、この曲流れただけでちょっと面白くなってたから。

 

2001年放送のドラマ。前述の天国に一番近い男、の2期。天童世死見がダメ人間を救う、のはもちろんそのダメ人間役がTOKIO松岡である他、1期のキャストの多くが引き継がれている。また、「命題をクリアすることでダメ人間が成長する」という大枠や、最終的に「命題クリアしなかったらああなっていたの図が出る」というオトシ方も1期と共通。

しかし、設定は高校となり、TOKIO松岡演じるダメ教師、隠岐之島和也は無職でない点で甘粕四郎より社会的身分はいくらか良いが、「無気力」に加えて、当時話題になっていたっぽい「リセット人間」、「頭の良さ」とそれに伴う「プライドの高さ」、さらに「サイコパス*4」といった属性が付与され、「どこか憎めないダメ人間」から「激ヤバモンスター」に変化している。

当然、命題を経て激ヤバモンスターが次第に更正していくのだが、一期と比べるとその速度はかなりスロースタート。また、激ヤバモンスターに対して天童が敵意を剥き出しにしていたり、命題の出し方が一期より天使の能力を活かしたもにになっていたり、教師や天童に怪しい男が忍び寄る演出が各話にあったりと、不気味で不穏な空気が漂うドラマでもある。コメディ的小ネタは後半多少増えるし、クオリティ自体は一期と遜色ない安定感がある一方、「コメディの中にメッセージがある」一期と違い、「シリアスなドラマの中にコメディがある」状態になっている。

ただ、ストーリーが見えてくる後半からはシリアスなストーリーが楽しみやすくなる。隠岐之島先生の成長物語然り、先述の怪しい男然り、一期と違って一話完結を放棄して各話ごとをつなぐ縦軸を強化したストーリーにした、と言える。

最後に、どうでもいいけど、隠岐之島の死因だけは一期よりナンセンスというかギャグ漫画的になっていたような。シリアスな展開が濃い8話の死亡回避とか凄かったぞ、本当に。

 

以上、自分が今期にGYAO!で見た番組でした!さよなら!

(おしまい)

*1:森三中の黒沢かずこのこと

*2:厳密には東京進出した大阪吉本の芸人も出る

*3:生きる意味がどうとか人生を有意義に過ごすだとか

*4:公式では「要領が良くずる賢い」と説明されているが要は…

キングオブコント2018感想文

この記事ではキングオブコント2018の感想を1組ずつ丁寧に書いていく訳だが当然、シャレにならないくらいネタバレしているので、録画や配信*1をまだ見ていない人はさっさとブラウザバックしましょう。

 

 

 

まず、全体の感想を言うと、現行体制になってからでは一番、審査員と自分の好みが合わなかったな、っていう。コントって漫才より自由だから、見る側も漫才以上に好みが出る。となると、審査員の審査も割れる。今年は客の温まり具合もあって、1本目からドスベリした組はいなかった。なので、松本人志だけ低得点のだーりんず然り三村マサカズだけ低得点のマヂカルラブリー然り、好みが割れ、「この狭い範囲で5分保たせるなんて」とか「この演技は難しい」とかそういう技術点の要素が色濃く出てしまった気がする。1本目にドスベりした組は1組もいなかった、みんな面白かった。だからこそ、思うし声を大にして言う、最終決戦3組は少ないって!!!!!!!2009-2013ルールは厳しいにしてもせめて5組!!!!!!

あ、あと葵わかなのアシスタントが結構巧いのには素直に驚いた。声も聞き取りやすいし。全然来年続投してくれちゃっていいというか、普通に来年続投してくれ〜〜〜い!(2016王者)って感じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一応、もう一回警告しておくけど、この下はキングオブコント2018の決勝ネタバレだよ?大丈夫?コンセント抜く?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「爆弾魔と清掃バイト」会社への復讐のために深夜の社屋に爆弾を仕掛けた男、そこに深夜の清掃バイトが現れて…。個人的に思っているキングオブコントあるあるの一つに「トップバッター選びが絶望的にヘタなくじ引き」がある。シソンヌと巨匠のクズおじさん対決で幕を開けたあの年とかマジで何だったんだ。んで、このネタ。このネタに限らず、彼らのネタはタイ演じる「憎めないヤンキー」のキャラが主軸になっている。このノブ曰く「ちょうどいいキャラクター」が見事に、観客の予想を超えつつ、そのキャラが言いそうなことを見事に言っていく…。が、トップバッターで間を空けるタイプのネタはただでも点数入りにくいのにさらに厳しい。ヤンキーキャラも「ちょうど言いそうなこと」が、このハイレベルな闘いの中だとどこか想定内に収まってしまった感。これだったら、にちようチャップリンでやってた立ち読みおじさんのネタとか構成でも魅せれるネタのが良かったのかなあ…。でもトップバッターな時点でどのみち…。とにかくあのキャラだけでも売れてほしい。売れすぎるとキングオブコント優勝はできなくなるけど。

 

タイムリープ」ビニール傘を探そうとする若者とそれを見て傘を盗んだと決めつけるヤバ目のおじさん。逃げ帰ろうとすると…。「似たような傘から自分の傘を探してたら傘泥棒扱いされる」というあるあるに「タイムリープ」を重ねる発想が素晴らしい。「リープしてない!?」までゆっくり振っているので、少し不安になるが、その後、おじさん側もリープに気づく、おじさんがリープのトリガー、そもそもこの世界はおじさんの夢の中説と大振りの展開が多く挟まったいいコント。こういう訳わからない状況に飲まれた村上の困惑と鋭さを両立したツッコミが大好きなので、村上にはこれからもコントを通して、どんどん訳わからない状況に巻き込まれてほしい*2。オチで大きな動きがあるのも良かった。

 

「犬」飼い主ととても仲の良い犬…以上の情報や展開が皆無なコント。発想としては「バウリンガル」と1ミリも変わらないのでは。それを岡部のコミカルさだけでグイグイ引っ張っているというストロングすぎるコント。このストロングなキャラに引き込まれないと、一生笑えないネタではある。個人的にはそこそこ笑ったが、捻りというか発想の妙みたいなのは欲しかったかな。ただ、飼い主の帰宅が毎回嬉しい、キュッキュ鳴るオモチャにめちゃくちゃ夢中に鳴るなど、細部までの作り込みは感心せざるをえない。「ドッグフードは何が入ってるかわからない」は笑ったなあ。

 

「予備校」鉢巻を巻いて予備校の壇上で熱く語る男。しかし彼は先生ではなく「鼓舞する人」で…。「鼓舞する人」という架空の職業を描いたコント。「鼓舞する人が鼓舞→生徒が騒ぐ→鼓舞する人が来る」のループが自然。現行体制の審査員に刺さりがちと言われる繰り返しのコントだ。設定の発想や、森田の演技力、設定バラシまで少し長くとったフリなども言わずもがなだが、中盤の「福沢ゆ吉」のボケが特に素晴らしかった!このボケがこのネタを単なる繰り返しに見せず、ピラミッドのてっぺんに近づける重要なボケだった、と思う。

 

  • だーりんず

「先輩が奢るアレ」居酒屋で偶然後輩に会ったので、先輩がこっそり会計を済ませるアレをやりたい、が店員の察しが悪く…。これまたストロングというか、狭い範囲でちまちまやっているコント。そういう意味では2016年の童貞ネタとあまり変わらないし、5分間レジ前だけで耐え切ろうとするスタンスは嫌いじゃない。嫌いじゃないけど、さすがに少し狭すぎたか。裏で悪口言いまくってる店長や、舟盛りキャンペーンと勘違いしてる見知らぬおっさんなど「いない人」の件が刺さりきってなかったのも…。

 

  • チョコレートプラネット

「監禁」首に謎の装置をつけられて監禁された男。あまりのパニックに彼は話を聞かずに叫び続けてしまう…。これまただーりんず以上にストロングなコント。ここまでストロングなコントだと審査員ウケも良くなるらしい。5分持つと思わないもんなあ。確かに、狭い中でゲームマスター側が「教えろ!」と言いたくなる展開がある構成は堅いし、大竹の言うように、ずーっと少しずつ笑えるという点で良作ではある。個人的には点数は高すぎる気もするけど、持たせる台本力と技術点だと思えば…。

 

「居酒屋」高校生でありながら居酒屋でアルバイトしている坂本。しかも彼には好きな人もいるらしく…。去年のキングオブコントでも、もっと前から彼らがやっているような坂本と宮戸の恋愛劇に福井がツッコミを入れていくスタイル。「校長先生が朝礼で言っていた""断る勇気""」「こいつらオススメの映画絶対おもんない」「切ない恋の砂時計」など、福井のワードのパンチ力は素晴らしい。でも、このネタでは、後半まで福井のワードパンチが出てなかったような…。

 

「バイトの新人」コンビニバイトの新人いしわた君。彼は非常に空質問が多い…。「質問しまくる新人」をテーマにしたコント。Twitterでよく言われる「質問をしたら『自分で考えろ』と言われたので、質問せず仕事したら『何でやる前に質問しないんだ?』と怒られた」を煮詰めに煮詰めるとこのモンスターが誕生するのだろう。もちろん単なるあるあるにとどまらず、「(バイトって)アルバイトですか?」「喧嘩ですか?」「これ店長の背中ですか?」「(伊達公子って)クルムですか?」といったさすがにありえない空質問も多く用意しているのでボケとして笑いやすい。ボケを詰めやすいというか手数を稼ぎやすい設定でもあるよね。オチは意味わからなかったけど。あんなことして間を空けない方が良かったと思うけど。

 

  • ロビンフット

「息子の彼女の年齢」めでたく結婚が決まった息子。しかし、息子の彼女の年齢は「干支が戌」以外の情報を息子も持っていないのだった…。「息子の婚約者の年齢」という真剣な題材ながら、数字当てゲームをやっているかのようなとにかく「年齢」に固執したコント。「ユーミンのことを荒井姓で呼ぶのは48」や「(名前がカタカナでトメは)84や!」などあるあるから偏見まで幅広い推理でネタを魅せている。数字でオチまでハッキリ構成を積み上げていく形は面白いのももちろんだけど、それ以上に楽しいというか疾走感が心地よいコントだった。

 

  • ザ・ギース

サイコメトリーサイコメトリーで事件を解決する高校生。早速凶器の包丁を触ると見えたものは…。最初の設定バラシで南国の鳥みたいな笑い方をしてしまったコント。個人的には一番笑ったけどなあ…。まさかの高佐が犯人、なぜサイコメトリーで変な映像が見えてしまうのか?という理由*3、などドラマティックな展開がコントの面白さを損なうことなく盛り込まれ、その緊張を刀鍛冶のジジイで一気に緩和する被せまである。オチは服の映像が見えないとダメじゃない?とは思ったが、それを差し引いても個人的には一位です。こんなに展開も笑いも詰めて5分に収まってるなんて!もう優勝不可避でしょう!458点!?6位!??いやいやいや…458那由多飛んで6万点の間違いでは!!???!???どうした??!!!?!??!審査員全員、高佐に親を刺された!!?!?!!!????!??

あ、あと余談だけど返り血を浴びた高佐、で観客が悲鳴あげなかったのは良かった!展開的にもあそこは逆に悲鳴上がっても仕方ないところなのに上がらなかったのは良かった!来年も全く同じ観客であってほしい!

 

 

 

ここから2本目

 

「捕まえてごらん」砂浜で追っかけっこをする一組のカップル…。「カップル同士の砂浜での追っかけっこ」を誇張して引き伸ばしていったコントで、舞台を広く使い、音楽まで流して笑いやすいネタに仕上げてはいる。個人的にはそこまでだったけど、他2組の感じで考えてもここが優勝は妥当。菊田の使い方というか役どころはめっちゃ笑った。

あと、このコント見るとGAGオンバトでやってた円形の公園のネタ思い出すのは俺だけか。

 

「能力者」。わざと肩を当てて金をふんだくろうとする不良。しかし、その相手は能力者で…。「能力者の能力が矮小」という設定は結構ベタ。それぐらい大きい枠で見ると2012年のしずるもやっていたと言えなくもない。そして、その設定であれば、「どう矮小なのか」というボケで勝負することになるが…自分は結構ツボだった。暴走族の元総長にあんなにテレパシーでガンガン悪口言うなんて…。でも、観客は結構ダレてたなあ…。

 

  • チョコレートプラネット

「意識高い棟梁」。大工の棟梁という泥臭い職業に、意識高い、という発想がプラスされたネタ。だが、その実態は長田のキャラクターショーではなく、小道具ショー。松尾が使う普通の工具を長田が意識高い工具に変えていく…というローテーションは、さすがにダレる。ストーリーが蓄積しない散漫さが大きな笑いを取りにくくしているような。「Macを定規に使う」「ちゃんとやれってことですよね?」「ニコニコちゃん」辺りのいい意味でしょーもないボケを混ぜてこれるのはチョコプラの良さだが、それでも主軸が小道具、小道具に頼りすぎ(by松本人志)という印象は変わらず。優勝争いに参加するには決め手の欠けるネタだと思う。ネタによっては優勝もあったと思うのだが…。

 

 

  • 総評

ネタ番組としては、当然面白かった。が、競技としては決勝前から運営がどうかしてることによるモヤモヤがさらに加速する結果になった感は否めない。以下、自身のツイートとともに整理しようと思う

 

  • 最終決戦が3組なことについて

冒頭の繰り返しになるけど、最終決戦3組問題ね。よーく考えると実はM-1もR-1も最終決戦3組なわけ。それでも、キングオブコントの最終決戦3組が少ないと思ってしまう理由は去年5組だったこととの対比…だけではなく、「コントは漫才より自由なぶん、優劣をつけにくい」というこれまた冒頭の繰り返しになると思う。2本目が3組中2組失速して、消去法というのは………うーん…。R-1でもアキラ100%が優勝した時はそんな感じだったなあ…。見れるネタが多い方が番組として良いし、チャンスが多い方が競技として良いので、そこはやっぱり考えてほしいですね。

 

  • 出演者シークレット

意外と支障がなかったのでビックリ。まあ、数字にどう反映されるのか?といったことだが。まあ、目立った支障が「決勝前に優勝予想ができない」「決勝前に知らん芸人の名前見てワクワクできない」なので、決勝本編に支障が出ないのは当然といえば当然なのであった。ただ、ネタバレを阻止するために、ありもしないキングオブコント決勝進出のためにライブの仕事をバラされた芸人もいると聞いているので、もしそれが事実だとしたらそういう形で芸人に負荷をかけるのは2度とやめてほしい。あくまでウワサの範囲だが…。

 

  • 準決勝と決勝が同じネタというルール

まず、わざわざキングオブコントの準決勝にまで顔を出す客というのは大体のネタ番組を把握しているので、旧作を予選にかけると客がみんな知っているのでウケにくいという状況がある。そこで、大体の芸人は新ネタをおろしてくるわけだが、キングオブコントの決勝というのは芸人によっては初めての地上波全国ネットでネタ披露チャンスとなる番組である。だからこそ、決勝では自分たちの代表作をやりたいという芸人がいてもいいはずだし、準決勝と決勝では客層が違うからネタを変える作戦に出たいという芸人もいるはずだ。こういう芸人の自由は、他のTV番組ならともかくお笑い賞レースでは尊重されるべきだと思う。最終決戦3組中2組失速がこのルールと無関係とも思えないし…。

 

  • 客層

「芸人が100人いないのは寂しい」と言われて久しい現行審査体制では、観客は審査する権利を持たない一般人だが、客ウケが審査を一切左右しないとは考えにくいし、番組の空気を数の暴力で左右する大事な存在であることに変わりはない。

現行審査体制から4回目のKOC。2015年から順に笑わなさすぎ、悲鳴上げすぎ、若干悲鳴と問題を抱えていた観客だが今年は現行審査体制史上最高と言っても過言ではない。THE Wのように笑いすぎることもなく「大きいボケで大きくウケて、小さいボケで小さくウケる」という理想的な観客かつ、悲鳴が全く上がらないという千眼美子も大満足の観客だ。ただこの「小さいボケで小さくウケる」が曲者で、上記のツイートで挙げた件で小さくウケるを通り越して無風になるという「笑いの取りこぼし」があったのは少し引っかかった。それでも上記の芸人はまだいい方で、だーりんずやGAGわらふぢなるお2本目は大きめの件を2-3個くらいゴッソリ取りこぼされていた気がする。もちろん、冷静にボケを見極めている客層とも言えるし、「取りこぼされないようなネタを頑張って作りましょーねーワハハハ」で終わる話ではあるが、取りこぼされて無風になるボケの基準がわからないのでトリッキーな観客だったな、と。あ、余談だけど一番傾向がわかりやすかったのはやっぱり2016年の観客ですね。その時の観客が良かった、とは1ミクロンも思いませんが。

 

  • ギースのコントと審査傾向

3個目の「これ」はさらばのネタだが、それはさておき。ザ・ギースのネタ、好きだったけどねえ。リアルタイムで見た後コントだけ全部もう一回見返したけど、1回目も2回目も一番笑ったのはザ・ギースだった。最初の映像で火を映して「放火魔?」とか考えさせる隙を一瞬だけ与える、という映像編集まで最高だった、と思うのよ。あとは感想にも書いた通り。あれ以上尺を伸ばさず展開を詰めるのは無理だし、どこかを切って4分にすることもできないネタだったと思う。個人的には100点中500点あげても足りないくらいのコントだったけど結果は6位なので2017年ルールでも最終決戦行けていなかったんかい!っていう。いやいやいや…評価が低すぎるって…。5分でできる展開をやれるだけやりきってそれは…まあその「展開」が少なくとも三村にはハマらなかった*4ということなのだが…。

 

冒頭でもチラッと言ったように、自分の評価と審査員の審査が合わない、そしてそれが異常にモヤモヤする理由、それはここに集約される気がする。「狭い設定から4分持たせる」より「狭い設定から5分持たせる」方が難しいのは確かにそうだ。でも、当初決勝での尺が1分伸びるメリットは「1分ぶんフリやボケを多くできる」だったはず。そして、決勝進出者は5分に合わせて展開やボケを練ってきたはずなのだ。だから、ザ・ギースやマヂカルラブリーなどの展開が凝ったコントが評価につながらず、ハナコチョコプラのようなシンプルコントが評価される状況に(?????)となってしまう。ただ、シンプルコントが評価されがちなのは今に始まった事ではない。だから、ジャルジャルが決勝に来て欲しい!評価される土壌だけはあるんだから!本人たちがなぜか決勝から遠のいているだけなんだから!2009-2010とレッドシアターがあった頃にしか決勝進出できていないんだから!ロッチもしずるもそのあと2015年と2016年に帰って来ているんだから!M-1進出も十分すごいけどやっぱりジャルジャルコント師なんだから!そのM-1の2015年と2017年の進出のおかげでジャルジャルの面白さがじわりじわりと浸透しつつあるんだから!

 

 

 

 

 

 

………なんでジャルジャルの話してるんですか?

(おしまい)

 

 

 

 

 

 

*1:9/29以降paraviにて独占配信!

*2:彼らの漫才が嫌いなんてことはないけど、コントの方が自由が効くからね、照明とか。

*3:断っておくが「メイドインジャパンだから」ではない

*4:それでも90点付けてるが

キングオブコント決勝直前SP!漫才師が選ぶ面白すぎて嫉妬した最強コント、感想文

どうも、こんばんは、オルソンです。

 

 

本日、キングオブコント2018の決勝であった。が、その感想文は今日は出ない。というかこれを書いているときはまだキングオブコント決勝をやっていない。だから誰が優勝したかも知らないし、誰が決勝進出者かも知らない。何かシークレットだと発表されたその日に5chに流出してたけどな!1週間くらいあとにシルエットの形で公式がCM流してたけどな!すぐ当てられた上に、5chの流出情報と完全に一致したけどな!あと、あのシルエットがGAGだとしたら、ヅラ被った状態ですよね?シルエットクイズでヅラ被った状態を認めるなよ。そういう細かいところから大きいところまで全部が粗いぞ、どうした今年のキングオブコント運営?

 

そんなわけで今年は「19時〜20時は過去のキングオブコント振り返り」→「20時から決勝本編スタート」という流れをやめ、19時からストレート本編で放送された。なので、事前特番はないと思われたが…

ナイツ、ノンスタ、ハライチ岩井らが“面白すぎて嫉妬した”コントとは - お笑いナタリー https://natalie.mu/owarai/news/300252

平日深夜にしっかりやってきました。コントのことを漫才師に聞いてどうするんだ?と最初は思ったが、見てみると、キングオブコントと無縁の芸人に選ばせるからこそよかったような。よくやった運営。何も考えてないだけな気がしないでもないけど、お手柄だぞ運営。絶対、流れると思った忍者ショー(キングオブコント2011年のロバートの1本目。優勝作品。なお、以下特記なき場合「キングオブコント」は省略して表記)と帰省(2012年のバイきんぐの2本目。優勝作品にして「何て日だ!」の元)が流れないのもよかった。というわけでネタと芸人のトークの感想を綴ることにする。

 

まず出てきたネタはさらば青春の光のぼったくりバー(2012年1本目)。「さらば森田は未だに飲み屋で『那由多!?』って言ってる」というエピソードが、らしすぎて好き。あと、井上が2015年のロッチのネタについて言及した時「試着室」ではなく「フィッティングルーム」って言ったのもらしさ全開だったな。ちょっと笑っちゃったよ。

しかし、彼らが本当に1本選んだネタはしずるの張り込み(2016年)。青春コントやパンティ(2010年2本目)などに見られる「カッコイイように見えるがその実中身はない」という意味でしずるらしさ全開のネタだ。フリが丁寧なので「ずっと張り込んでいるビルに犯人はいない」という設定はバレやすい…が、それでも面白いのは演技力の賜物というか、「誰もいない!」という池田の叫びによるところが大きい。何で誰もいないところで「誰もいない!」って叫んでるだけであんなに面白いんでしょう?「誰もいないところで銃なんか撃つからだ!」、村上からの「誰もいない…」、「誰もいねぇのになぁ〜って思ったよ…」と、ノンスタ石田の言い方を借りると「誰もいない、にこんなに言い方があったなんて」、それをさりげなく見せる構成含めて巧い。

屋上で二人がダラダラ語り合うオチはもっとウケてもいい。ただ、ダラダラしてるだけに見えて、ちゃんと序盤のフリを回収している、という。確か、このとき5位と1点差で最終決戦逃したんだよな…勿体無い…。

余談だが、ノンスタ井上は「この時ついに、自分たちが好きな銃を使ったコントで決勝進出した」みたいなこと言っていたが、2010年のシナリオ(1本目)の時から…いや、2009年の冥土の土産(1本目)の頃から銃を使って決勝に来ていたはずだが………。

 

最初に何本かネタを挙げていくくだりではにゃんこスターの縄跳び(2017年1本目)、バイきんぐの帰省(2012年2本目)、コロコロチキチキペッパーズの卓球(2015年2本目)の3本。にゃんこスターの縄跳びを「やってる方が楽しんでる」と評しつつ、コロチキの卓球を挙げる、という軽めの芸風のネタチョイスがトレエンらしい。バイきんぐは「帰省」より普通に「卒業生」の方が好きなのは俺だけでしょうか?

しかし、彼らが選んだネタは結構しっかりしたコントである裏口入学(2010年のTKOの2本目)。裏口入学を頼まれ、お金を手渡された校長が「お金はいただこう、でも息子を大学生にするのは無理だ」と、目の前で堂々と詐欺をするコントだ。これも設定の発想はベタで、2人(キャラクターの強さでは木下)の演技で骨太なコントにしているんだよな。「コツコツ頑張って働けぇ!」のような「詐欺師が無茶苦茶すぎる理論で金をいただこうとするボケ」と、「さわたまのかまたり」、「海物語の攻略法を教えよう」のような「ワードセンスによるボケ」が織り交ざったコント。当時より今の方が面白さがわかる気がする。最後はなぜかポーランドがめっちゃdisられて終わる、という謎すぎる着地点が非常に面白い。

 

  • ナイツ

ここからなぜか、ネタを列挙する件がカットされる代わりに1組2本紹介、にルール変更。なぜ番組途中でルールが変わる?

まずナイツが選んだネタはバナナマンの朝礼(2008年1本目)。まずキングオブコント事前特番で2008年第1回大会の映像が見れるとは思わんかったわ。んで、このネタは確かに凄い。大振りのボケがそこまでなく、それと朝礼中という設定ゆえツッコミも大振りじゃない。「ボケとツッコミが曖昧」とされるバナナマンらしいネタだ。何となく日常系アニメっぽさがあるんだよな。流れるように小さいボケが連なってオチの大ボケに自然にたどり着くというある種の快感。あと、日村の「ハイ、ふざけてました…」の言い方と顔が完璧。先生が来て怒られたんだって瞬時にわかるもんな…。

ナイツが選んだ2本目はかまいたちの告白の練習(2017年1本目)。漫画やアニメやドラマでは逆に困難な、コントでしかできない叙述トリックを取り入れた作品…なだけに、タイトルが「告白の練習」はダメだろ。塙が悪いのかスタッフが悪いのか…とにかく、そこは隠さないと…。「告白ではなく告白の練習とバラされる」→「告白の練習を続ける」→「練習見つかった時の練習を見つかった時の練習の…のループ」と3パートある満足感。第1パートのやられた感デカい笑いはめちゃくちゃ面白かったし、第3パートの山内の鬼気迫る演技も笑ったのはよく覚えてる(ここでナイツ塙がスタンガンとそれにヒく観客に面白さ見出してる件が最高)し、何より現行審査制度にもマッチしたコントになっているが、中盤の「告白の練習パート」のボケが全て「告白」ではなく「告白の練習」でしか成立しないボケになっていることにも気づかされる。「般若の山内」の、中盤と終盤を繋ぐブリッジとしての優秀さも含め、やっぱり優勝作品は無駄がない。

2本のネタ終わり、まさかナイツが卯月の解散に言及するとは思わなかった…けど、あの話は本当なんだろうか?

 

実は今回コントを紹介した5組の中で唯一キングオブコントファイナリスト経験がある(2012年)。が、全く言及されず。

1本目はモンスターエンジンのミスターメタリック(2011年1本目)「ヒーローものの、特定のシーンだけ切り貼りしたYoutube動画」という2018年基準でも他の芸人が誰もやっていない設定、当時のそういう動画あるあるの「シーンの継ぎ目で暗転しながら音声は垂れ流れる編集」、番組全体をコントにはできないが番組内容を想像させる笑い、と、とにかく構成の斬新さだけで勝負できそうなネタだ。確かに当時一番頭に焼きついたフレーズ「ミスタ〜〜メタリーック!」だったわ、そういえば。オチは粗い、でもこういう粗いオチでこの番組が打ち切られたんだろうなあ、と考えるとむしろオチの粗さが面白い…と思うのは僕だけでしょうか?(2回目)

これも余談だが、一番好きなフレーズは各々センスが出そう*1、なとこだと思うんだけど、銀シャリ橋本と自分で一番好きなフレーズが完全一致していたのでちょっと嬉しくなってしまいました。「琵琶湖の水を全部飲んだのはお前か」

2本目は東京03の旅行(2009年2本目)。テンションの上がる旅行が一気に気まずくなる、という東京03の芸風をそのまま表したコント。「初日に告白すんなよ!3泊あんだよ!」や「この旅行中は絶対仲良く振る舞ってもらうからなぁ!」は彼ららしい着眼点とセリフ回しだ。

この時は「変な店員に客がツッコミを入れるコント」でおなじみ、サンドウィッチマンと芸風の異種格闘技戦が起きていたんだけど、あのオチでねじ伏せた感。さすがコントの王様。

 

  • ハライチ岩井

なぜか澤部不在で取材を受ける岩井。初耳学の収録にでも行っちゃったんですかね?しかも彼が挙げたコントは1本のみ。1本しか挙げなかったのか、編集で切られたか。もし後者だった場合また腐っちゃうぞ。

そんな岩井が挙げたコントは2700のキリンスマッシュ(2011年2本目)。顔出しナシ生声のセリフナシという攻めた構成のコントであり、以前このブログでも言及した*2が、あらすじは「キリンが運営するキリンのさじ加減一つやろ賭博にゾウが有り金(有り林檎?)を全て突っ込んで破滅する」というコントだ。当時、2700が準優勝を決めたネタだが、このあらすじにハマらないと、何が面白いのかわからない状態になう。事実自分は、当時よりは面白く見れたけどやっぱりハマらなかった。合わないんでしょうね、自分には。当時八十島のブログが炎上し、本人も「劇場に直接こい」などと反論していた、と今でも覚えている。が、キングオブコントではない場で「変なギャンブルに手を出して破滅する人間」を描いた、より分かりやすいリズムネタとして「あなたのルルルが聞きたい」というネタを披露していたのを見て、我々キリンスマッシュ笑えない派を見放さないネタ作りに少し感動した記憶がある。そんなネタです、キリンスマッシュ。

 

(おしまい)

 

*1:「構わない、燃やしていい街なんかないからねえ」や「顔が機械ならオシャレな帽子を被ればいい!いろんな帽子を持ってます!」など

*2:http://orsonblog.hatenablog.com/entry/2017/10/04/001041