透明飲料界に激震!透明ミルクティーに次いで透明◯◯が売られる時代に!

えー、こんばんは。オルソンです。

 

最近、巷で話題の飲料がある。それが、こちら。

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そう、この飲料はミルクティーなのだが透明なのである。言い換えるとミルクティー味の水である。日本の技術力はスゴーイデスネ。今に視察団が3億人くらい来るよ。

透明飲料というのはねえ、最初はいろはすの味付き水が発端だったと思うんだけど、3.11の時に水を爆買いするためにスーパーを駆けずり回っていた時に「お、水あるやんけ!」と思ったら味付きいろはすだったという経験を2万回はしたという苦い思い出がある。味付きいろはす自体は甘いのにね。

ところが、この透明飲料は増え、果実味だけでなくミルクティー味まで錬成されたが、同時に「なぜ透明なミルクティーなんぞ作るのか?」という疑問が出て来る。しかし、その答えも割とすぐに出た。仕事中にジュースを飲んでいるとサボっていると客や社員に言われてしまうので見た目が透明なら水に見えて怒られない、という理由らしい。見た目しか気にしないところが日本人くさすぎてスゴーイデスネとしか言いようがない。視察団がもう2億人は来るね。

さて、こちらの記事*1同様、私が100円ローソンの店内を回っておりますと、こんなものを発見しました。

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なんと!(cv.青羽美咲)透明な麦焼酎を発見しました!麦焼酎が透明なんてスゴーイデスネ。これは視察団が8億人は来る。見た目は無色透明で水そのもの。これまで麦焼酎を飲んでいた結果、仕事をサボっていると勘違いされて客や上司に怒られたことのあるあなたもこれなら安心して飲めますね!さらに、値段は12度200mlで108円と通常の麦焼酎と同等どころかむしろ安い!透明にする技術の開発費とかどうやって回収するんですか?あー、日本に産まれて………良かった!

最後になぜかブルゾンちえみが出て来ましたが、とにかく透明ミルクティーの次は透明麦焼酎の時代が来る!と私が読んでいることは分かってもらえたでしょうか?そこで私は今回ある実験をします!それは………

 

 

オフ会中透明焼酎を飲んでもバレないのか?

 

早速実験してみました!

 

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まず、透明焼酎の水割りを作るために透明焼酎と天然水を購入し、天然水を目分量で200ml飲んでから透明焼酎を充填した。なお、購入する透明焼酎の度数を間違えたため、200mlのボトルを2本買って入れた。というか、博多の華はデカい紙パックならともかくワンカップタイプだと12度のヤツしか売ってない。上の2枚の写真は同じ写真に見えるが、実際は透明焼酎が空になり、天然水の水位が上がっているのがわかるだろう。

透明焼酎は、アルコールにより菌やカビには強いが、光や熱に弱いようなのでペットボトルをアルミホイルで包んで封印し、良きタイミングを狙うことにした。

…数日後、市川旭氏*2がいつものようにオタクタウン*3におり、パルフェ氏もいるっぽいのでDMでコンタクトを取る。すると、市川氏は帰ってしまっていた。オイ。「水だと思ったら焼酎飲んでたぜ〜!ってやるためにお前は俺を呼びつけたんか?アァン?」って威圧されたらどうすんだオイ。まあ、パルフェ氏もいると言うことでオタクタウンに来ることになったが、実際来てみると、パルフェ氏は帰ってしまっていた。オイ。被験者1名はいろんな意味で辛いて、オイ。たかだか1人騙すためのこっちのコストもヤバいし、たかだか1人騙されるためのあっちのコストもヤバいて、オイ。しかし、パルフェ氏は後々来れると言うことで約束を取り付ける。また、市川氏はK特急氏という別の人物を呼び出してくれていた。オフ会参加者4名、被験者3名だ。

さて、市川氏とはオノデンに行った。さすがにオノデンの店内で水を飲むわけにはいかないのでオノデンまでの道中で水…もとい酒を飲む。が、気づいていないようだ。途中ポテトチップスうすしお味をつまみにして、焼酎で流し込むという、一人コント「常磐快速線ボックスシート」を演じたがやっぱり気づかれない。パッケージに谷川山系の天然水と書かれているのがデカいのだろう。オノデンには、水素水や、東京ドームと東京タワーと東京スカイツリーと新宿都庁とサンシャイン60と赤富士が全て詰め込まれた掛け軸や、レコードやカセットテープとCDとUSB端子に対応したラジカセ(?)があり、TV売り場ではさかなクンの魚の食レポロケ映像を15台同時上映していた。また、食品系の家電売り場には、冷蔵庫に2004年頃の首都圏路線図*4が貼ってあったり、花柄で太い取っ手が付いていて古い炊飯器かと思ったら保温専用の電気お櫃だったり、焼き芋メーカーが売られていたりしていた。……………焼き芋メーカーって何だよ。サツマイモ型の窪みがある鉄板が2枚あるってことは、原理的には一時期話題になってたホットサンドメーカーと同じってとこかな?やかましいわ!「トウモロコシも焼けるよ!」じゃねえよ!そら大体のトウモロコシはサツマイモより長くて太いから折らないと入らないってとこに目を瞑ったら焼けるでしょうよ!焼けるから何だよ!それ言い出したら、例えば細切りのゴボウとかを調味料と一緒に詰めたらきんぴらごぼうくらい自動で作れるんじゃね?ってなっちゃうだろ!あと、この焼き芋メーカー、サツマイモ型の窪みが2個しかねえから2本しか焼けねえじゃねえか!だったらアルミホイルで包んでオーブンで焼くわ!

というわけで、オノデンのウィンドウショッピングを大いに楽しんだ。市川氏はオノデンを「時空が歪んでる」と評していたが、彼は自分が目の前の男に水割りを飲みながら対応されているというもっと時空の歪んだ事態が起きていることに気づいていないのである…。

オノデンでのウィンドウショッピングを終え、市川氏のブログのネタのための公園ベンチ巡検をしていると、K特急氏から連絡が。どうやらK特急氏がオタクタウンに到着したようだ。というわけで電気街口へ向かう。K特急氏と市川氏はこの後控えていたりいなかったりする貸切の話をしていた。その間も私は水(割り)を飲んでいたのだが、まー全く気づかれなかった。

そして、K特急氏は鉄道模型が好きということもあって鉄道模型屋に向かう。この模型屋も店内が狭くて飲食できる空気じゃなさそうなので歩いている時に水割りを飲む。そしてこの辺りからスーパーの袋に入れず、丸裸で水割りのペットボトルを持ち歩くようにする。が、「お前、焼酎持ち歩いてんじゃねえよ!」とは言われない。彼らは、私がもし車を運転したら無免許じゃない方の罪状が乗っかり、そのまま人を轢いてしまった暁にはあの最近高速道路の追越車線で止まった男が問われたことでも有名な、危険運転致死罪に問われる身分になっているということに全く気がついていない。気がついていないのである。

さて、K特急氏に連れられて向かった模型屋は地下なので問答無用で圏外という悲しみを抱えていた。そのため、パルフェ氏とは連絡は完全に遮断された。事前に来ると聞いていた時間を頼りに地下を脱出する時間を決めた。そして地上に脱出して、Twitterを確認すると「着いた」というリプが、7分前に来ていた。アカンやん。というわけで透明焼酎で喉を潤してから、市川氏に待ち合わせ場所を決めてもらい、その場所でパルフェ氏と落ち合う。パルフェ氏と落ち合う前後辺りからゲリラ豪雨が降ってきたが、すぐ弱まるということで軒下で夕飯を決めたり雑談をしたり焼酎を飲んだりしながらやり過ごす。夕飯は麺屋武蔵のつけ麺に決まった。酒飲んだ後のつけ麺ってのは最高だ。

散々飲んだ後の〆のつけ麺…と言いたいところだったがまだ透明焼酎は残っていた。私たちはメロンブックス(だったかな?酒のせいかあまり覚えていない…)に向かい、薄い本などをウィンドウショッピングした。本屋での飲食はやめておこうと思ったので、飲酒は徒歩での道のりのみに控えたが、ペットボトルから立ち上る芳醇な焼酎の香りを堪能するくらいには行動が大胆になっていた。もっとも、こんな大胆な行動でもなお気づかれなかったのだが。

最後に我々が向かったのはらしんばん。中古の薄い本も薄くない本もエロい円盤もエロくない円盤も揃った店である。我々はここで、かの有名なパロAV、「ご注文はこの娘ですか?」を発見した。これには俺も市川氏も「本当に実在したんだ!」と声を上げてしまった。画像もないのにこの感覚を読者と共有するのは多分無理だろう。本当に書店に並んでたら声も上げるよって話。一連のツイート群が釣りだと思っていたわけではないが、実際に生で見てしまったら言うって話。

らしんばんではアニメ円盤もあったので、多数のアニメの話をしていた。「地下鉄に乗るっ」なるクラウドファンディングにより作られたアニメの円盤が発掘され、盛り上がりを見せK特急氏が購入するという一幕もある一方で、ベタにきらら枠のアニメ円盤なんかもあるので、「オルソンブログ、New Gameこすりすぎ説」を経て「オルソンブログ、酒(シュ)ワチンの実験で先越されたぞ」というこのブログに関する話もした。彼らは、ちょうど今酒(シュ)ワチンとは別の、酒を用いた実験をブログ用に行なっているということに気づいていない、気づいていないのである。

こうして、夜分遅くなったので突発オフ会はオタクタウンステーションにて解散。私は解散直前に焼酎を何とか飲み干した。

 

家に帰ってからも焼酎の抜けなかった私はこんなツイートをした。

 

 酔っているとTVを切り取るタイプのネットニュースにも楯突くダメ人間に成り下がってしまう。罰則がないとはいえ、飲酒Twitterは控えた方がいいねという話。

 

 

というわけで

 

 

 

検証結果:透明焼酎は見た目が水なのでフツーに飲んでいてもバレない

 

というわけで透明な焼酎は、長時間の会議を行うビジネスマンや市役所の受付、学校の教師やバスとかタクシーの運転手などが勤務中に飲んでも、バレてクレーマーに電話などで怒られないようにするのに大変オススメと言えるでしょう!はたから見たら水にしか見えない透明焼酎!オススメですよ!

 

以上、この記事の著者はオルソンでした〜!ありがとうございました〜!

 (おしまい)

 

  • 追記

オタクタウンオタク放浪記 - 旭駅本屋 http://ithikawa.hatenablog.com/entry/2017/10/14/000420

市川旭氏のブログにて、全く同じオフ会のレポ記事が書かれました。こちらの記事ではカットした部分も詳細に書かれているので是非読んでみよう!

 

  • さらに追記

https://ithikawa.hatenablog.com/entry/2017/10/17/004242

市川旭氏のブログにて、同一のテーマでの追加実験のレポート記事が書かれました!是非読んでみよう!

*1:http://orsonblog.hatenablog.com/entry/2017/10/07/000330

*2:旭駅本屋というはてなブログを運営中の人。http://ithikawa.hatenablog.com

*3:東京都千代田区にある街。かつては青果市場であったが、後に電気街を経てアニメやゲームの販売店がひしめく、オタクに優しい街となった。

*4:懸命なる捜査の結果「横浜高速鉄道は開通しているが日立電鉄は廃止になっていない」ということから絞り込んだ。なお、首都圏路線図と言いつつ、東海道線新所原中央本線は岡谷、常磐線はいわきまでと範囲がかなり広い。

ベタな笑いってどこにあるんでしょうか?

最近のお笑いは…いや厳密に言えば最近もお笑いは進化している。お笑いはどんどん先鋭化し、シュールで新しいお笑いがあらゆる芸人から生産され、先日のキングオブコントだとかを通して我々の家にもやってきて、審査員に評価されるとそこからもっとTVに出たり出なかったりするのである。

お笑いでシュール系や先鋭的なものが審査員に評価され、我々の家に届くのは大変素晴らしいことだが、そんな世の中に足りないものがある。それはベタな笑いである。読者の皆さんのなかには、会う人会う人に「さらば青春の光はいいぞ^〜」と気さくな挨拶を繰り返し、「わーい、おいらは天竺鼠大好き少年だよーん!天竺鼠って最高だよね!」という独り言を大声で言ったことも数知れず、またある時は「マックで隣の女子高生が『ガンバレルーヤがさ〜、Aマッソより売れたら、もうお笑いおしまいだと思うんだよね〜。』って話したらもう一人の女子高生が『わかる〜!Aマッソいいよね〜!加納がへその緒の使い道を視力4.0の彼氏が最近できたっていう村上に考えさせるネタとか最高だよね〜!』って答えてて、女子高生のお笑いを見る目も捨てたもんじゃないなって思った」という大嘘を50000回くらいついたこの私が「ベタな笑いが足りない」なんて言い出すとは信じられないという人もいるだろう。さらば青春の光って先鋭的な方に入るんですかね?誰か教えてください。何せネタの面白さに反して売れていない理由が先鋭的とかそういう問題じゃないところにあるから…。それはそうと、私にもベタな笑いが欲しい時というのはある。安心感ありますからねベタは。ベタってのはそれはそれでいいんですよ、やっぱり。え?「自分がベタな笑いが足りない」ではなく「世の中にベタな笑いが足りない」って主語を大きくしてる理由?それはこれから説明するよ、うん。

最近、ネタ番組というのはとかく少ない。そうなるとネタ番組ではない番組が多くのバラエティを占めているわけだが、これが、メシとか健康とかネットで話題とか芸能とかそういう情報を盛り込んだ番組が多く、まっすぐに笑いを取りに行くバラエティは少ない。もちろん、情報が笑いを押し出しそうになっても、テロップとナレーションとSEを入れて強引に笑いどころを作るという画期的なアイディアを思いつく敏腕プロデューサー様は腐るほどTV局にいるのだが、その結果テロップとナレーションとSEを盛り込んでいないバラエティというのは皆無である。もちろん、テロップもナレーションもSEも効果的に使えば面白いものをもっと面白くすることができるはずだし、全くないバラエティというのもそれはそれで味気なさすぎるというのはある。その辺は、まあ、要はバランスって話である。

つまり今のTVのお笑いを整理すると「テロップやナレーションを過剰に盛って笑いどころを強引に作ったり、説明したりしている偏差値1向けバラエティ」と「お笑いブームが病める時も健やかなる時も劇場とかいう空間で勝手に先鋭的に進化してしまった芸人のネタ(を流す番組)」の二極化が進んでいるということである。もちろん改編期の特番でのネタ番組ではサンドウィッチマンを筆頭に中堅芸人がベタな笑いをやることもあるが、その下の世代はどっかしらでセンスや個性を見せたお笑いをやっているはずである。普通にボケツッコミの漫才やコントじゃサンドウィッチマンに勝つのが難しすぎるもんな。

そうなってくると「お笑いに新規ファン来ない説」という問題が浮上してくる。普段、TVをつけると「テロップやナレーションで笑いどころを強引に作ったり、説明したりしている偏差値1向けバラエティ」しかやっていないから「TVはつまらない」と切り捨てる層が、ちょうどネタ番組の特番の日に偶然TVをつけてそこから新規でお笑いにハマるというのは考えにくい。また、「テロップやナレーションで笑いどころを強引に作ったり、説明したりしている偏差値1向けバラエティ」しか見ていないかそれすら見ていない人がお笑いの賞レースで先鋭的でシュールなネタを見て笑えるだろうか?審査員から高評価である理由がわからず「こんなもんヤラセだ」と憤慨してTVを消すのではないか?そんなわけで新規のお笑いファンがTVからやってくることはない、という状態ができつつあるのではないか。もっとTVって夢のあるマスメディアじゃなかったのか。

自分がお笑いにハマった理由を考えるとつくづくあの頃は良かったと思わざるを得ない。私がお笑いにハマったきっかけは小学生の頃に見た「エンタの神様」である。エンタの神様というとカスみたいなリズムネタ芸人がカスみたいなリズムネタを大量生産していたカスみたいな番組というイメージを持つ人も多いが、実際にはアンジャッシュやインパルスや東京03陣内智則に最初にゴールデンの地上波でネタを披露する機会を与え、売り込んで行った番組でもある。もっとも、アンジャッシュもインパルスも東京03陣内智則も最初に地上波に引っ張り出したのは、NHK爆笑オンエアバトルという深夜番組なのだが、そんな深夜番組を知る由もないオルソン少年は、エンタの神様を齧り付くように見ていた。この後、エンタの神様は先述のカスみたいなリズムネタの割合が増え、衰退し消滅する。この段階でエンタだけでなくお笑い全般から離れた同級生は多かった気がするが、自分は中高生になると別のネタ番組を見ていた。その番組の名は「爆笑レッドカーペット」。ネタ時間が1分なので出演する芸人が多く、今思えば、いや今思わなくても玉石混交すぎる番組であったが、この番組においてコントで結果を残した者は「爆笑レッドシアター」というネタ番組のレギュラーとして、3-5分程度の尺のコントを披露することになる。当時ははんにゃとフルーツポンチが人気を席巻していたと思うが、個人的にはジャルジャルに惹かれまくっていた。ボケツッコミの明確な境がなく、一つの設定やボケを延々と引っ張る、いやもっと言えば引っ張るに値する設定やボケを持ってくる彼らの先鋭的なコントに自分は刺激されまくったのである。そして、爆笑レッドシアターと同じ頃に見出したのが「キングオブコント」だったのである。本当は2008年からやっていたのだが、リアルタイムで見出したのは2009年からだった。

ここで私は「食堂でほのぼのした会話を喧嘩腰で続けるコント」*1とか「オバハンにオバハンと言い続けるだけのコント」*2のようなもっと先鋭的なネタを見せつけられることになる。このブログでも度々書いているがキングオブコントの準決勝の審査員は今も昔も先鋭的でシュールで視聴者がついてこなさそうなネタを何の躊躇いもなく決勝にぶち上げてゴールデンタイムに全国ネットで映してしまう頭がおかしい人たちなのである。そしてこの先鋭的なコントでは当時の自分は笑えなかったと記憶している。年々お笑いを見ていくとか他の人たちのキングオブコントの感想文を読むとかして、ここ数年でやっとキングオブコントの決勝に自分が追いついたと言ったところである。

結論を言うと自分は、エンタの神様爆笑レッドシアターキングオブコント、と着実なステップアップによって「先鋭的なお笑いを鑑賞できる古参」になったのであるが、今は先鋭的なお笑いをいきなり見ては新参にもならずに帰って行く人が後を絶たない。つまりエンタの神様」や「爆笑レッドシアター」のようなちょうどいいベタさのあるネタ番組が、特番ではなく毎週あれば、キングオブコントで頭のおかしいコントを楽しめる人々がもっと増える…はずなのだが、「テロップやナレーションを過剰に盛って笑いどころを強引に作ったり、説明したりしている偏差値1向けバラエティ」と「お笑いブームが病める時も健やかなる時も劇場とかいう空間で勝手に先鋭的に進化してしまった芸人のネタ(を流す番組)」のちょうど間に当たるベタに笑える番組が少ないために先鋭的なお笑いの鑑賞者にレベルアップできない人が多いのである。

このまま「昔は良かった」と自分語りに幕を閉じ、フジテレビが意外に頑張ってくれている事実*3から目を背けつつ閉廷しても良いのだが、ここは一つベタに安心感あるお笑いを提供する番組を提示しておこうと思う。

ネタ番組が終了してしまい、残った焦土には終わってるバラエティが残されまくった今、ベタに安心感のあるお笑いが見れるのは深夜アニメである。

 

(おしまい)

*1:2009年の天竺鼠のネタ

*2:2010年のジャルジャルのネタ

*3:毎週金曜日23時30分から「ネタパレ」放送中。中堅と若手のネタを半々程度に混ぜてセットにすることで若手のネタを見てもらおうとしているぞ。また改編期にはENGEIグランドスラムという特番も絶賛放送中だぞ。

マクガフィン物語

マクガフィン (MacGuffin, McGuffin) とは、何かしらの物語を構成する上で、登場人物への動機付けや話を進めるために用いられる、仕掛けのひとつである。登場人物たちの視点あるいは読者・観客などからは重要なものだが、作品の構造から言えば他のものに置き換えが可能な物であり、泥棒が狙う宝石や、スパイが狙う重要書類など、そのジャンルでは陳腐なものである。

(Wikipediaマクガフィンの記事より引用)

 

マクガフィン博士は大変興奮していた。というのも、マクガフィン燃料の開発がいよいよ大詰めだったからだ。マクガフィン燃料は石油を利用せずに作ることのできる全く新しい燃料である。これを使えばマクガフィンマクガフィンマクガフィンなどは一切石油を使わずに動かすことができる。そして、マクガフィン燃料は化石燃料と違い、燃やしても温室効果ガスが出ない。さらに、マクガフィン燃料は化石燃料より安いのだ。マクガフィン燃料の開発終了はエネルギー問題の解決を意味していた。まさにマクガフィン燃料は人類の夢であった。

「ガチャン!」

突然マクガフィン博士の研究室の窓ガラスが割れた。そして、割れた窓の前には男が立っていた。

「誰だ!?」

マクガフィン博士は尋ねると彼はこう答えた。

「私はマクガフィン王国軍のスパイだ。今すぐマクガフィン燃料の現物と製法をこちらに渡せ。命令に従わないと、このマクガフィンマクガフィンするぞ!これでマクガフィンされたら痛いだろうなあ…」

「そ、そんな…。いや!得体の知れない者にマクガフィン燃料を渡す訳にはいかない!名前を言え!あとマクガフィン燃料を持っていく目的も聞いておこう…!」

「フン!いいだろう!俺はマクガフィン王国の軍事スパイ。名前はマクガフィンだ!マクガフィン燃料を使えばマクガフィンマクガフィンなどを動かせる、それにマクガフィン燃料の爆発力を使った兵器なんかも作れる…それが俺がマクガフィン燃料を求めている理由だ!わかったらマクガフィン燃料とその製法をこちらへ渡せ!」

「な…!?マクガフィン燃料は人類の夢だ!お前のような奴の暴力に加担するために使わせるわけには行かない!」

「そうかそうか。では、このマクガフィンマクガフィン博士を痛めつけるしかねえなあ…。」

「そんな…」

マクガフィン博士は途方に暮れていた…。すると、

「ガチャン!」

とまた別の窓ガラスが割れた。

「誰だ!?」

「俺はマクガフィン共和国軍のスパイ。マクガフィン博士よ、マクガフィン燃料をこちらによこせ!」

「何だと…どうせ、あれだろ!貴様も戦争のためにマクガフィン燃料を使おうとしたんだろ!」

「ほう、話が早いな…ん?待てよ?『貴様も』ってどういうことだ?」

するとここで、マクガフィン王国軍スパイが

「フン!一足遅かったようだねえ。マクガフィン燃料には先客がいたんだよ、マクガフィン共和国のスパイさん。というわけでマクガフィン燃料は我々マクガフィン王国がいただくぞ!」

もちろん、マクガフィン博士はどちらにも渡したくはない。しかし…。

「俺に渡さないと酷いぞ!このマクガフィンで貴様の足を撃つ!あえて脳天ではなく、な…」

「いや、マクガフィン共和国の未来のために俺に渡すべきだ。何しろマクガフィン燃料があればマクガフィン共和国の世界統一計画は完遂できる。そうなれば、世界は一つになるんだ。」

と、互いに一歩も譲らぬ舌戦が続いている。どちらかに渡さないとマクガフィン博士の身が危ういし、マクガフィン燃料に関する記録が残ったマクガフィン博士のレポートも強奪されかねない。そこで、マクガフィン博士はマクガフィン燃料に関するレポートにマクガフィンで火をつけた。

マクガフィン博士!何をしている!」

二人のスパイは叫んだがもう時すでに遅し、マクガフィン燃料の作り方はもうマクガフィン博士の頭の中にしかないのである。

「やい!マクガフィン共和国のスパイ!お前が後から来なければこんなことにならなかったんだ、死ね!」

「何を!最初にマクガフィン博士を襲ったのはマクガフィン王国だろ!」

そう言い合って、両者は喧嘩を始めました。そして最終的にマクガフィン王国のスパイはマクガフィン共和国のスパイによって殺されてしまいました。

このニュースはマクガフィン王国全土で流された。そして、マクガフィン王国の国民の怒りはマクガフィン共和国に集中した。そして、マクガフィン王国がマクガフィン共和国に宣戦布告し、戦争が始まるのにそう時間は要さなかった。

マクガフィン王国とマクガフィン共和国の戦争は10年以上も続き、多くのマクガフィンマクガフィンが飛び交い、多くのマクガフィンマクガフィンが落とされた。マクガフィン王国の首都マクガフィンも、マクガフィン共和国の首都マクガフィンも焦土と化してしまった。そして多くの人が死に、多くの文化も失われた。

その様子を見たマクガフィン博士は、

「私がマクガフィン燃料を開発しなければ、こんなことにならなかったのに…」

と自らの研究を悔いた。

そして、マクガフィン博士は研究室にあったマクガフィンを飲み、命を絶ってしまったのである…。

(おしまい)

 

 

100円梅酒三種飲み比べ

 どうも、オルソンです。

 

私が100円ローソンの店内を歩いていると、気になりすぎる梅酒を発見!

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それが、こちら。「すっぱムーチョ」という名前の梅酒。そして発売元はすっぱムーチョやカラムーチョなど、多くのポテトチップスを世に送り出してきたコイケヤ(湖池屋)。最初はのりしおやコンソメなどフツーのポテチを作っていたが、個性的な新商品として梅干し味や酢味など酸っぱいポテチ「すっぱムーチョ」を発売。そして、梅干し味ポテチを作るついでに梅酒も発売した製菓会社、なんて聞いたことあります?そして、この梅酒、100円ローソンらしく(?)何と、100円!安い!本当は税込108円だけどそれでも安い!しかし、その100円ローソンの棚をよく見ると… 

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100円(税込108円)の梅酒が3種類揃ってしまいました。ワンカップとパックという安酒の王道が揃っています。そこになぜコイケヤは殴り込んできたのか?さっぱりわかりませんが、とにかく3種類の100円梅酒(税込108円)を飲み比べてみたいと思います!

 

  •  ワンカップタイプの梅酒

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まずは一番右のこちらの梅酒。まったりとした甘味が最も強いのが特徴だが、安酒特有のアルコールそのまんまの苦味も最も強い。何だこれ、何でそんな酒ができんだ。と思って原材料名を見てみたら三種類の中で唯一「水飴」を使用していた。おいこら。なお、梅の香りや風味はあるが、酸味は皆無。

 

  •  パックタイプの梅酒

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次はワンカップではなくパックタイプの梅酒。先述のワンカップ梅酒と比べると酸味が強くて甘味が弱い。ワンカップ梅酒と比べると、安酒特有のアルコール味も控えめ…かと思ったら飲み込む時に「カァーッ!」ってなる辛口タイプだった。飲み込むと奥からやってくるタイプ。パック酒をパック酒で例えると、鬼殺しみたいな感じ。

 ちなみにワンカップ梅酒とパック梅酒を1:1で混ぜたら「アルコールの苦味が舌の上に広がり、飲み込むと喉がカーッてなるタイプの梅酒」とかいう悪魔のキメラができました。

 

  •  すっぱムーチョ

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 最後はコイケヤの梅酒、すっぱムーチョ。実はこいつ以外は180mlだがこいつだけ100mlなので量でいうとコスパが悪い。が、アルコール度数がこいつ以外は8%くらいだが、こいつだけ12度くらいある。

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 ちなみに、案の定、原料の梅はポテチの方のすっぱムーチョを作るために契約した契約農家から調達した模様。そして、申年に収穫された梅を使っているんだとか。初めは、「ちゃんと西暦で書けや!」と思ったが、どうやら申年の梅は縁起がいいという言い伝えがあるんだそうで。まあ、直近の申年って2016年なんですけどね。もっと漬け込め。

そんな、すっぱムーチョ梅酒だが、実際に飲んでみるとなかなか面白い味がした。色と銘柄から察しがつくと思うが、梅干しのような味がして、酸味がかなり強い。梅酒でありながら甘味に乏しい一方でアルコールの苦味やエグみも少ない。量は少ないがアルコール度数が一番高いことを利用して水割りにしてみる。アルコール度数が高いというより、酸味が強いので、水か炭酸水で割った方がいいと思う。水と5:4*1で割ると、少なくとも今回取り上げた3本の梅酒では最も良い。いや〜まさか100円梅酒の最高峰がコイケヤのすっぱムーチョだったとはな!すっぱムーチョ最高!すっぱムーチョいいじゃん!やるじゃんすっぱムーチョ!チョーヤより美味いかって言ったらそんなこたあないけどやるじゃんすっぱムーチョ!

(おしまい)

 

 

*1:目分量だが、100ml100円の酒を5:4で割ると180ml100円の酒になる…はずなので

数日経った今だからこそにゃんこスターを考える

こんばんは、オルソンです。
先日、というか2017年10月1日にキングオブコント2017の決勝がオンエアされました。まずはかまいたち優勝おめでとうございます。個人的には何だかんだで10年前からちょこちょこTV出てる関西の芸人というイメージでしたね。CDショップの店員に曲名がわからない曲を聞くコントをよくやっていたような気がする。あと、かまいたちのネタどころか個人的にお笑いのネタで大好きな部類に入るホームルームのネタも2010年にはキングオブコント準決勝にかけてたからねえ。東京進出という観点で見たら苦労人ですよ本当。
さて、そんなかまいたちはさておき(雑)、一番爪痕を残したのはやはりにゃんこスターだったのでは?本当にねえ、みんな設定を考えに考え抜いて台本を練りに練っているのにあんなネタにゴボウ抜きされるとはね。「シュール」とかそういうので語れないどころか、「コント」という括りにすら収まってるかもわからないような恐ろしいネタだったことは記憶に新しいことでしょう。そんなにゃんこスターのネタを敢えて徹底解剖してやろうというのが今回の記事の趣旨である。
今回のにゃんこスターのネタは曲に合わせてネタが展開する「リズムネタ」である。リズムネタはかつてラララライ体操で一発当てた藤崎マーケットが「リズムネタ、ダメ絶対」という理念を掲げていることからも分かるように、テツandトモムーディ勝山など多くの一発屋を生産してしまったうえに、通常のネタと違ってリズムに合わせる必要がある分、笑い待ちができないため笑い待ちを要するベタではないボケを除外しないとウケないことからベタなボケばかり並べてウケる簡単な手段と取られることもあって、軽く見られがちなジャンルである。しかし、キングオブコントの決勝にリズムネタが進出する機会は意外に多い。過去のキングオブコント全て洗うと

2008→2700(音楽ライブ)
2011→2700(右肘左肘交互に見て、キリンスマッシュ)
2013→天竺鼠(寿司)

ジグザグジギー(刑事と犯人)
2014→バンビーノ(ダンシングフィッソン族)
2015→コロコロチキチキペッパーズ(卓球)
2016→ラブレターズ(野球拳)
2017→にゃんこスター(リズム縄跳び、リズムフラフープ)
(斜体は準決勝でやったらしいネタ。)

である。このほか、2010のTKOの2本目(モロゾフ後藤)や2015の藤崎マーケットの1本目(ストリートパフォーマー)など音楽を使って笑いを盛り上げるコントは多い。そして、右肘左肘交互に見てやダンソンなんかはキングオブコントからブームになったと言っても良いし、結成8ヶ月の2700を決勝進出させる辺りキングオブコント準決勝の審査員にはリズムネタ大好き人間がいるのではとすら思ってしまう。さて、上記のリズムネタには万人にウケて大ブームを起こしたネタもあれば賛否両論になったネタもある。上記の中では「キリンスマッシュ」と「寿司」が該当し、にゃんこスターも今賛否両論の渦中にいる。
さて、キリンスマッシュと寿司は賛否両論を起こしたが、これらもなぜ思いついたのかわからないシュールなセンスがギンギンの部分はあるが、内容というか構成自体は意外にベタな部分がある。そりゃそうだ。ただただシュールなセンスのギンギンが過ぎるネタでは誰も笑わないネタになってしまう。というわけでにゃんこスターを考察する前にまずはこのキリンスマッシュと寿司について軽く考察しておきたい。

キリンスマッシュは、キリンがスマッシュをするかレシーブをするかという賭博にゾウがやってきてリンゴなどを賭けて行くコントである。たことない人にとっては何を言っているのかわからないと思うが俺にもわからないので、Youtubeで確認してほしい。
このコントの笑いどころは二つ。まずはどんどん賭博に溺れて行くゾウの姿。2回のベットでキリンスマッシュを選んでキリンレシーブされ、ラストベットで全財産(果物)をキリンスマッシュに賭けて全部スってしまうその愚かな姿である。もう一つはそもそもの「キリンスマッシュorキリンレシーブ」なるゲームが「それはお前のさじ加減やろ」としか言いようのないゲームになっていることである。キリンはゾウがベットしてからキリンスマッシュかキリンレシーブかを決めている。つまりキリンはイカサマし放題だし、イカサマしないはずがない。そんなゴミみたいな賭博にゾウは愚かにもどんどん溺れて行く。ラストベットでは全財産を賭けたあげく、腕まくりまでして本気でこのゴミ賭博に全力投球している。これがキリンスマッシュの成分だ。長々書いたがまとめると「キリンスマッシュは、キリンのさじ加減で決まるクソ賭博にゾウが溺れて全財産を失うコント」ということである。粗筋そのものはかなーりベタな一本道であるのが分かるだろうか。
続いて、天竺鼠の寿司のコントである。このコントは、子供が歩いていると、どこからともなく音楽が流れ寿司の被り物をした擬人化寿司が音楽に合わせて踊りにくる、というコントである。一方子供はどの寿司が踊っているかで露骨にリアクションを変える。イクラが来ると喜び、卵が来るともう喜びのあまり半狂乱になり、そして最後にシメサバが来るとこの世の終わりみたいな凹み方をする。このコントの笑いどころは「子供のリアクションが3段オチになってる」とか「卵が大好きで光り物が嫌いという子供の寿司の好みのあるある」とかである。ここだけ切り出すとあるあると3段オチなので分かりやすい。構成はカッチリとしており、全く崩しや遊びがないという意味でベタであるが、「寿司が洋楽に合わせて踊ってる」という大前提がそれをベタで終わらせなくしている。というか、後からネタを見て「これはあるあるだ」とか「三段落ちだからベタだ」と指摘、分解することはできるが、それでもネタを見ると感想は「こんなもん何食ってたら思いつくんだ」に尽きる。そしてその疑問は未だ解決されていない。

さて、ここまで過去の2つのリズムネタを振り返ってきたがこの2つのネタの特徴は「ベタなストーリーや構成を独創的すぎるセンスで装飾したコント」ということである。独創的なセンス、というのは本筋には関係ない。キリンスマッシュにおいて、なぜカス賭博の実行者がキリンなのか?なぜカス賭博の被害者がゾウなのか?なぜスマッシュとレシーブなのか?そこに意味はない。天竺鼠の寿司のコントだって、なぜ寿司が踊ってるのか?なぜあの選曲なのか?そこは説明されないし本筋でもない。しかし、本筋でないこれらの「飾り」を取っ払うことは「独創的なセンス」を取っ払うことにつながる。「飾りを取っ払ったら本筋はベタ」これが2700のキリンスマッシュと天竺鼠の寿司の共通点である。

お待たせしました、ここで、出てくるのがにゃんこスターのリズム縄跳びである。ここからは本題なのでより丁寧によりくどく解説していくぞ!

 

ワーイ!おいらは縄跳び大好き少年だよーん!縄跳びって最高だよね!」これがにゃんこスターのリズム縄跳びの第一声である。さて、コント、それもキングオブコントという時間制限(4分です)のある大会で設定を素早く的確に伝えるにはどうしたらいいか?という問題がある。一番早いのは2009年のサンドウィッチマンの1本目の「昨日まで何もなかったのにこんなとこにハンバーガーショップできてる。興奮してきたな。」のように独り言をいうことだが、この手法は不自然すぎるという問題も生む。そこで2017年のかまいたちの2本目では「電話をする」という手法がとられている。あと、2012年のしずるの1本目は漫画でよくあるやり取りを引用することで第一声で漫画的な設定を素早く伝えていた。んで、にゃんこスターがとった手法は縄跳び大好き少年に「おいらは縄跳び大好き少年だーい!」と言わせるというあまりにも雑な方法である。縄跳び大好き少年が縄跳び大好きだからって「おいらは縄跳び大好き少年だーい!」って言うか?というリアリティの問題は当然でてくる。が、そこはスーパー3助のキャラが入った言い方により、「縄跳び大好き少年は頭がおかしいから言う」という答えを用意して強引にクリアし、笑いに変えている。この「雑な独り言の雑さをつかみにしつつ設定の提示にする」という手法はキングオブコントだと2014年に犬の心が2本目でやっている。元祖の芸人が誰かって話になると面倒になるので私はとりあえず「ねねっちの夏休み」と呼んでいる手法である。とにかく、にゃんこスターがここで「縄跳び大好き少年は独り言が多くて頭がおかしい」という設定を全部提示したのである。その次の「あれ?こんなところでリズム縄跳びの発表会やってるよ?僕が見なくて誰が見るのさ〜!」も「いやリズム縄跳びの発表会あったからってこんなこと言うか?」という疑問が出てくるが疑問が同じなら答えも同じ。そう、縄跳び大好き少年は頭がおかしいから言うんです!

とにかく頭おかしい少年の手によってリズム縄跳びというワードをひとまず提示することに成功したら、いよいよリズム縄跳びが始まる。もうこのネタを見た人なら分かるがここはフリである。「なるほど、リズムに合わせて跳ぶのがリズム縄跳びなんだね」、「上手だね」、「急に速くなった!」、「サビどうなっちゃうの?」全部大事なセリフである。順番にまず、リズム縄跳びのルールを口頭で提示し、その上でアンゴラ村長の縄跳びの技術の高さも口頭で言ってしまう。独り言が多いのはスーパー3助演じる少年が頭がおかしいんだから仕方ない。芸名のセンスイカれてんのか。「急に速くなった!」も同じこと。普通のリズム縄跳びができるという技術を見せておかないとこの後のあの破壊の大ボケが効いてこないからだ。最後にダメ押しで「サビどうなっちゃうの!?」でサビ入ればOK。サビまではフリだが、「足綺麗だねえ?」というセクハラ的なボケを入れていたり、リズムに合わせて縄跳びするという絵面そのものが楽しい空気を作っているので多少は笑っている。この「楽しい空気作り」がリズムネタの長所であり、今回のネタの底知れぬ恐ろしさを表している部分である。

というわけで、サビでどうなったかはご存知の通りだろう。「縄跳びなのに跳ばない」という破壊をやってのけたのである。「縄跳びなのに跳ばない」というのはフリに対して真逆のことをするということであり相当ベタだ。しかも、それをかなり丁寧なフリの元で行なっている。これではスカッとJAPAN(オチがベタなのにフリを長くしすぎることで、オチを読まれてしまいクソほどつまらなくなる現象の名前)だ。しかし、そうならずむしろ爆発的なウケを獲得した理由は先述の通り。大塚愛さくらんぼの曲調とアンゴラ村長による高い技術のリズム縄跳び(そしてそれを高い技術だと提示した少年の功績)、そしてスーパー3助演じる少年のキャラクターが楽しい空気を作ったからである。芸名のセンスイカれてんのか。楽しい空気を構築することにより、観客にオチを考える思考力を溶かす。それがこのネタのやり口である。

「跳ぶ気全くなし!」という的確なツッコミを経て、曲は2番に入る。ここでスーパー3助演じる少年の仕事は当然「フリ」だが、観客もさすがに(被せてくるだろう)と読む。もちろんこの読みが、わかってても笑ってしまう状態につながれば最高な状態でもある。そこで少年のセリフを拾っていくと、最初は「サビでそれやればいいのにさ…」と的確なツッコミを入れていくが、Bメロ入口あたりからおかしくなってくる。そう「この動き(サビで縄跳び捨ててやったダンスのこと)求めてる僕がいる!この動きが頭から離れない!」だ。そして「サビが来る!」とサラッと5文字で振ってからの「待ってましたー!この動き待ってましたー!」でフラストレーションが爆発してドカンとウケる。…この「フラストレーション」は元来、我々視聴者のものではないスーパー3助演じる少年がアンゴラ村長に対して抱いているフラストレーションである。芸名のセンスイカれてんのか。しかし、観客やTVで見ていた私もあの動きで笑ってしまったのである。そして、スーパー3助の役を漢字2字で言うとしたら「観客」である。つまりリズム縄跳び発表会に対する立場は観客と同じといえば同じである。しかし、当然これはコントであり、スーパー3助アンゴラ村長が綿密にネタ合わせしてキングオブコント決勝に来ているのは言うまでもない。芸名のセンスイカれてんのか。つまりスーパー3助は「観客役の人」であって「観客」ではない。そう、「観客と別に、ステージの演者と打ち合わせした観客役の人がいる」、「観客役の人が欲しい欲しいと煽るから大していらないはずのものすら欲しくなって来る」…ここまで書けばにゃんこスターのネタが、コントでなくて何なのか見えて来ましたね?そうですこのネタはコントではなくSF商法だったのです!

突拍子もないかな?でもここまでをまとめるとそんなことないはずだ。まず、頭のおかしい縄跳び大好き少年が観客として最前列に座る。観客は最初はその少年を頭がおかしいと思っているが、コントが進行するとリズム縄跳びのことを丁寧に説明してくれるし、縄跳びの技術を上手い上手いと煽るので縄跳びに無学な観客なのにリズム縄跳びに興味を持ってしまう。そして、1回「あの動き」という名の商品が提示され、その商品が一旦引いた後観客役が「欲しい欲しい」とうるさく煽る。そして自分も欲しくなってしまったタイミングで「あの動き」がくるので、審査員の松本も言っていたように「まんまと」商品を掴まされてしまうのである。これがSF商法でなくて何だろう…。

この後の「楽しい空気」と「破壊的なボケ」が入り乱れた「何でもアリな空気」は伝説の縄跳びの件を経てオチへ向かっていく。ここで余談だが、伝説の縄跳びの件ももっとウケて良かったような気もするが、意外とピンとこなかったのか。GAG少年楽団の幼馴染の関係をジジババに置き換えたコント同様ベタな設定をズラすボケやコントは大元の「ベタな設定」を知らない若者が観客の主体であるキングオブコント決勝では辛くなるのかもしれない。話は戻るが、何でもアリな空気から放たれるあのオチである。何でもアリな空気の中でする何でもアリなボケはそらウケるでしょうよ!我々はずっとスーパー3助という観客役に踊らされて「ボケ」という名の商品をSF商法で売りつけられ、買わされていたのである!チクショウ!クーリングオフさせろよ!

さて、このSF商法という観点で2本目のネタ「リズムフラフープ」を見ると面白いことに気づく。基本的には1本目と全く同じ構成であるため、ネタのクオリティと別件で賛否両論なネタだが、一方で大きな差異は「指で長方形作る奴」や「くるくるチョキ」、「もりもりっとした動き」など、動きの種類が増やされていることである。そして、この「動き」というのはスーパー3助が売りつけてくる商品である。そこで先ほど挙げた3つの動きに対するツッコミを見ていくと「カッコイー!」、「くるくるチョキはやめて!ダサいから!」、「わ!もっとダサい!」である。そしてこのアンゴラ村長の動きを見て我々観客と視聴者はダサいと思うから笑う…のだが、この、アンゴラ村長の動きへの評価は我々が自分で下した評価じゃないからね?スーパー3助にノセられているだけだからね?芸名のセンスイカれてんのか。よく考えたら1本目でも2本目でもやたら「この動きいいよね!」と絶賛しまくっていた。だから笑ってたんだな俺たち!チクショー!ハメられたー!

結論を言うと、にゃんこスターのネタは「縄跳びなのに跳ばない」というベタすぎるボケを「縄跳び大好き少年のキャラクター」、「大塚愛さくらんぼ」、「アンゴラ村長の縄跳び」、「スーパー3助のフリとツッコミ」という装飾で楽しそうな空気を作り、見るものの脳を溶かして爆笑を作り出すコントなのである。芸名のセンスイカれてんのか。そして、このベタ+装飾はキリンスマッシュや天竺鼠の寿司のコントに通じるものがある…。いやー、ほんと鬼才のコントだと改めて思いますね本当に。

(おしまい)

 

 

 

キングオブコント2017感想文

この記事ではキングオブコント2017の感想を1組ずつ丁寧に書いていく訳だが当然、シャレにならないくらいネタバレしているので、録画をまだ見ていない人はさっさとブラウザバックしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

まず全体の感想を言うと、2015年に現行ルール、現行観客になってからでは一番面白かったのでは。2016以上に「誰上げてもいいな〜」とか「点数低すぎない?」ってなった記憶がある。2016もネタのレベル高かったけど観客がね…。そこも2017はある程度改善されていたのがすごい良かった。審査員もある程度好みの差はあるってのを念頭に置いた上で一番信用できた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一応、もう一回警告しておくけど、この下はキングオブコント2017の決勝ネタバレだよ?大丈夫?ブラウザバックする?

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは1本目から。

「コールセンター」。光回線の工事をしてもらったが、ネットに繋がらないので斎藤*1は、コールセンターに電話をかける…。オーソドックスすぎて2017年においては逆に珍しい「店員の色々なボケに客がツッコミを入れる」タイプのネタ。思っていた通り、前説という意味でのトップバッターには最適だったが、そのままぶち抜ける展開にはならなかった感じ。それでも1本目6位につけるのはさすが。「あkぎじょあいらg…」と、コールセンターという設定にデブいじりを混ぜて「見てんの?どっかから?ねえ!」ってツッコミさせる件が好き。そしてオチの「Have a nice day」も好き。

 

「エレベーター」。斎藤がエレベーターに乗って46階に行こうとすると、ある人が乗ってくる。そしてその人を追っかけたもう一人が実は恋人同士だったらしく、喧嘩を始め…。活字で書くと意外に複雑な設定を2人の演技と斎藤のツッコミの熱量で素早く分からせているところはさすが。とはいえ(エレベーター挟んで喧嘩ってだけじゃ4分は持たないよ?)と思ったら斎藤が自発的にエレベーター開けるところで大笑い。その後の斎藤がエレベーターを出てからのコミカルな動きとか「あんたが止めないと!」→「何でそっちだよ!」の件とかでまた大笑い。去年よりかは若干スロースタートな気はしたけど、それでもいつも通り素晴らしい。こう見えて結構、伏線とか上手いこと言うとかそういう笑いができるトリオだと思う。凄い。

 

 

「告白」。学校で冴えない男、山内。彼は学校のマドンナの吉田さんに呼び出されて告白される……………時の練習をしていた。今回、設定が分かった段階で一番笑ったのはこれ。(ツッコミの距離感とか恋愛の設定とかGAG少年楽団がやりそうだよなあ…)と考えていたらこの設定なのでガツーンとやられてしまった。こんなコントの前提というか暗黙の了解を覆した叙述トリック、絶対笑ってしまう。ただ、こうなると設定が良すぎて中盤以降のボケが相対的に中弛んでいるように見える…が、終盤の「練習を見つかった時の練習」でまた大爆発。そのままそれを被せて大ウケのままフィニッシュ。現行審査員の傾向にも合っていた、非常にいいネタだった!

なお、余談だが「学校のマドンナ、吉田さん」は去年のキングオブコントでブルマを盗まれた人として出ており、2年連続名前のみ決勝進出している。

 

「海水浴」。海水浴でナンパに来た二人。しかし田中の荷物が盗まれており、田中はパン一で帰ることに…。結構前にエンタか笑点で見た記憶があるネタ。アンガールズに関しては、ENGEIグランドスラムで「友達の財布」とか「新宿の事故物件」とかを見てしまうと「もっといいネタあったろ!」と思ってしまうが、4分尺だとこれが限界だったのかもしれない…ズボンの着方で延々大喜利するだけというアンガールズらしくはないネタ。でも、ただの大喜利でもずーっとニヤニヤできるのは2人のキャラの賜物ではあるし、レジェンド審査員でもできないタイプの笑いという意味では高評価になるんだろうなあ…。個人的にはこのネタとにゃんこスターの2本目だけ、点が高すぎると思った。

 

「卒業式」。卒業式で第2ボタンをあげたあげないで盛り上がる星野。そこに来た山田は、第2ボタンをもらいに来たが、星野のではなく斎藤のが欲しいようで…。一つ一つのやり取りがスローな分一言一言で笑いを取っていくパーパーらしいコント。…なのだが、審査員がが言っていた「面白い雰囲気はあるんですけどねえ…」が全て。本当はもっと面白いコントがあるのだが、最初に「里親」とか「卒業式マジック」とか飛ばし過ぎていたような。その割に持ってくる展開が「キスしてくれ!」か…と。後半被せて爆発する予定だった「質より速さ」を思いっきり噛んだのも相当痛手。これだったら、去年の準決勝で掛けたという、「お金貸して」の方が好き。というか、もっと星野がツッコミ寄りのネタの方が好きかなあ…。ネズミ講の件は笑ったけど。

あと、マセキ芸能社の公式Youtubeチャンネルに彼らのネタが腐るほど上がっているので、興味を持ったなら是非見てみよう。「お金貸して」も見れるぞ。

 

「居酒屋」。居酒屋で一人呑みしていると、注文していない鉄板餃子が来てしまう。一旦は取り下げさせたが、あまりに旨そうだったので思わず注文してしまう…。「注文を間違えられる」という日常でちょいちょいあることをああいう形でコントにしていくのはさすがさらば。ファミレスではなく居酒屋で一人呑みという設定にして「旨そうなので衝動的に頼む」という行動の正当性を補強しているのも素晴らしい。ただ、個人的に設定の発想自体は2013年の1本目がピークかなあと思ってしまっている。しかし、やっぱりさらばは掘り下げ方と、ツッコミのワードと、森田の感情出す演技が上手い。あのエビマヨを鼻に近づけられた時の森田の声と顔!
あと、Twitterでも書いたけど「海老で海老を釣ってるよ!」はもっとウケていい奴。

 

「リズム縄跳び」。縄跳び大好き少年の近くで「リズム縄跳び発表会」というのがあるようで…。序盤で丁寧に「リズム縄跳び」のルールを説明しつつ、最終的には「縄跳びを跳ばない」というボケを延々天丼するだけのネタ。ただ、序盤で楽しい空気を作ってから、きっちりボケるので一番声出して笑ってしまった。リズムネタはハマるとズルいほどウケるからズルいよなあ…。キングオブコント2014でダンソンを初めて見たときもそんなこと思ってた気がするわ。こんな、場が場だったら大スベリするコントを、どう考えても賛否両論にしかならないしそら審査員も悩みますわとしか言いようのないコントを、決勝に上げて全国ネットでゴールデンタイムに放送してやろうという準決勝の審査員の決断、それこそがキングオブコントの醍醐味だと思っております。

 

  • アキナ

「バイトの休憩」。バイトの同期である秋山と山名はよく休憩も一緒になる。が、休憩が回を重ねるごとに秋山は山名の異常性に気づいていく…。「少しサイコな人」をホラーの音楽と山名の雰囲気で過剰に盛り立てて笑いにしていくスタイル。「幽霊やモンスターより結局日常にこういう人が潜んでるのが一番怖い」というメッセージがあるような気がしないでもない。取らない系のボケが2つ続いたところで「そういう天丼か」と思わせ、ケータイで展開を思いっきりズラす。でも軸は変わってない。この快感が気持ちいい。ただ個人的には、秋山がこれまでの件を振り返ってツッコミ入れるところはやって欲しくなかったな…。不条理は不条理なままで乗り切って欲しかった。

思えば、キングオブコント2015の時はフリの長いネタをやって点数に繋がらなかった彼ら。ここでフリの短い天丼ネタを作って、キングオブコントに持って来たことに個人的に感動してしまった部分すらあったり………でも、点数は低めで1本目で敗退。にゃんこスターがもっと分かりやすい笑いでもっとドカドカウケてた直後だから仕方ないと言えば仕方ないか。

余談だが、僕はこのコントのオチのおかげでアキナの、どっちが秋山でどっちが山名かを完璧に覚えられました。

 

「幼馴染」。しゅん、ひろこ、じゅんの3人は幼馴染として3人用の勉強部屋まで作ってもらって、ずっと過ごしている……50年近く。50年近く仲良いのに恋愛が一切進展しないというサマを描いたコント。幼馴染とのやり取りを老人に置き換えつつ「きな粉入り黒酢ジュース」、「芋けんぴ」、「叙々苑」で補強していく辺りが良い。後半福井がツッコミ入れて、笑いどころを「恋愛」に絞って分かりやすくして行っていたが、あれがないまま日常が続いていく展開も見たいなという気も少し。とはいえ、「趣味も仕事も最終ステージ行ってる」「勇気さえ出せば2秒で終わる話」といったツッコミは良い。特上ハラミの件も彼ららしくていい例え。彼らは数年前から結婚式とか保健室とか色恋沙汰に福井がツッコミを入れて行くスタイルのコントを量産していたが、見るたびに少しずつ面白くなって行くのが本当に凄いと思う。ただ演技力が数年前から一歩も進化していないのも凄いと思う…。

点数は、演技力がアレだったのが敗因にしてもだいぶ低すぎる印象。にゃんこスターより前の出順になれただけでだいぶ違ったかもしれない。

 

「母さん」。「あ〜、腹減った〜!」と元気に帰って来た息子と深刻そうな顔の父。父親曰く、母さんが出て行ったらしい。それを知った息子の第一声は「飯ねーじゃん!」。母のことを飯作る人としか思っていない息子のコントだが、その設定に固執しすぎた印象。もちろん、固執すればするほど息子の狂気が際立って面白くなるというのもあると言えばあるが、それにしても、設定で一撃食らわせる「お前さ、母さんのことどう思ってんだ?」が遅すぎた印象。もっとそれを序盤に持って来て「お前、母さんのこと『飯』って登録してんのか!?」みたいな展開とか、オチの炒飯みたいな小ボケをもっと入れられたらもっと良かったと思う。

余談だが、このコンビもフリーでありながら、何と公式Youtubeチャンネルを持っております!

なお、このコントで少々炎上したらしいが、とりあえず私からは、「鳥は食べ物です!」という言葉をお送りしたいと思います。

 

 

 

続いて、2本目。この時点で、にゃんこスターが大トリって決まったのが何か面白かったですね。

 

「ストーカー」。山根が結婚した女に、10年前に二股をかけられていた男、田中。彼はその女を求めてストーカーしていたという…が、彼がストーカーしていたのはその女ではなく…。田中演じる見た目もキャラクターも気持ち悪い男が、気持ち悪いようで筋の通った持論を展開するという、これだよ!これが俺の見たかったアンガールズだよ!と言いたくなるコント。「俺は法の中で暴れているんだ!」は他のコントでも使っているのを見たワードだが今回もしっかりウケていた。オチをあんなんで終わらせてしまう了見もアンガールズらしくて実に良い。

 

 「組織」。組織に捕まってしまった斎藤。太田とおたけから尋問を受けることになるが、情報を吐かない斎藤は太田によってロッカーに叩きつけられ、銃を突きつけられる…。早い話が斎藤が延々と、文字通り痛い目に遭わされるコント。太田のロッカーや、おたけの「や〜め〜ろ〜」のタイミングをズラすことで「似た流れ」ではあっても「同じ流れ」にしないような工夫はあるが、勢いの中で感情の変化の流れをエネルギッシュにしかし的確に表現していたこれまで*2のジャンポケに比べると少し弱い気もする。それでも斎藤と太田の熱演で乗り切ってしまうのはいつも通りだがさすが。でも優勝ってなるともう一声というかもう一パンチ欲しくなってくるよなあ…。

 

「パワースポット」。大人気のパワースポットの警備員にパワースポットのことを聞く観光客。しかし、観光客はパワースポットを10年警備している警備員が幸せか気になりだして…。設楽も言っていたように、結構何度もTVにかけているネタ。そして、正直「金メダル」*3や「タイムマシン」の方が強いよなあ…と思っていたが、終盤で滑舌の件を足したのと、粗いと思っていたオチが改善されていた。オチはちょっと読まれやすいが、以前のオチを見たことある身としては、この改良は好印象。石を食べる件は割と安定して引かれるなあ…。俺は好きなんだけどなあ…。あと、ネタ終わりの「岩です!」が面白かった。

 

「ウェットスーツ」。あるサーフショップにて、ウェットスーツを試着した客がそれを脱げないまま、かれこれ4時間が経過しているのだという…。去年の1本目の監禁のネタ同様、山内がツッコミのネタ。しれっとした顔の濱家が意外に「こう(視野が狭く)なるタイプ」というのがいいのでボケツッコミ交代して正解。そして、監禁のネタ同様ツッコミのワードセンスもいい。「先がないやろ!?」「見た目のウェットスーツの部分減らしたいんちゃうで!」は腹抱えて笑った。終盤の膝の皿の件で強い絵を見せ、オチもバシッと決める。こういう悪く言えばベタとも言えるけど、よく言えば分かりやすく馬鹿馬鹿しい設定を馬鹿馬鹿しいまま中弛みさせず4分尺に引き伸ばせるのが、彼らの真骨頂なのよね。面白かった!

 

「リズムフラフープ」。フラフープ大好き少年の近くで「リズムフラフープ発表会」というのがあるようで…。まあ、1本目とほとんど同じネタである。よく見ると中盤で動きのボケを追加していたのだが、序盤で全く同じと思われた時点で客ウケも俺ウケも、もう負けである。限界を感じたのか、「どっかで見たことある奴!」ってアドリブを入れたのが一番面白かった辺りがもう限界も限界。1本目と全く同じなオチとか、勝算あったんですかね?

余談だが、彼らは準々決勝までネタが1本しかなかったらしい。道理で!

 

 

総評すると、まずかまいたちの優勝は妥当も妥当。さらば青春の光も優勝して欲しかったし、いいとこまで行ったけどね。

決勝初進出6組、フリーも2組いる、男女コンビも2組いるなど、決勝進出者発表時は「どうなることやら?」と言った様相だったが、蓋を開けてみるとジャングルポケットさらば青春の光と言った常連が上位5組に残り、芸歴が長くキングオブコント開催前から売れていたアンガールズと、爆発的にウケたにゃんこスター以外の4組が下位5組というなかなかシビアな結果になった。どうしても初見の芸人というのは認知が浸透している芸人よりウケづらいというのはあるし、何度もキングオブコント決勝くるような芸人の方が演技とか技術面で勝てないというのはあるんだろうけどさ。そういう意味ではかまいたちの「去年ひとまずネタを認知させて、今年は…」という流れは綺麗だった。かつてチュートリアル銀シャリM-1で通った道だ。とにかく、かつては「準決勝でドカウケしても決勝にこない」という評判をインスタントジョンソンGAG少年楽団と並んでよく聞くコンビだったかまいたちの優勝、全国区での知名度上昇は本当にめでたい。

もう書いたことだけど、個人的に点数が高すぎると思ったのはアンガールズの1本目とにゃんこスターの2本目。後者に関しては意外と高い点が付いたので「まさか…優勝?」と本気でヒヤヒヤしましたね。

逆に点数が低すぎると思ったのはアキナとGAG少年楽団。どっちもジワジワくるタイプだったのが低評価に結びついちゃったのかなあ…。でも、ホラーっぽい狂気を笑いとして出していくのではなく日常をホラーっぽくするという形で引かれにくいバランスを突いたアキナ、人間を描いた設定と台本を持ってきて、共感と破壊をちょうどいいバランスと鋭い角度で入れ込んできたGAG少年楽団ともにもっと評判されて良かったと思う。まあネタ順がにゃんこスターの1個後と2個後で場が荒れていたのが原因だろうが…。

にゃんこスター、売れるんすかねえ。現状、持ちネタが2本しかないそうだけどねえ、あれ以外にリズムネタを作れるなら第二の2700にはなれそう。大爆発したからね。フリーで結成5ヶ月でも準優勝できるっていうのはお笑い特有の「夢」だと思う。

来年こそはさらば青春の光が………取ってほしい…。

 

 

 

 

 

*1:芸名は口笛なるお。斎藤はコント中の役名ではなく本名

*2:2015年の浮気のネタや、2016年のトイレ、そして2017年の1本目

*3:以前記事にしたネタ番組、どぅっかん!どぅっかん!で彼らがやっていたネタ

保毛尾田保毛男とは何だったのか?

作者注:最後にクイズがありますが正解したからと言ってハワイ旅行などをプレゼントすることはしませんし、できません。なお、答えは「4」です。

 

 

2017年9月28日、とんねるずのみなさんのおかげでしたの30周年記念2時間半スペシャルが放送された。30周年だって、すげえなオイ。30年って言ったらだいたい犬3匹分だからね。いやー、すごい。あまりにもすごいので普段はみなおかを見ない私も録画して見てしまった。

さて、そんなとんねるずのみなさんのおかげでしたの30周年記念2時間半スペシャル(以下、みなおかSP)が波紋を呼んでいることは読者もご存知であろう。

とんねるず“保毛尾田保毛男”が深刻な差別を孕んでいると気付かないフジテレビの愚行 http://wezz-y.com/archives/50304 

あまりに波紋を呼びすぎていて、どのニュースを使えばよかったか分からなかったがざっくりまとめると「みなおかSPで石橋貴明扮する保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)なるキャラクターが同性愛者を差別嘲笑しているとして苦情が殺到した」というニュースである。

私はみなおかSPを録画で2時間半ぶっ通しで見たが、この話題は録画を確認する前から知っていた。しかし、見終わってみると保毛尾田保毛男が同性愛者差別には見えなかったのである…、というのは異性愛者の傲慢なのだろうか?

でも、やっぱり保毛尾田保毛男を批判する人には、「ちゃんと番組見た?」と問いただしたくなってしまう。というわけで、なぜ、保毛尾田保毛男が同性愛者差別に見えなかったのか?その理由を、みなおかSPを振り返りながら考えてみよう。

みなおかSPは3つのコーナーで構成されていた。まず1つ目は「祝っていいとも!」。これは笑っていいとものスタジオや演出を丸コピしつつ、司会はとんねるずの二人が行い、テレフォンショッキングのゲストとしてタモリを呼び込んだり、アルタに呼びつけた鶴瓶を雨の中バイクのサイドカーに載せてフジテレビまで移動させたりしていた。このコーナーは30分程度でスパッと終わった。

残りの2時間だが、「ビートたけしと銀座を食べ歩く祝賀会」と「みやぞんの部屋でホームパーティ」のコーナーを「たけし祝賀会→みやぞん祝賀会→たけし祝賀会」とサンドウィッチ型にすることでたけしの件を後半に引っ張る構成になっていた。そして、保毛尾田保毛男が出たのはたけし祝賀会の方である。

たけし祝賀会では、ビートたけし木梨憲武もそれぞれ、鬼瓦権蔵とノリ子というキャラクターに扮しており、キャラクターの入った3人で銀座を食べ歩きするという企画だった。さて、オープニングではたけしの「お前ら別の国だったら死刑だからな」 や、木梨の「ホモなんですって?」に対して保毛尾田が「あくまで噂なの」とナヨナヨした口調で返すシーンはあった。が、このコーナー開始5分で保毛尾田のキャラは失速。前述のようなナヨナヨした口調だとか、ビートたけしに抱きついてキスでもするというわかりやすいホモキャラっぽい行動は一切出なくなった。ルーレット*1でも石橋と呼ばれていたし、見た目以外は完全に素の石橋だった。松崎しげるを呼んでおいて、思いっきり歌を遮るだとか、とんねるずが珍しく熱湯風呂に入るだとか、そういう件はあった。とりわけ、ビートたけしみなおか30周年を表彰すると称して、「とんねるずがフジテレビに取り入ったおかげであることは言うまでもありません」だとか「後輩たちには時計を買わせるくせに、自分たちは何も買わず、顰蹙を買う」だとか、とんねるずを延々disる表彰状を読むシーンは大変共感したし、めちゃくちゃ笑った。ところが、石橋貴明が保毛尾田という同性愛者であるという設定を活かした件はなかったのである。

せっかくなので、みやぞん祝賀会の方も振り返ってみよう。これは、とんねるずとずん飯尾が、みやぞんには自宅が会場であると伝えずに「祝賀パーティやるから来いよ」と誘い、強引に祝賀会をみやぞんの家で開くという非常にとんねるずらしいというかみなおからしい企画である。内容も、みやぞんが潔癖と知りながら、石橋貴明が部屋の私物を少しずつ傾けたり、鏡開きで部屋を酒まみれにしたり、生きた鯛をみやぞんの私物のテーブルの上に置いたり、肉を持ってきたあらぽん*2を早々につっ帰したり、後輩の歌ネタ芸人が持ってきた祝いの歌の途中で雑談して遮ったり、みやぞんの母が突然祝賀会に参加して最終的に美空ひばりのマネして出てきたり、石橋貴明美空ひばりの衣装を着たみやぞんの母の衣装のヒモをキツく締めたりみなおからしさ全開の企画であった。特に、歌を遮るという件はみやぞんの祝賀会でもたけしの祝賀会でも出てきている。

この2コーナーだけでもたまらないのだが、CM前後に「30周年の名シーンを振り返るミニコーナー」もあったが、このミニコーナーで振り返る名シーンがまたたまらない。「コント中に、石橋貴明宮沢りえの股間に小道具の斧を差し込むシーン」だとかゴルゴ松本の椅子の後ろの壁が開いて、ゴルゴ松本がウォータースライダーに落とされるシーン」だとか三田友梨佳アナウンサーの鼻にサワガニを挟むシーン」だとかそんなシーンばっかりが延々と流れるのだからたまらない。いかに、とんねるずが30年間セクハラと暴力だけで凌いできたかがよくわかる。好きな人にとっては懐かしいシーンだったんじゃなかろうか?

こうして見渡してみると2時間半のみなおかSPで石橋貴明保毛尾田保毛男として、ホモを笑い者にしていた時間など皆無なのである。石橋貴明にホモキャラは憑依していなかったし、ホモを馬鹿にした演技やボケをかますこともほとんどなかった。それでもLGBTの団体だとか、ただ単に騒ぎたいだけのクレーマーだとかはフジテレビに苦情を入れるんだろうか…?苦情を入れる人々は、石橋貴明がホモキャラで笑いを取れていると本当に思っているんだろうか?僕は甚だ疑問なのである。

 

Q、この文章を通して作者が最も批判している対象はどれか?

1、フジテレビ

2、ただ単に騒ぎたいだけのクレーマー

3、ビートたけし

4、とんねるず

 

*1:ビートたけしが用意した、撮影許可を取りに行く人が誰かを決めるルーレット。なお軸の回転が非常に固い

*2:みやぞんの相方