続・野球ってルール複雑じゃないですか?

前回の記事はこちら

野球ってルール複雑じゃないですか? - オルソンブログ https://orsonblog.hatenablog.com/entry/2021/08/07/235733

 

この記事では、野球という、実は複雑怪奇なルールのスポーツがどのように広まったか?を考えてみている。

なお、この記事は、野球を知らない自分と、もう一人の野球を知らん人とのzoom飲み会の会話を再編集して作られている。その辺を伏せながら、作成されたというのは、コナンだったらギリギリ殺しの動機になりうる。

 

なお、このような感想を頂いておりますが…本文に入れ忘れただけで、飲み会当時には、トリビアの泉のこの回についての話も出ておりました。あと、正岡子規、伝言ゲーム上手すぎ説も浮上しました。あんな複雑怪奇なルールを日本人に伝えられるなんて、伝言ゲーム上手すぎ人間に違いない。そういえば、ひもてはうすでも野球の複雑さに触れた回がありましたね。

 

そんな野球のルールの考察を、野球に詳しい人にzoom飲み会でぶつけるとどうなるか………というのが、今回の記事の趣旨である。

 

その結果得られたのは、野球はクリケットと密接な関係にある、ということである。クリケット!!!!これは思いつかんて。なにせ、知らないから。知らない人がいくら思考力を巡らしても、正しい結論に辿り着けるはずはないのである。大事なことなのでもう一度言います。知らない人がいくら思考力を巡らしても、正しい結論に辿り着けるはずはないのである。見てるか、大学入試共通テスト。

 

さらに、クリケット、野球、サッカー、ラグビーなどあらゆる球技の原型になったと言われているラシュールという競技があるという話も来た。ラシュールについては、Wikipediaの「野球の歴史」のページにも掲載されていた。

中世ヨーロッパでは、12世紀頃のフランスで、「ラ・シュール」が誕生した。2チームに分かれ、足や手、棒などを使い敵陣にある2本の杭の間にボールを通すゲームで、今日のあらゆる球技の原型とされるスポーツである。

そう、ラシュールは、多くのゴールにボールを入れる競技の原型と言えるのである。ラシュールからの進化をざっくり見ると

手でボールをゴールに入れる→バスケットボールとかラグビーとか

手ではなく足でボールをゴールに入れる→サッカー

素手ではなく棒でボールを飛ばす→野球

こうして見ると、ラシュールから野球への進化がいかに異常か、改めてわかることだろう。野球は、サッカーやバスケットボールとは異なり、陣地が1つで、ゴールに当たるホームベースもコート中に1つしかないのである。

 

しかし、その仲立ちにクリケットがいるとしたら………???たしかに、クリケットはボールを棒で打って飛ばすスポーツだが果たして………???というより、クリケットのルールって、何!?(クリケットルール坂46の冠番組)

 

というわけで、まずクリケットのルールをWikipediaなどで調べてまとめる。余談ですが、Wikipedia読者の98%は寄付をしてくださらず、ウィキペディアを使い続けます。地球上のすべての人が、平等に知識を得られる未来のために、¥300またはお支払いいただける額を、Wikipediaにお寄せください。

 

クリケットのルールについて、まとめると…

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ボウラー(野球で言うとピッチャー)はボールを投げてウィケット(野球で言うと塁のようなもの、だがキャッチャーに似ている側面もある)に当てる。バッツマン(野球で言うとバッターだが、何とボウラー側にもバッツマンはいる)はそれを防ぐためにバットでボールを打ち返す

バッツマンはバットでボールを打ち返したら、フィールダー(野球で言うと守備のようなもの)にボールを取られて、そのボールでウィケットを倒されるまで、2つのウィケットの間を走る。2人とも片道1本走るごとに1点。

→野球と異なり、同じバッツマンが何往復しても良い。野球では守備がどれほどまごついても一回のヒットで取れる点数は最高4点だが、クリケットでは一回のヒットで、ウィケットの間を100回走ったら100点手に入る。

・なお、フィールダーが打球をノーバウンドで取ったらアウト、打球がバウンダリーを超えたら4点(ノーバウンドで超えたら6点)という、野球の「アウト」や「ホームラン」に通じる概念もある。特に後者が設定されてないと、本当に無限に点を入れられかねない。

何と、クリケットにはサッカーのような自分のチームのゴールを守るという概念が生きている。それはウィケットである。ウィケットバッツマン(バッター)の後ろでボウラー(ピッチャー)の球を待つという意味ではキャッチャーであり、ウィケットまで走ると点になるという意味ではホームベースであり、また、サッカーやバスケットボールでいうと「守るべきゴール」なのである。余談だが、バッツマンがバットを振ったはずみでウィケットを倒すとアウトになるという、「オウンゴール」のようなルールもある。

 

野球が「ラシュール→クリケット→野球」と進化した可能性は高い。では、なぜ、クリケットは野球へ進化する必要があったのか?それは、学天即がクリケットのルールを題材に丸々一本の漫才を作ってしまうくらい、クリケットのルールに進化の余地があったからである。クリケットのルールの進化の余地とは…。

 

 

1、試合時間が長い

試合時間が丸3日かかり、試合中にランチタイムやティータイムがあるのが特徴。これは、学天即のみならず、ハマカーンもネタに取り入れてたなあ…。当然、みんながテレビで見るスポーツとしての国民的スポーツにはなりえない。なぜなら試合時間が丸3日だから。24時間テレビ3つ分、チャリティマラソン300km分、名探偵コナン144話ぶんに相当する*1から。

では、なぜ試合時間が長いのか。これは10アウト交代制、言い換えれば、10人のバッツマンが全員アウトになるまで交代しない。それでいて、バッツマンは無限にウィケット間を走ることができ、ウィケットを倒されるタイミングを見誤らなければ、まずアウトにはならない………あ、フィールダーがノーバウンドでキャッチしたら話は別か。普通の野球でも、それでアウトにする方が速いもんな。うん。

 

2、アウトになったバッツマンは二度と試合に出ない

見出し以上言うことはないが………10人のバッツマンをアウトにしたら交代という都合上、一度アウトになったバッツマンは二度と試合に出ない。これは、2021年現在の日本の地上波でテレビ放送されているスポーツとしては、千原ジュニアの座王でのみ採用されているルールである。そう「座王」を見たことある人ならわかるだろう。アウトになったバッツマンはそのあとめちゃくちゃ暇なのである。もちろん、一番打者となったバッツマンは、9人分暇になる宿命が託されている。というか、一番打者として意気揚々で乗り込んで、大した結果残せずすぐアウトになったら、あとのほぼ丸3日どう過ごせばいいんだ。一番打者として意気揚々で乗り込んで、一発目でうっかりウィケット倒してアウトになったら、どういう顔してランチタイムやティータイムに参加すればいいんだ。

 

こういった点を解消するために、クリケットから野球への進化、すなわち、バッツマン改めバッターが走る目標である「塁」を増やし、塁ごとにバッターが来るより早くボールを取って塁にいられたらアウトになる人が出てくることで、アウトになる可能性を増やして試合時間の増大を防止するとか、一回のヒットやホームランで一人の打者が回れる塁を一周までに限定することで、点数のインフレを抑えるとか、打者が走る塁間を直線状からダイヤモンド状にすることで、フィールドの周りの観客席から見やすくするとか、そういった形で、より見やすく、よりやりやすい競技に進化したのが「野球」だったということが分かった。

 

 

すいません、「ワン・オールド・キャット」だか、「オールド・ファッション・ドーナツ」だか言っていましたが、野球の原型はクリケットでした。そして、今まで野球の試合やその延長によって、見たい番組を潰されたことはありますが、*2クリケットに比べたら大した時間ではないということもわかりました。ルールは多少複雑ですが、それはクリケットから欠点を潰す形で洗練されていった結果なのです。

 

 

ちなみに、Wikipediaの「野球の歴史」のページを見ると、野球は町内会などで親睦を深めるスポーツとして進化していったということも掲載されています。まあ、町内会の親睦を深めるレクリエーションに丸3日はかけられないですから、クリケットが野球に進化するのはどの道自然ということでしょう。

 

(おしまい)

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:ちなみに名探偵コナン第144話は「上野発北斗星3号」という原作では22巻に収録されている回

*2:2001年のことだが、世にも奇妙な物語にもそういう回があったのはあまりに有名