どうも、こんばんは、オルソンです。
このところ、感想文しか書いてませんね。というわけで感想文特有の性質として、逃げ恥新春スペシャルのネタバレ2兆%でお送りしますので、まだ見てない人は逃げてください。恥だが役に立つので。
というわけで、逃げ恥新春スペシャル良かったですね。少々コメディの手数が少なくなっていましたが、このドラマは急に社会風刺ドラマになったのではなく、言ってしまえば元々こういうドラマでしたよ、ええ。
言いたいこと終わったんで帰ってもいいのだが……まあ、もっと書けるのがTwitterと比べたときのブログのメリットなのでもっと書く。私がこのドラマを見たのは緊急事態宣言により配信された「ムズキュン特別編」からであった。当時はスルーしてしまった*1が、一挙配信のチャンスを利用して見ることに。
みくりと平匡、双方の極端なはずなのにどこか筋道の通った会話や心の声にドハマりした。しかし、一回もムズキュンすることはなかった。元々、ムズキュンするようなドラマだったらドハマりしないのもあるが、これでムズキュンする人は囲碁将棋の漫才を見てもムズキュンすると思う。いやまあ、そういう嗜好を否定するつもりはないですし、囲碁将棋の漫才を見てムズキュンしない側である自分がマイノリティの可能性もあるわけですが。
そんな逃げ恥は、通常回でも「家事の負担を労働に置き換えると304万1000円」だの「雇用のグローバル化が国の産業を衰退させる」だの言っていた。元から逃げ恥は社会派ドラマだったのである。しかし、通常回ではコメディタッチで描くことと脚本の脅威のバランス感覚で、新春特別編では脚本の脅威のバランス感覚で乗り切っている。新春特別編の方が武器が貧弱になっているが…まあ、尺の都合を考えたら致し方ないでしょう。それでも、ねぽりんはぽりんや行く年くる年のパロディを筆頭に、コメディ要素を出していますが……ただ、まあ、コメディの手数はさすがに後半失速してたかなあ…。というわけで、ここからは、新春特別編の脅威のバランス感覚を見ていこう。
OP直前のみくりが「サポート」という言葉に引っかかるシーン。このシーンは、平匡とみくりのキャラクターを魅せる上でも、脚本のバランス感覚としても、逃げ恥の真骨頂である。こういうのって、ある面じゃ言葉狩りですよ?ある面じゃ、ね…?ただ、男女間の意識の差異で狩られるべき言葉ってこういうことなんですよ!こういうのじゃない例として、コンビニの惣菜のブランドを何食堂にするかとか、妻と嫁とカミさんと、どの言い方がアカンかったっけ?とかですよ。そう言うところじゃなくて、子育てを「サポート」だと思うか「一緒にやる」と思うか、男女間の意識の差異で出てくる言葉ってこういうところから出てくるんですよ!
また、灰原さんが人に言われたら傷つくことを平気で言っているヤバい奴だと分かったときのシーンも、女性のみならず男性もセクハラを主張するというバランス感覚。男も、職場でセクキャバの話バラ撒かれたら嫌よね、っていう。だからこそ、終盤に灰原さんが善人になってしまうのは…尺ゆえの粗さかな、と思ったり。
みくりと平匡が育休を取るシーンも凄いですよ。みくりと平匡が育休を取る時のセリフ覚えてます?「仕事を休めないって、異常ですよね」ですよ?彼らが主張している権利って「子育ては大変なんだから、育休取らせろ」ということではないんです。「休みたい、休むべきときに休ませろ」ということなんですね。その後、沼田さんが「例えばね、突然の事故、家族の病気介護、自分の体調が崩れる時もあるよね?育休でも他の長い休みでも同じ」とこの意見は補強される。ここからもわかるように、「休みたい、休むべきときに休む権利」というのは男だろうと女だろうと結婚や子育てをする予定があろうとなかろうと関係なく、全ての労働者が主張・行使できる権利なんですよ!
ほかにも、「男らしくあろうとするっていうのも呪いかもね〜」「男も女も辛いときは辛いですよね」と言ったセリフが、男性に対する男女平等をも火の玉ストレートで主張しているんですよね。結論を言うと、男も女も結婚する気があろうとなかろうとボサッとしてたらイカン!!!主張できる権利は主張していかないと問題は解決しないぞ!!!!という気迫に満ちた作品なのだ。それでいて、具体的な日程は出せないが、明るい未来を想起させて終わるというんだから抜かりのないドラマである。
ラブコメの皮を被った社会派ドラマから、普通の社会派ドラマとなってしまった逃げ恥。これは進化なのか?それはまだわからない。個人的には、年に一回、平匡みくり夫妻が社会の変化に合わせて立ち回りながら子供を育てるドラマとして放送してくれると嬉しい限りだが………でも、一年経っても、コロナが収束せず、選択的夫婦別姓も議論が先伸ばされて、再放送みたいなものが仕上がってたら………どうしよう?
*1:ドラマって1話スルーしたら終わりですよね。TV番組配信が当たり前になった今でもアニメと違って1話と2話が同時に配信される期間も6話と11話来た時に一挙配信される機関も存在しないから品定めしにくいんだよ!