よしもとクリエイティブ・エージェンシーは本当に異常な企業なのか?

どうも、こんばんは、オルソンです。

 

 

今、世間を騒がせているニュースの一つといえば闇営業問題である*1

カラテカ入江のよしもと解雇を皮切りに、雨上がり宮迫やロンブー亮ほか11人の芸人、さらにはスリムクラブや2700も反社会的勢力のパーティに出向いてギャラをもらっていたことが発覚し、芸能活動を謹慎させられている。

闇営業の意味は「事務所を通さない営業」のことであり、「ギャラを事務所にピンハネされない」というメリットがある(デメリットは「今回のように相手がヤバい可能性があることを、会社が調べてくれないこと」)。そして、多くのよしもと芸人が闇営業に手を染めてしまった理由は「よしもとクリエイティブ・エージェンシーがギャラの9割をピンハネするブラック企業だから」という企業態度の問題という説も浮上している。

しかし、そんなブラック企業であるはずのよしもとに所属することになろうと、NSC*2の門戸を叩く芸人の卵は後を絶たない*3。そう、何だかんだ言ってよしもと所属にはメリットがあるのだ。「事務所が自社で舞台を持っている数少ない事務所だから」というのがその一つだ。新宿、京都、大阪、沖縄、幕張、大宮など、自社で舞台を持っているよしもとでは、TVから消えたと言われてしまう芸人が、相応の頻度で舞台に出演している。また、M-1ファイナリストによしもと芸人が多い理由の一つは「舞台に出る頻度が多いので、漫才を仕上げやすいから」という説もある。そう、よしもとはちゃんと設備投資しているのだ。そう考えると、ギャラの9割ピンハネが異常かどうかは不明だろう。というより、会社員というのは自分が発生させた儲けを全て丸儲けしていないはずだ。そう考えると、ピンハネそのものは悪ではない。それを検証する。

どの業種でやるのか?考えた結果、自身がバイトしていた「学習塾講師」とすることにした。学習塾講師の授業というのはその塾の代表的商品である。つまり、塾講師の授業というのは芸人でいうネタにあたる部分といえる。この授業(ネタ)の上手さ(面白さ)がそのまま自身の価値になると言えるだろう。ちなみに、全ての学習塾がそうかは知らないが、バイトの時に書いた誓約書には「御社に許可なく、近隣地域で学習塾事業を行わないこと」*4という闇営業禁止のお達しが、しっかりと書いてありました。この検証に穴があるとしたら、学習塾講師も、結構ブラックと言われがちなことでしょう。もっといい代案があったら教えてください。そっちで再検証します。

というわけで検証方法は以下の通り

1、学習塾のホームページを調べ、頑張って採用ページまで辿り着く。

2、待遇を見て時給換算を行う。具体的な式は以下の通り。

(365-年間休日)÷12=(月労働日数)

(月給)÷(月労働日数)=(日給)

(日給)÷(労働時間*5 )=(時給)

3、塾の公式サイトを見てノーピンハネ時給を計算する。具体的な式は以下の通り。

(月間授業料)×(担当生徒数)÷(授業日数)÷(授業時間)=(ノーピンハネ時給)

4、ノーピンハネ時給を時給で割ると、ピンハネられずに社員に残る割合が出るのでそれを1から引くという余事象的な考えで、ピンハネされる割合が出る。

一見、めちゃ難に見えるかもしれませんが、単位を換算するために割り算に割り算を重ねているだけです。良かったですね。というわけで、今回は

f:id:EF_510_514:20190713015301j:image

「進学塾ひかり塾」で調査を行うことにした。理由は教員が少なくて計算が楽そうだからだ。

f:id:EF_510_514:20190713015323p:image

まず、ひかり塾の待遇は月給230,000円。「以上」と言う文字は見えているが、面倒だからという理由で見えていないことにする。まあ、昇給するということは授業外の仕事も増えてるはずなんでね。

勤務時間は16:00〜22:40の6時間40分、6時間40分!?と嬉しい悲鳴が上がったのは束の間、まさかの週6日勤務。うまい話なんてなかった。というわけで年間休日は47日に、年末年始5日、GW7日、夏季6日を足し………塾の休講日は………「※講習会期間は別途定める」ってことは多分「講習期間中は逆双葉杏状態*6になる」ってことだから、差し引きがゼロカロリーなウマーベラスになって………59日、に決定。

というわけで日給は、

(365-59)÷12=25.5(月労働日数)

230000÷25.5=12,015(日給)

となる。そして、これを勤務時間である、6時間40分、もとい20/3で割ると時給が出る。

というわけで、ひかり塾講師の時給は1802.25円とわかった。次はノーピンハネ時給を調べよう。

が、困った。生徒数が不明なのだ。これでは計算ができない………。

f:id:EF_510_514:20190713015425p:image

と、思いきや「塾講師ステーション」なるサイトに全く同じ求人が上がっていた。しかも生徒数は10人以上15人以下と狭い変域。とりあえず12人にしておくという、あのスクロースの200倍以上甘いとされる人工甘味料アスパルテーム並みに甘い推測でもそこまでブレないはずだ。

f:id:EF_510_514:20190713015932p:image

f:id:EF_510_514:20190713015939p:image

なお、個別指導コースもあるというトラブルは「写真とか規模から察するに6生徒を3先生で回してる校舎が4かな」という推測でサクッと終了。

http://www.j-hikari.com/time.html

上のURLの通り、公式サイトで時間を調べ…

f:id:EF_510_514:20190713020304p:image

なぜか公式サイトにはない塾の料金は外部サイトで調べ(月会費って何だ?)………

講習は調べたら、まあ週二回程度っぽいし、授業料も講習だから特別ボったりもしないからいいかな、となり………以下、ノーピンハネ時給計算まとめ。

ジュニアコース

生徒数は、前述のカス推測から24人。

ただ、24人は4校舎で1日に預かれる生徒数であり、トータル週4日やっていることから、96人は預かれる計算となる。そして月謝は1ヶ月6000円で、月会費は1500円なので

96×7500=720000円。

これがノーピンハネ月給だが、週1回なので日割りが

720000÷4=180000円。

だが、授業時間が16:40〜18:30の11/6時間なので、ノーピンハネ時給は

180000÷11/6=98181.818181…円

 

小5本科コース→前述のアスパルテーム推測から12人。ただし、これは一校舎あたりなので、4校舎ぶんは48人。さらに、週2回の選択肢が2パターンあるので、96人預かれる計算となる。そして月謝は12000円で月会費が1500円なので

96×13500=1296000円

これがノーピンハネ月給だが、週2日なので日割りが

1296000÷8=162000円

だが授業時間が16:40〜18:30の11/6時間なので、ノーピンハネ時給は

162000÷11/6=88363.636363…円

 

小6本科コース→小5本科コースと全く同じ計算式となって、88363.636363…円

 

中1本科コース→中学部は個別指導なしなので、生徒数はアスパルテームより12人固定。からの、4校舎累計48人。月謝は28000円、月会費が1500円なので

29500×48=1416000円

これがノーピンハネ月給だが、週3回なので、日割りが

1416000÷12=118000円

だが、授業時間が19:00〜21:50の17/6時間なので、ノーピンハネ時給は

118000÷17/6=41647.0588…円

 

中2本科コース→中1と全く同じ計算式より、41647.0588…円

 

中3本科コース→生徒数は4校舎で48人(スーパーテンポアップ)。

月謝は31000円、月会費は1500円なので

32500×48=1560000円

これがノーピンハネ月給だが、週3回+土曜日は月2回なので、日割りが

1560000÷14=111428.571…円

だが、授業時間が19:00〜21:50の17/6時間なので、ノーピンハネ時給は

111428.571…÷17/6=39327.7309…円

 

上記全てのノーピンハネ時給を合わせた、397530.939円がノーピンハネ時給の総額となる。しかし、これは一人当たりの時給ではない。ひかり塾が4校舎で授業を行った場合の、トータルのノーピンハネ時給だ。

最後にひかり塾の先生紹介を見て……「赤影参上」みたいなことやっている校長や、勝田勝なんて山本山な先生おるな…などと思いながら(URLは貼らないので各自興味ある人のみ調べましょう)、14人の講師がいることを突き止めたので………

397530.939÷14=28935.0671円

これが一人当たりのノーピンハネ時給である。そしてみなさん忘れているだろうが、ひかり塾の実際の時給は1802.25円なので、

1802.25÷28935.0671≒0.0623=6.23%

が、ピンハネられない割合であり、もちろんピンハネられる割合は

100-6.23=93.77%

となる。

 

  • 結論

設備投資やら宣伝やら仕事が週6日入って、週6日分の給料がもらえる安定感やら全部無下にして計算すると、ひかり塾に入社するくらいならよしもと芸人になった方がマシ。

ただし、さらば青春の光という元松竹芸人曰く、松竹は9.5割持って行くらしいので、ひかり塾を差し置いて松竹芸能に所属する意味は1ミリもない。

 

※この記事を読んだ塾講師が、独立したり、闇営業を行ったり、芸人に転職したりすることにより起きる全ての不利益に対して、当記事は一切責任を負いません。

 

  • 追記(2019.07.20)

計算上の給与から「吉本興業とひかり塾なら吉本興業の方がマシ」という結論を出してしまいましたが、実際は吉本興業の方がリスクマネジメントと労働管理がヘタクソな点含め、大幅にブラック企業であることが発覚いたしました。この点について、謝罪および訂正をさせていただきます。給与のピンハネ率だけを見て安易に吉本興業に入社するのは危険な行為なので絶対にやめましょう。また、芸人になる予定がある方も本当に「吉本興業」がいいかどうか、よく熟考しましょう。

 

 

 

*1:計算が面倒すぎて先延ばしまくったら、闇営業問題が全然世間を騒がせなくなってしまったことは、そこそこ反省している

*2:よしもとクリエイティブ・エージェンシーがやっている芸人養成所

*3:多くのよしもと芸人が給与の少なさや事務所のケチさをネタにしているので「ブラックさが知られていない」ということはない

*4:細かい文面はだいぶ違う気がしてならない…

*5:8(時間)だといいですね。みなし残業とかだともう少し変わります

*6:週7日働くこと