串カツの「ソース2度漬け禁止」の突破口を発見してしまった話

  • はじめに

 数ある大阪名物のB級グルメの1つ「串カツ」。串カツといえば「ソース2度漬け禁止」というローカルルールである。ローカルルールではあるが、全国区で非常にメジャーとなり、大阪あるあるとしても擦られすぎている代物である。

 「2度漬け」という行為を禁止された人類が走る行為。それは、「2度漬け禁止の突破」すなわち「2度漬け」であった。古くは、パンドラの箱や浦島太郎、現代でもダチョウ倶楽部が伝えし、この人間心理を解決する術はなく、それが前述の神話のように破局を迎えようとも、人々は「禁止」に抗いたい心理を持って生きてきたのである。

 その結果、Twitterでも解決策がツイートされ、「2度漬けの時間を極限まで短くして3度漬けする」、「25536度漬けしてカンストさせる」というツイートを見たことがある。しかし、この2つはしょせん大喜利である。今回、私は「もうそういうのいいから」と思っている読者諸君のために、本物の2度漬け禁止突破策を執筆させていただく。皆さんも、楽しみましょう!レッツ!串カツ2度漬けライフ!

 

  • 発見のきっかけ、それは偶然だった

社会人になった私は、スーパーで惣菜と酒を買う宅飲みが一番コスパがいいと頭で分かりながら、興味本位で居酒屋チェーンに一人で入って散財するという生活をしている。そんな私が、串カツ田中を一人飲みの標的とすることはごくごく自然な流れであった。

店員「何名様ですか?」オルソン「1人です。」

滑舌のやや悪い店員の接客を受ける。

店員「串カツ田中のご利用は初めてですか?」オルソン「はい」

ルール説明だ…それ以外のルールもありそうだが、2度漬けが禁止されるに違いない………。他の居酒屋とほぼ変わらない注文ルールの説明ののち、銀色の小箱が運ばれてきた。

店員「こちらがソースになります。こちら、2度漬けOKですので、何度漬けても大丈夫です。」オルソン「え!?…あの、すいません」店員「こちらがソースになります。こちら、2度漬けOKですので、何度漬けても大丈夫です。」

私は店内にも関わらず、大きな声で聞き返してしまった。店員の滑舌が悪かったから、ではない。ましてや、「ソースになります」と言って、ソースになる前のものを持ってきたからでもない。突然、串カツのソース2度漬けがOKになったことそして、「2度漬けOKなので何度漬けても大丈夫」という数学的帰納法の思考がこんなところにも息づいていたことに驚きを隠せなかったのである。

とりあえず、その日は飲み食いするだけして帰宅。風呂に入るなどしたあと、今回の、「串カツ2度漬けチャンス」到来の理由を考える。これまで「デスメタルチャンス」や「ネオ麦茶チャンス」は聞いたことがあったが、まさか「串カツ2度漬けチャンス」が来るとは思わなかった。まず考えついた仮説は「串カツ田中は、全国チェーンなので、大阪ローカルルールなんぞ捨てている」というもの。しかし、それは

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串カツ田中公式サイトの一行目が「ソースの2度漬け禁止」だったことによって無事破砕される。さすがに(もっと書くことあるだろ)と思ってしまった。

となると、もう一つ浮かんだ仮説に「ソース2度漬け禁止の理由が衛生面のエチケットだとしたら…」が正しそうだ。実際調べたところ紆余曲折(下記ツイート参照)はあったが…

 

あるサイトにたどり着いた。

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参考文献:二度づけ禁止はなぜ?「串揚げ」とは違うの?関西風串カツのあれこれ。 https://wbsk.jp/knowledge/140404.html

そのサイトによると、やはり「串カツのソース2度漬け禁止の理由は衛生面」ということで間違いないようだ。これにより「1人で串カツを食べる分には、2度漬けしようが何をしようが、俺様の自由」ということが理論上は証明されたのである。問題発生には必ず理由がある。その理由を知ることこそが問題解決へ導くことも少なくない。にも、関わらず、理由も知らず「ソース2度漬けしたらアカンで〜」などと言っているような、ボーッと生きている日本人の何と多いことか。しかしオルソンちゃんは知っています。なぜ、串カツにソース2度漬け禁止なのか?というわけで、あとこの記事に足りないものは、理論を裏付けるために、再現性を保証する実験だけなのである。

 

  • 実際に2度漬けしまくってみた

というわけで、串カツ田中に再訪した。

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串カツ全品が、音ゲー1クレジットで売られているキャンペーン実施中!これは助かる。5本食べても、UFOキャッチャー6クレジット分ですからね。

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ちなみに、平日18時までの訪問で、ジムビームハイボールとレモンサワーが1杯あたり、ちょっと高めの駄菓子と同じ値段になるキャンペーンもやっていた。しかし、こちらは職場のシフトの都合で諦めた。

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こちらが串カツ田中のソースである。何てことない銀箱のはずだが、「2度漬けできる串カツソースが入っている」と思うと、心なしか輝いて見えますね。私ひとりに与えられたソースなので、2度漬けしようが114514度漬けしようが自由だし、口をつけて飲んでもいい。極論を言えば床や壁さえ汚さなければ頭から被ってもいいし、他のお客様や店員さんに見られて不快な思いをさせなければ俺の串カツを漬けてもいいのである。ただ、まずないと思いますけど、もしこの串カツソースが別の客からの使い回しだったら頭が真っ白になりますけどね。

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今回のお酒は、串カツ田中名物チンチロリンハイボール。注文するとお椀と2つのサイコロがやってきて、それを投げて出た目の和が偶数なら半額、奇数なら量2倍値段2倍になるという受ける決定権は顧客に与えたアルハラメニューである。ちなみに、私は2回中2回メガだったので、もう998杯頼んで、メガになる確率が本当に1/2に収束するかそのうち調べておこうと思う。

また、串カツ田中はドリンク注文→メニューを見ながらドリンクをお待ちください→食べ物注文、という流れなうえに、串カツは揚げたてを出すというこだわりから酒を頼んだら串カツ以外のつまみを一品頼まないと、ジョッキが結露を垂らし、氷が酒を薄めゆく最悪の時間が生まれるので注意が必要だ。私が、今回頼んだのは

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ポテトサラダ。芋のままやってくるというのは奇しくも全力!脱力タイムズのダイアン津田回の時の虹の黄昏とボケが被っているように見えるが、これをすりごきでぶっ潰してお好みの硬さにするのだという。カリカリのベーコンチップが入っているのも嬉しい。

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そんなわけで蒸されたジャガイモと味玉を潰しに潰したが、レタスはあまった。レタスをすり潰してポテサラに入れるはずはないし、そもそも繊維質ですり潰せない。そんなレタスをどうするか?

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さっきもらった串カツ用ソースにドーン!!!もともとシンナリしていた、それでいて繊維の食感もやや残ったレタスが、ソースと絡んでめっちゃ美味しい。酒も進む。ひとり串カツ田中では串カツ用ソースに真っ先に漬けるものが串カツでなくても大丈夫なのだ!ちなみにこのレタスも2度漬けOKのはずです。

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そうこうしている間に串カツが登場。この写真にない串カツも登場しますが、まあとにかく…本番はこれからなのです…。

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まずはオーソドックスは串カツ豚。このサイズとはいえ、120円でトンカツを食べれるのは嬉しいところ。

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早速ソースに漬けて、いただきます!うん、美味い!

 

 

あ〜、でもな〜、ちょっとソースが薄かったかな〜。意外とソースがシャバシャバだったしな〜。何よりハイボールがメガだからな〜。もっとガツンと濃くしたらもっとハイボール進んだもんな〜。でも串カツってソース2度漬けが

 

 

 

 

 

 

 

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OKなんです!!!!!今の俺は独り!!!!俺の周りには「串カツって2度漬け禁止やで?そんなんも知らんの?」とマウント取ってくる大阪人も、「齧った断面ソースに漬けてんじゃねえよ!!!」とごもっともな怒りをぶつける潔癖度合いが平均的な日本人もいないから!!!!俺の2度漬けを止められる者などこの世界にいないんだよ!!!!ハッハッハ。ハーッハッハッハッハッハ!!!!

 

 

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こちらはうずら。3つくっついていておトクですね。こちらも…

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漬けーの

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1個食べーの

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漬けーの

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また一個食べーの、また一個漬けーの。

ということで3個あったので3度漬けました。しっかり味付けした方が美味しいですからね!

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突然ですがここでクーイズ!上の写真は何の串カツの断面でしょうか?答えはこの断面にまたソースを漬けて食べたあと!

 

 

 

……………(2度漬けしたところの写真を撮り忘れてオンオン泣いてる)

 

 

 

正解は、シイタケでした〜!サックリ衣にクニュっとした食感が最高!軸をとって傘を丸々という選択!わかってらっしゃる!何を?

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なお、先ほどの串カツ7本の写真、右端はニンニクなのですが、そいつはソースに0度漬けしたのち、ポテトサラダに入れてすりつぶしました。ポテトサラダがガーリック風味になるのはもちろん、パン粉衣のサクサク感により、一層酒が進むスーパーおつまみになるのです!!!

私には小学生の頃、給食で「生揚げのカレー煮」という生揚げという高タンパクな食品をどうやって小坊に食わせるかしか考えていない献立がありまして、それをご飯にぶっかけてカレーライスにしていたらドン引きされたという理不尽な過去があるのですが、1人居酒屋ではこういうことをしようとも引かれないのです。そして普通に旨い。

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生揚げ、といえば、串カツ田中の厚揚げ、めちゃ旨なのでオススメです。

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この厚揚げ、実は切り口が揚がっています。食べてみるとサクサクの衣の中からプルトロな豆腐が出てきて最高!アツアツなプルトロ豆腐を冷えた酒で流し込むと旨いんだこれが!さらに、醤油をかけてしばらく経つと衣が柔らかくなってしまうが、それはそれでオツなものだったりするから本当に死角がない。

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串カツに戻ろう。お次はカキ。もちろん、遥か昔から生育しているために「浅い海」であることを示す示相化石となる二枚貝の方であり、双子葉類としては珍しく子葉ではなく胚乳に発芽のための栄養分を蓄えている植物の方ではない。

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カキの串カツはカキフライと全く同じ味がするため、タルタルソースが付いてくる。そういえば、この時初めて気づいたのだが、キューピータルタルソースの小袋にエビが書かれている理由って「オススメ食材」だからだったんですね。一人でキューピータルタルソースと向き合うこともまた、新たな発見につながるのだ。

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そんな有頭エビに漬けるのがオススメのタルタルソースをカキにブニュニュニュニュ!!!!そして、それを

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ソースにドーン!!!!これ、タルタルソースがカキにくっついているので、ソースにタルタルが混ざることはないはずですよね。今回の飲み会で話し合ったところ、0:1でタルタルがソースに落ちるはずがないという結論に達したので、民主主義の原理より、タルタルがソースに落ちることはありません。もし、ソースに落ちているのであればレタスの段階で止めて欲しかったですが、止める人がいなかったんですよね。

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続いてはアスパラと紅ショウガという大物である。大きいことはいいことだ。それはそうなのだが、

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大きすぎると、ちっちゃいソースの箱に入りきりませんから〜!!!残念!!!!!どうやって2度漬けせず食べるんですか〜????大阪人さ〜〜〜〜ん????教えてくださ〜〜〜〜い。こんな長いアスパラを小さな箱に詰める技術があるんですか〜〜〜〜????

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というわけで、齧っちゃ2度漬けといういつものお馴染みパターンで無事解決です。

串カツを齧って2度漬けするのが「いつものお馴染み」になり出してしまってはとてもヤバいのでそろそろ〆ようと思います。

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串カツ田中は串カツ以外の大阪名物も充実しており、かすうどんも本場大阪にはさすがに劣るものの、モチモチの麺と串カツの油をすっかり洗い流すような薄味だが断じて水ではないつゆが〆に最高(前回訪問時の〆です)なのだが…………

 

 

 

 

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今回は卵かけご飯を選択。卵のみならず刻み海苔ものっかり、このまま醤油垂らしてかっこんだら旨いのは間違いないが……

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アスパラ串カツを頼むとついてくるマヨネーズをブニュッとかけ…

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どうせ俺以外の誰に使われるでもない串カツ用ソースをたっぷりとぶっかけてよくかき混ぜる。このソースは私が齧った串カツの切り口をたくさん入れられたため、私の半分といっても過言ではありません。これもまた結びなのです。

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事前に頼んでおいた串カツたち(豚、ネギ、チーズなど)を

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串から外して箸でつまんでソースに何度も何度もくぐらせ、

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さきほどのソース卵かけご飯にドーン!名付けて、どちゃくそまかないカツ丼の完成である。徹頭徹尾コッテリ感に襲われた感覚にはなるが、ドチャクソ旨いのは間違いない。

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さて、ドチャクソまかないカツ丼に載せていない串カツがあったことに気づいただろうか?この串カツ、何とクッキー&クリームの串カツである。あの甘いチョコレートクッキーが熱された油によって程よくフニュフニュになりながらも、串カツの衣を纏って生まれ変わったもの、それがクッキー&クリームの串カツである!こちらも〆というかデザートにオススメです。モッタリした食感+所詮串カツ+チョコレートクッキー&クリームという中身本来の甘さゆえ、重たいのは否めないが。

なお、クッキー&クリームの串カツの2度漬けという誰かと一緒に食べていたら、1粒で2度引かれる愚行も1人串カツ田中では全然OKです。なんなら5兆回漬けてもいい。もちろん、その時の写真がない理由は、私は一回も漬けなかったからですが。

 

なお、この串カツ2度漬けライフ、ひとつだけ欠点があります。

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「お通し」という名でやってくる、どうしても2度漬けしたいときにソースを掬うキャベツがマジでいらねえことです。用途を失った以上ウサギのエサのようでしかなく、こんなにも「お通しカットしてえ…」と思った日はありませんでしたね。

 

 

 

  • あとがき

2度漬けできても1人串カツ田中じゃテンション上がりきらない。

 

(おしまい)