R-1ぐらんぷり2019感想文

どうも、こんばんは、オルソンです。

 

 

最近全く更新していないorしてるとしても遅筆丸出しな今日この頃ですが、人気記事ランキングには「R-1ぐらんぷり2018感想文」が勝手にせり上がってきております。というわけで今年も書くよね、感想文。というわけで、R-1ぐらんぷり2019のネタバレ要素がっつりあるので注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、全体的な話からすると、レベルは去年よりやや下がるかな、面白かったけど。

 

ただ、以前何気なくツイートした問題点が大方潰されていたのは良かった。特に終わってるキャッチコピーが殲滅されたのは大きい。終わってるキャッチコピーと終わってないキャッチコピーの芸人がいて、優勝してるの基本終わってない方だった気がするし、終わった終わってない以外の方向でも、アキラ100%はキャッチコピーが「見えちゃったらごめんなさい」だった時点でちょっと優勝にリードしてた不平等感はあったけど、そういうのが一切合切殲滅されたのは良かったんじゃないですか。あと放送日が日曜日になってねえ、良かったねえ。

…といった問題点の削ぎ落としをしっかり済ましたうえで観客が最悪というのは何か良くできた漫談なの?すべらない話認定なの?金のスタンプ豚飛んでくるの?って話ですよ。何だろうね、あの観客は。今さら観客が悲鳴上げる話ってのもしたくはない(水ダウもガッツリ擦った後なので)けど、なんというか悲鳴とも少し違うんだよなあ。「へ〜」とか「オ〜」とかが多い感じ。

 

以前から、ネタ特番の観客が爆笑問題の漫才で田中がニュースをフリで言うのに対して「へ〜」っていう観客を見ると「何で知らんねん!」って思ってたけどそれをまさかボールペンの仕組みでやられるとは思いませんわ!そういう意味ではちょっと面白かったかもな!そっち楽しんだら良かったんか!芸人より観客のが面白かったって言えば良かったんか!言うわけあるか!河邑ミクの紹介VTRにも「へ〜」ってなってるのは不意打ちすぎて声出して笑っちゃったけど!来年はもう少しいい客集めてください、というか関西テレビ制作なんだから座王と同じ客の集め方してくださいよ、頼みますよ!本当に!あと、個人的な頼みですが、来年もR-1近づいたら2018年準決勝でカーテンの揺らし方だけで爆笑をかっさらうマツモトクラブ を再配信してください、面白かったので。

まあ、観客の話はここまでにして、ここからはちゃんとネタの感想書こうと思う。ちなみに、こがけんのマイクは本当に100万円するらしいです。

 

 

 

  • チョコレートプラネット松尾

「IKKOさん」屏風から虎を出して欲しい、というトンチを解きにやってきたのは………「一休さんかと思ったらIKKOさん」という言葉遊びから始まるガッツリキャラコント。モノマネの力や面白さは折り込み付きかつネタバレ済みだが「(和紙の屏風触って)和紙みたいにガサガサ」、「本当に本当で本当に本当なの」などの中身のなさはチョコプラの芸風を感じさせる。

ただ、IKKOモノマネ自体は散々見ただけあってさすがに少しダレた感じはあるかな。最後の椅子の件は動き的にはカバーできるんだろうけど、元ネタの認知度はそんなには高くないよなあ……。

 

「何が通った?」隙間が通ったものを当てるクイズを通して、動体視力を測る。という名目で、訳のわからないものを隙間に通し続けるというネタ。この「訳の分からないもの」が本当に素晴らしい。焼きそばかと思ったら輪ゴムの山盛り、は最初らしくまだ分かるとして、「バームクーヘンを剥がす機械」、「暖簾を2回くぐるたびに腹を一発パンチされる機械」などは本当に意味がわからない。意味のわからないものの羅列にならないようにしれっと見た目を麺類に統一したり、実印入れを被せてきたりと小技が光るのも凄い。

 

「歌が上手くなるマイク」。歌が上手くなるマイクを通販で買った男が早速試してみると…。個人的には審査員の票ほどは評価していないネタ。コントにはしてあるが、核となるボケは「さまざまな曲の80年代アメリカロック風アレンジ」なので、どうしてもエハラマサヒロの既視感が…。音楽的にアレンジの仕方が異なるのは分かるが、それでもね…。最後のニュースゼロの曲は良かったけど。

 

「父親になって思うこと」。赤ちゃんを寝かしつけた大須賀が、赤ちゃんを起こさないように小声で漫談する。「赤ちゃん」という要素はほぼ関係なく、漫談のテーマも一貫性がない。ゆりやんレトリィバァがちょくちょくR-1にかけていたコント風一言ネタに近いのだろう。ただ、そのクオリティは異常に高い。「水道の修理屋さんはマグネットで宣伝したがる」、「下敷きは仕組みの割に高い」、など、聞いたことない切り口から攻めてくる。さらに、下敷きって高いですよね→髪立てるくらい。それかボヨンボヨンするくらい、や、メロンパン専門店ってすごい覚悟だな→特に一号店出した人→どのタイミングで行けるって思ったんでしょうね?、など、オチたネタにもう一個足すのも巧い。いや〜、いい一言ネタだった。

 

  • おいでやす小田

「勝ち組」。富と名誉を手に入れたいわば勝ち組になった彼の心境とは…これまで彼がR-1で見せてきた「面接」「レストラン」のネタに比べると仕掛けはあまりない。「金持ちになっても貧乏症の男」という着眼点もそこまで新しくはない。それを彼のキャラクターと大声で引っ張っていく手腕は素晴らしい。また、「面接」「レストラン」という話し相手がいるネタから「ホテル」では話し相手を電話にし、最終的に「独り言」にしたのは進化と言える。ネタの中身で言えば、フードコートの畳み掛けがいい。ありがちな着眼点から、しっかりとセンスを魅せるところが実にいい。「飲み物はあのちっさすぎる紙コップの水でいい〜!」。「幸せって何なんよ…」から綺麗につながるオチのティッシュが好き。

 

「夢」。「夢って変ですよね…」から始まるフリップ。彼以前には意外といなかった「ショートコントならぬショートフリップ」。彼はこのネタでR-1の準決勝を落ち続けたらしいが、「夢の中で見た変なもの」という縦軸と、M-1優勝という箔を付けて見事決勝進出を果たした。

ネタは去年同様、シュールでもないのに新しさを感じさせる彼らしいネタばかり。「後半どうせ✖︎やろなっておもんない時間あるやろ!」「人として間違っている!」「それ平成でやらんねん!西暦でやんねん!」辺りが特に好き。

 

「共学」。ゴリゴリの男子校がよりによってゴリゴリの女子校と合併するらしい。早速「女子高生ってどんな人か?」という先生の話が始まり…。これまでのルシファーのネタに比べるとパワーダウンを感じずにはいられない。あのクオリティのピンネタが当たり前のようにポンポンできるはずがないよな、とは思う。その一方で「女子高生が言うおはようは…俺たちで言うところの……おはようって意味だ!」なんかはセリフの内容も間も最高で彼の良さが前面に出ている。…でも、やっぱりキャンタマンクラッカーや生姜と比較してしまうと、ね……。

 

  • マツモトクラブ 

「真実がわかる犬」。犬を連れた友人に会った男。彼は犬が吠えるタイミングに規則性を見出し…。

「飼い犬」に「ウソ発見器」のようなシステムを付与した設定が見事。そのうえで、「ウソつきそうな時の『ガルルルル…』」、「ウソどころか、未来の真実まで見抜く」、「町中の犬が吠え始めた…」などシステムを転がし、単なるウソ発見器ではなく、犬ならではの形でシステムを掘り下げていくのも良い。それでいて「ガードマンだって立派な仕事だ」みたいなセリフを入れても嫌味にならないっていうのは、ちょっともうどうかしてるくらい最高なんだよな。本当に、R-1ぐらんぷりくらいしかネタを見る機会がないのが残念というか、TV局が彼を使わなさすぎるぞ。R-1出なくてもいいくらいにネタでバカ売れして…もとい、TV局がそういう方向に動いて欲しい。

 

「カツラ芸」。カツラを使った芸をいくつか。フリップに表題を書くシステムや、「ヒヤヒヤしないでください。ハゲは見えても大丈夫なものです。」というセリフから、アキラ100%をかなり意識したネタ。ネタパレやにちようチャップリンのような緩い空気のネタ番組ならともかく、賞レースでこれは少し身内感強すぎる気がしないでもない。

ただ、本人の渋さと曲が無駄にマッチしていたり、カツラの脱ぎ方など本筋以外でも魅せたり、カツラのアタッチメントを使ったネタがあったり、最後の「ズラかります」であったり、小ネタは充実している。観客の空気も味方につけた部分も大きいだろうが、観客を引きつける小ネタが良かった。

 

「大阪に転校」。大阪に転校することになった女子高生。大阪に転校するために様々な準備をしているようで…。大阪に対する偏見ということで、おいでやす小田やルシファー吉岡のネタ同様、設定の発想自体は新しくはない。近年だと石出奈々子も似たようなネタをR-1決勝でやってたし。ただ、設定はベタなのに、「ノリツッコミ…っていうんだって」「大阪ってひったくり件数1位だよ…このご時世もっとコスパのいい犯罪あるのに!」「たこ焼きで根性焼き」など、中盤以降から個性が顔を出す点もおいでやす小田やルシファー吉岡のネタに近い。急に関西人に切り替わる演技力も含めていいネタだったな。

 

広島弁漢字ドリル」。例文を全部広島弁にした漢字ドリルを作ってきた。彼の2013年優勝作品同様、広島弁をフリップで見せる一言ネタ。………自分は、2013年の時からこのネタ好きじゃないんよなあ……。何というか、スタイルがフリーすぎるというか、あと文が少し長くてスッと入ってこないというか…。うーん…。

 

「鶏肉」。風船をたくさん持っているおじさん。彼の正体は風船を配る男ではなく、風船で鶏肉を飛ばす男で…。元々巨匠というコンビのボケ担当だった岡野。ブラックで気の違っているネタが多かった巨匠がピンでも変わらず気の違ったことをやっている、という事実が素晴らしい。変なおじさんが子供と対話していると言うのは巨匠がキングオブコント決勝に初進出した時の「パチンコ玉を新聞紙に包んでおじさんを作るおじさん」などのネタを彷彿とさせる。

このネタは「人間が肉にしてしまった鶏を飛ばしてあげる」と、妙に理にかなってしまっているあたりが本当に素晴らしい。設定のみならず「(風船を配るおじさんは)もっと健康な服着てるだろ」「鶏側につくよ」「命って重いよな」「何がないの〜?って聞いてみ?遜色だよ〜!って返ってくるから」など、セリフも完璧!「あの時と遜色ないよ〜!」のあの時っていつなんだよ、ニワトリだぞ!

個人的には粗品と同率一位くらいで笑ったネタだった。それなのに、投票で友近が一票だけ入れたのには何か笑っちゃったな。

 

 

ここから最終決戦

「猛獣に囲まれて思うこと」。…「思うこと」を小声で漫談にしていくスタイルは1本目と全く同じ。この、「2本目で設定をガラッと変えたと見せかけて、実は同じシステム」というのはR-1でゆりやんがやっているはず。しかし、何頭もの虎や、ジャングルのセットや、草に扮した大須賀が出す「絵力」が、本ネタの漫談のバカバカしさを増強している。多くの賞レース最終決戦進出者が悩んできた「2本目が1本目と同じシステムだと飽きられる」、というのを克服できていたんじゃないかな…。

 

「夢」。ここも、「夢って変ですよね」から始まるフリップの乱打。元々、小細工がある芸風でもないが、2本目でもそこまで変えていない…かと、思えば「バンクシー」を入れてきて、2度目のバンクシーは「キショいフリップの裏」という技まで見せてくるからたまらない。本ネタ自体は見たことあるものも少なくなかったけど、キレは健在だった。

 

「カツラ芸」。1本目と特に変わらないので、感想もあまり変わらない。ただ、ネタの内容は1本目より多少良くなっていた気がする。…気がするだけかな?

でも、ヘアーワックスの件とか、顔モノマネ前に川崎麻世を入れてくるあたり、単純に手数もパワーも大きくなっていたはず。

どうでもいいけど、カツラのテーブルクロス引きの準備シーンが死んだ人みたいに見えるのは自分だけでしょうか?

 

 

 

  • 総評

去年はR-1としては異例の大当たりだったので、それには劣るものの今回も良かったのでは。個人的にはあまり笑えないのもちょこちょこいたけど、セルスパ大須賀のピンネタをみれたり、おいでやす小田のコントを一年ぶりに見れたり、そのおいでやす小田が粗品に無駄に面白い負け方したりと、「今年も見て良かった」と相応に思わせてくれる回だったのは間違いない。

その、おいでやす小田とセルスパ大須賀が負けた同点時のルール。あれは、まあ決選投票が最良ということを除けば、そんなに悪いルールでもないと思うんだけど、桂三枝との相性が悪い。というか、点数出す順番、桂三枝が最後にできないのかな、とも思う。何なんだ、あの思い切りの良すぎる入れ方は。別にいいけど。

とにかく、来年はまともな観客集めてほしい!何だかんだ言って来年も見るんだろうな、俺は!

(おしまい)