人間とは何か?ロボットとは何か?〜お笑いを通して考える〜

ロボット工学三原則

第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

— 2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版

 

 

 

どうも、こんばんは、これからロボットの話をするのでロボット工学三原則をド頭に挿し込んだら頭良く見えるかと思ってやってみた、オルソンです。

今回テーマとなるロボットはこちら

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そう、pepper君である。pepper君は、あなたの街のsoftbankショップにも必ずいる、ヒューマノイドロボットであり、最近は8割の企業でいらないというニュースも出てきてしまっているヒューマノイドロボットである。しかし、pepper関連では最近こんなニュースもあった。

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そう、R-1ぐらんぷり2018決勝進出者であるカニササレアヤコがpepperを相方にしてM-1グランプリ2018に出場したのである。戦績自体は一回戦敗退(どうやら、本番でpepperの挙動が上手く行かなかったらしい)だが、これは非常に重大なことである。よくピン芸人が別のピン芸人と即席でコンビを組んでM-1に出ることはあるが、ロボットと組んでM-1グランプリ出場というのが非常に21世紀らしい。20世紀にはロボットもM-1グランプリもなかったからだ。ただ、それ以上に重要なのはpepperが人間として認められたということである。というのも…

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M-1グランプリの出場資格にはきちんと「1名での出場は不可」と書かれているからだ。漫才の大会であるM-1グランプリでは小道具とは縁がないように思えるが、実はリップクリームくらいだったら出場できる。しかし、pepperはリップクリームのような「モノ」ではなく「ヒト」として出場を果たしたことになる。そうでなければ、前述のアイアンアームズが、「カニササレアヤコとpepperのコンビ」ではなく「カニササレアヤコが小道具持ってきてネタをしている」ということになり、そうなるとM-1グランプリには出場できないからだ。

と、ここまで書いておいてなんだが、よく調べてみるとM-1グランプリの舞台にpepperが立ったのはアイアンアームズが初めてではないらしい。

【密着レポート】ロボット漫才のペッパーズ、今年はなんと2台のペッパーで漫才!?|ロボスタ https://robotstart.info/2017/10/06/doublepepper-m1.html

3年前のM-1グランプリですでにpepperをM-1の舞台に立たせた男はすでにいた。しかも「本人がpepperを相方にして漫才」というアイアンアームズパターンでは飽き足らず、「pepperとpepperで漫才」という0人での出場までさせていた。まあ、0人での出場はM-1グランプリ出場規約で禁止されていな…あ、2名以上ってキッチリ書いてあったわ。ということで高度に発達したヒューマノイドロボットは人間と見分けがつかず、M-1グランプリの主催である吉本興業や制作局の朝日放送はpepperを人間として認めている、という結論が出る。

 

さて、pepperのお笑い賞レース出場はM-1グランプリにとどまらない。実はR-1ぐらんぷりにも出場している。そして吉本興業公式チャンネルにその動画もある。

https://m.youtube.com/watch?v=tmTZufx4MEk

ネタのクオリティ以前に、「pepperの胸元の画面でフリップ芸というのはpepperの個性を生かしているが、pepperの胸元の画面は斜めなので観客からの視認性が悪い」という問題点を抱え一回戦落ちしているわけだが、R-1ぐらんぷりM-1グランプリと対照的にピン芸人の大会である。ということはpepperはR-1ぐらんぷりの制作に関わっている関西テレビから見ても人間なのだろう。もしそうであるならば、「人間とpepperの会話劇」は一人コントにはならないのだろう。ところが、そうなると、疑問が湧いてくる。

R-1ぐらんぷりに限らず、一人コントには「エアーで会話の相手がいるテイ」というのは定石である。今年でいえば、ルシファー吉岡の生姜のネタや紺野ぶるまのプロポーズのネタがそうだ。これ自体は114514年前からある手法であり、エアーである以上「こんなのピン芸じゃない」って言われることはなかった。しかし、そんな一人コントに革命を起こしてしまった男が数年前からR-1ぐらんぷりの決勝に幾度となく来ている。

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そう、マツモトクラブだ。彼のコントの特徴は録音した音声との会話劇。つまり、エアーでの話し相手は相手の台詞を想像させる台詞回しが必要になるがそれを「録音した音声を相方にする」という手法で乗り切っているのだ。こうなってくるとpepperにボケをプログラミングさせるネタとボケの音声を録音して流しているコントの違いはいよいよ説明しにくくなるのではないだろうか?どちらも見ようによっては2人との会話であるし、見ようによっては1人が考えて吹き込んだものと本人のネタなので1人コントと言えるのだから…。pepperは人間を模している、ということであれば録音音声も人間を模している(どころか声はマツモトクラブの生声)し、pepperは機械だ、ということであれば音声を録音再生するのも機械なのだから…。もう分かりません。ヒューマノイドロボットって何ですか?人間って何ですか?人間味って何ですか?人間性って何ですか?ロボットって何ですか?tan1°は有理数か?初めからそう諦めてしまったら僕らは何のために生まれたのか?Yesでいいのか?趣味は?人間関係は?イケメンだけど彼氏はいるの?

 

 

と、ここまで書いたところでR-1ぐらんぷりってその昔、なかやまきんに君とキャプテンボンバーを別人としてエントリーすることを認めたことのある大会だったことを思い出したのでもう寝ます、おやすみ。

(おしまい)