濱田佑太郎のR-1優勝特番が優勝なのでここに保存しとく話

どうも、こんばんは、オルソンです。

 

今回は、R-1ぐらんぷりの優勝特典として数年前から加わった「優勝者自身の冠特番」。正直期待していなさすぎて見ることすらなかったのだが、2018年の王者は濱田佑太郎。盲目のピン芸人、という意味でも注目されている一方で、それだけではなく、シンプルに笑いの地力が高い芸人でもある。そんな濱田佑太郎の単発特番となると、さらにその内容が「濱田佑太郎がこれまで、したことないこと、として紺野ぶるまとコラボコントや、車の運転、さらに太田光との対談も行う。そしてその内容からまた一つの漫談を作る」とあれば期待せざるをえないし、録画せざるを得ない。そして、見たら実際、期待通り、ちゃんと面白かったのでここに記録する。なお、FODでの配信は行なっていないっぽい。しろよ。5年くらい無料配信し続けろよ。

ちなみに、ナレーションは濱田佑太郎が「声が好きな声優」とインタビューで公言しまくっていた内田真礼が担当。多分、濱田佑太郎のガラケーは「うちだまれい」って読んでると思います(僕よりおつむがいいとは考えにくいので)。そんなわけで、例えば冒頭の「濱田くん、ありがとう!ナレーションは私、内田真礼が担当致します!」の「あ」と「ナ」、デートパートの服屋での「最先端のファッション」の「ファッ」と「ギンガムチェック」の「ク」、そして美容室からBARに行ったパートでの「LAスタイル」の「ル」を切り貼りして内田真礼にそういうことを言わせるとか、そういう楽しみ方もできます。僕より暇な人はやってみてください。そして、moraやレコチョクあたりで有料配信してみてください。そして、音声の権利じゃない方の罪で法廷にひょっこりはんしてみてください。

 

 

自己責任論の立場に立って、犯罪教唆をしたところで、本題の感想(及び記録)に入っていくぞ!何てったって、俺の将来の夢はライ◯ドアニュースでTVの内容を切り取ったニュースを書いて、その原稿料でフォロワーに叙々苑を奢ることだからな!

 

  • オープニング

R-1の時の出囃子がそのままオープニングという粋(?)な演出からスタート。センターマイクに立った濱田佑太郎が前述の企画趣旨を説明「何回BPOに審議入りするかというのが…」。その後、いつの間にか笑いのニューウェーブからソツのない司会に転身を遂げた陣内智則と、濱田佑太郎の同期に当たるゆりやんレトリィバァがMCとして登場。陣内が「セット見えてないやろ?何っっっっにもないで!」それに対して濱田が「視覚障害者ならこれでええやろって思ったんですかね」、「今ので1回目のBPOや!」。

 

VTR企画は「屋外デート」、「紺野ぶるまとコント」、「車の運転」、「太田光と対談」、そしてそれらを纏めた対談の計5本だが、それとは別に陣内、ゆりやんと3人で話すパートがあった。VTRの前フリも兼ねてはいるが、それだけではない。

陣内「ゆりやん、何か質問ある?」

ゆりやん「好きな色は?」

陣内「見えてないわ!いや、見えてないわ、ってのもアレやけど!ゆりやんのボケで俺が損するから!」

濱田「それ結構言われるんですよね、ツッコむたびに、自分がどんどん悪者になっていくっていう…」

一方で、濱田佑太郎も仕掛ける。「映画とか見るの?」から「好きな映画は?」という質問を経て

濱田「実写の映画だと映像描写とか分かりにくいんで、アニメ映画の方が好きですね…。ジブリ映画とか…わかりやすいんで…。一番好きなのは…『耳をすませば』。初心に返れるというか…。」

結構ガンガンボケてガンガンツッコミ入れていく感じがどこか陣内智則と相性がいい。それは他番組でも感じることだ。他にも「夢見たことある?」などをテーマに語った。濱田佑太郎もジャーキングするらしい。そりゃするか。目関係ねえし。

ゆりやんもR-1の打ち上げで「ホンマは目、見えてるやろ!」とイジっていたとか聞いてはいたので…。仲がいいというか、ピン芸人である濱田にとって一番イジリやすい人、と言う意味で最も相方に近い存在なんじゃなかろうか。運転ロケでも思ったし、何ならデートパートのOPでもいないのにイジってたし。

 

  • デート

普段は家デートが多いという濱田佑太郎が代官山で、かねがね好きだと公言していた鈴木奈々小倉優子とのWデート。

濱田佑太郎が一番好きな声優だという内田真礼のナレーションで「憧れの女性と公言していた鈴木奈々さんと小倉優子さん!」と言っていたのが何か複雑だったり、最初に行った服屋が小倉優子の前の旦那が好きだった店で、しかもその店の名前が「LOVELESS」だったりという部分もあったが、濱田自身も小倉優子の「誰だかわかる?」という問いに「オール巨人師匠ですよね?」と答えたり、服屋のコーデ対決で決着がついた後「僕もこっちの方がいいと思ってました」と言ったり、かなりボケる。そうそう、コーデ対決といえば

鈴木奈々「私とゆうこりんさんの2人で全身コーデ対決をします!…私とゆうこりんさんの2人で全身コーデ対決をします!」

濱田佑太郎「今2回言いましたよね?」

鈴木奈々「同じこと2回言う癖なんです」

この、濱田佑太郎のツッコミがなかったら、とうとうDVDが壊れたか?としか思わなかった件がちゃんと伏線になっている、ここがすごい。濱田佑太郎がまずすごいが、番組もその辺わかってる人が作ってる。本気が伝わる。

個人的に気になるのはこの後の路地の件。濱田佑太郎が平場でもボケツッコミ切り返しが強いのはその通りなのだが、盲目ありきのパターンがほとんどである。そんな中、「見えないけどランジェリーショップの横を通った」というシーン、のすぐ後に「パン屋がありますよ」と言われた時の濱田佑太郎、これがね…。面白かった!

濱田佑太郎「さっきのランジェリーショップからそんなに歩いてないですよね!?ランジェリーショップのすぐ横にパン屋ですか?………すごいな、性欲と食欲がヤバイぞ、両方満たしてくれる路地」

なかなか濃いツッコミだし、何より視力関係ないのだ。ちなみに性欲と食欲を両方満たしてくれる路地は「代官山 fusubon」でGoogle Map検索すると出るので行きたい人は行ってみましょう。

この後は、女子の長〜い買い物を内田真礼のナレベでバッサリ行かれ、「濱田佑太郎は4ヶ月に1度しか髪を切らない」という衝撃的な事実をさらっとナレーションで処理した後、鈴木奈々行きつけの美容師によってLAスタイルに刈り上げられ、それを2人がBarで迎え入れておしまい!ずっとコンスタントに面白い、濱田佑太郎のロケ適正平場適正がよく見える映像だった!要は面白かった!

 

R-1ぐらんぷりの結果発表の時の立ち回りが話題になったりならなかったりした紺野ぶるまとコラボコントのコーナー。コント自体はやったことあるはず*1だが他芸人とのユニットコントとなるとやったことないらしい。

感想を言うと、正直唯一ダレたパート。濱田佑太郎の要望が「R-1での紺野ぶるまのコントに入りたい」「紺野ぶるまにフラれたい」だったので、コントが必然的にR-1でやった奴の焼き直しに過ぎなかったのが正直残念。だからこそ、付け足されたオチで声だして笑ってしまったのだけど、これだったらなぜか新幹線の車内販売みたいな机でネタ合わせしてた件とかネタ後とかの平場パートがもっと長くてよかった。「映り方だけ気になる」「そういう店だと勘違いしてない?」「にゃんこスターに続く…ぼっきスター」

 

  • 車の運転

今回最も気になっていたパート、いや、実際は太田光と対談の方が気になっていました、嘘をつきました。

トークパートから

陣内「車種は何を運転してみたい、とかあるの?」

濱田「見えないので何でも…高級車でフェラーリとかランボルギーニとかは聞きますけど」

陣内「そうか〜…見えへんもんな、フェラーリって言うとくわ!真っ赤なフェラーリ!世界に4台しかないっていう…」

と、軽妙にボケながらVTRがスタート。また、企画趣旨ナレーションで濱田本人がR-1で披露したネタの「『濱田ってさあ、車運転したことある?』あるわけないやん!あったら大問題や!」の部分とつなげて「そんな大問題なロケを行なってくれたのが…」と繋げる構成にスタッフの本気が感じられる(2回目)。

肝心のロケは「加古川だったかの教習所内で運転」という形に収めることで免許を持たずに合法的に自動車を運転することを実現。濱田「スタジオではフェラーリと聞いていたんですけど」教官「フェラーリですよ」濱田「嘘つけぇ!」何気に教官のノリがいい。関西人への偏見が補強されていく。しかし、スコーンと状況を忘れてしまったのか、教官「遠くを見てください」濱田「今までの生徒と一緒にしないでください」。教官でいうとバックの件も傑作でしたね。

ハンドルの握り方を「10時10分」と言われ、適切な位置に握れる濱田佑太郎。トークパートでも「夢で時計のイメージを見たことある」って言ってたし、R-1でもしっかり眼鏡の形を把握していたが、たまに「わかるんかい」ってなることありますね、と思った直後、教官「バックミラーの調節をします」濱田「必要あります!?」。

最後は教習所特有の「ポールが良き位置に来たらハンドルを切るだけの単純作業」でお馴染み車庫入れ。あの教習いる?いや、あらゆる駐車場や路上にポールがあるならわかるよ?でもそんなポールねえじゃん。車庫の形も千差万別じゃん。それに全然対応できてねえじゃん。あれいる?でお馴染み、車庫入れである。この車庫入れも教官が凄いのか、一発で意外に綺麗に入る。教官も「素質があるのでは」と言い出す始末。意外な素質が発見された興味深いし、面白い映像だった。

 

対談前に陣内智則が話していた、ENGEIグランドスラム舞台裏のエピソードがすごい。

陣内「メイク室にいたら、太田さん入って来て『お前か?目の見えない芸人は?』って。そんで『(指で何か作って)これわかるか?』って(中略)それを濱田くんいないところでやってたから…」

うーんこの、不謹慎。そら濱田佑太郎も「大好きです」っていうわ。このエピソードに対して濱田が「逆に『お前か?藤原紀香と離婚したの?』って聞いてくるかもしれないですね」って返したのも最高。

対談本編、太田光が多忙だからか、太田光がラジオ収録した後のTBSラジオのラジオブースで対談。この場所設定も「いや、フジテレビ系の番組なのにTBSラジオで対談かい!他局、他局!」………なんてことではない部分で笑いになるのだが…。本編は太田が海老反りになりながらゲラゲラ笑うシーン多めながら、言っている内容は結構重め。太田「その杖、仕込み刀だろ?」のようなボケもありながら、

太田「自分が噛んだのに優勝したっていうのずっと引っかかってるんだろ?そういう立場(盲目)だから、お情けで投票してもらったと思ってるんだろ?…青いな、お前は。(中略)どんどん武器にしていけばいいんだよ」

「青いな、お前は」の言い方含めてカッコよかった。実際、爆笑問題は漫才する時は太田か田中のどっちかが1回は噛むね()この少し後の「言っていることはくだらねえのに」、「見えないからワンパターンで」の辺りも印象的。ワンパターンでもウケていればいい、という意味合いの方が太田の中でも大きいんだろうけど。

そういえば「R-1で普通の漫談で成立させたのがすごい」みたいなこと言っていたけど、あべこうじについてはどう思っているんだろう?まあキャラ加工が入っているっていう意味では普通の漫談じゃないか?

太田「作りやすいから時事ネタやってるってだけで別にこだわりとか、社会に物申したいとかないんだよ」

と、常々インタビューで公言している話しから

濱田「自分もウケるから目が見えないっていうネタやってるだけで、障害者として物申したいとか、バリアフリーが広がれとか全く思っていない」

太田「むしろ狭まれ、って思ってるだろ?」

濱田「ヤバいヤバい、バリア欲しい」

太田光が最も尊敬する芸人と言い続けている立川談志は「お笑いとは人間の業の肯定」と言っていたし、太田光自身も「お笑いは人間が不完全なことの証明」と言っていたと聞く。そんな太田が、視覚障害者の立場でのぼやき漫談をメインとする濱田佑太郎に言った、「むしろ狭まれって思ってるだろ?」。…改めて考えさせられる一方、考えないのが正解な気がする。

漫談を挟んだ後のオチがまた声出して笑った。

太田「TBSラジオのキャッチコピーが『聞けば、見えてくる』なんだよ」

濱田「TBSラジオ、大阪入らないんですよ。僕TBSラジオ聞いていたら今頃は見えてたのかもしれない」

そんな、「聞けば、見えてくる」でお馴染みのTBSラジオマイナビラフターナイトという「ネタの舞台をラジオで流すネタ番組」という結構無謀なネタ番組をやっていたりする。

 

  • 漫談

最後によしもと漫才劇場で、今回の企画からできた漫談をする、という。ここまでのおさらいかと思いきや意外にそんなことはなく、むしろ逆に漫談に出てきた件はカットしてその分、他の件のOA量を増やしている。本気が伝わるね(3回目)。鈴木奈々の同じことを2回言う癖が「鬱陶しいと思う人もいるかもしれないんですけど、視覚障害からしたらめちゃくちゃありがたいんですよ!(中略)ナイスヘルパー!」と言われたり、一方で「『お酒の飲めるBarに入ります、ってBarって大体お酒飲めるやろっていう」と、鈴木奈々らしいこれまた盲目関係ないエピソードを出してきたり。運転のエピソードでは、教官が「信号見て!」、太田光との対談でも「(白杖を持って出てくるのはあざといという件から)盲導犬連れてこい、と。そんで盲導犬も全然言うこと聞かへん、野良犬捕まえてこい、言われて…」白杖があざといという件はカットされていなかったが、野良犬の件は漫談で初出し。うーん、いい編集。

 

 

  • 総評

濱田佑太郎の平場での面白さ、「メッセージ性は特にない」というスタンス、企画への順応性の高さが再確認できる良い特番だった!面白かったし、濱田本人が終始楽しそうなのがよかった!

*1:前回の記事…というよりはWikipediaの濱田佑太郎のページの「芸風」の項を参照