笑えないネズミ講を笑う人々

ネズミ講。それはマルチ商法とも呼ばれ、「誰かがある人に商品を売る。この時ある人はn人に売る分も買うが、n人がそれを買うとある人自身にもマージンが入る。そして、ある人から商品を売られるn人もn人分ずつ商品を買い、n人に売る。するとある人から商品を買ったn人の人々にも最初に商品を買ったある人にもマージンが入る…これを繰り返すとみんなにマージンが入ってみんなハッピー」という商売である。もちろん、みんなハッピーになるはずがないことは世間の常識である。学校で習ってないとは言わせないぞ、家庭科の教科書にも載ってるんだからな。なぜみんなハッピーになれないかまでは書いてなかった気がするけど。

さて、みんなハッピーどころか金も友も失ってアンハッピーにしかならないことでお馴染みのネズミ講であるが、未だにネズミ講に引っかかる人々というのは後を絶たない。なぜだ?常識だぞ?家庭科の教科書にも書いてあるぞ?そして、何より散々お笑いのネタにされまくっているぞ?

 そう、ネズミ講は散々お笑いのネタにされている。弊ブログの閲覧者数の柱でお馴染み、キングオブコント2017でもパーパーというコンビがネズミ講(マルチ商法の方の言い方を採用していたが)をモチーフにしたボケが出てきたし、ガキ使の笑ってはいけないシリーズの2011年(ホテルマン)の未公開シーンでも板尾創路が「大石神教」という新興宗教の教祖を熱演し、怪しい石をネズミ講で売り、ガキメンバーを爆笑とケツバットの渦に巻き込んでいた。また、初期のはねトびでも「グローバルTPS物語」というロバート秋山マルチ商法で怪しいネックレスを売りつけるコントがあった。あとはラバーガールなんかもネズミ講のネタをやっていた気がする。これほどまでにネタにされまくっているにも関わらず、この国にはネズミ講で商品を爆売れさせようとする会社と、その会社の思惑に乗っかって大量の商品を在庫として購入してしまうアホがいるのである。志村けんも「常識は基本線で、お笑いはその常識をひっくり返すところで、コントとして成り立っている」という言葉を残しているが、ネズミ講をモチーフにしたお笑いで笑っている常識的な人々が今日もどこかにいる一方で、ネズミ講で儲かると思って商品を買って友人を勧誘する非常識な人々も今日もどこかにいるのである。ネズミ講で儲けようとしている会社の社員や、その会社の商品を買って一儲けしようとした人々、そして友も金も失い在庫だけが残った人々は、ネズミ講をモチーフにしたコント(あるいは漫才)を見て、何を思うのか?これが気になって仕方なくなってしまったのである。別に「ネズミ講を笑いにするな!ネズミ講の被害者に配慮しろ!」など言うつもりは全くないが、単純な野次馬根性で気になって仕方なくなってしまったのである。コントの中の人より非常識でアホな人がいるという事実が、その人たちが、ボケとしてその人たち自身のような人が出てくるコントを見ることがあるかもしれないということがただただ気になってしまったのである。ネズミ講に騙されてる人とかネズミ講に誘ってくる人とか周りにいねえからなあ…DMかなんかで募らないことにはわからないよなあ…でもインターネットで知り合ったネズミ講被害者に会うってのは普通にリスクが高すぎるよなあ…。

君はネズミ講を笑える人か?騙される人か?

 

 

 

 

 

 

ところで最近、いい商売があるんだ。磁気枕っていう磁力が安眠を促す枕でね。これを10人に買ってもらうと君にマージンが入る。さらに君の枕を買ってくれた10人が………

 

 

(おしまい)