マクガフィン物語

マクガフィン (MacGuffin, McGuffin) とは、何かしらの物語を構成する上で、登場人物への動機付けや話を進めるために用いられる、仕掛けのひとつである。登場人物たちの視点あるいは読者・観客などからは重要なものだが、作品の構造から言えば他のものに置き換えが可能な物であり、泥棒が狙う宝石や、スパイが狙う重要書類など、そのジャンルでは陳腐なものである。

(Wikipediaマクガフィンの記事より引用)

 

マクガフィン博士は大変興奮していた。というのも、マクガフィン燃料の開発がいよいよ大詰めだったからだ。マクガフィン燃料は石油を利用せずに作ることのできる全く新しい燃料である。これを使えばマクガフィンマクガフィンマクガフィンなどは一切石油を使わずに動かすことができる。そして、マクガフィン燃料は化石燃料と違い、燃やしても温室効果ガスが出ない。さらに、マクガフィン燃料は化石燃料より安いのだ。マクガフィン燃料の開発終了はエネルギー問題の解決を意味していた。まさにマクガフィン燃料は人類の夢であった。

「ガチャン!」

突然マクガフィン博士の研究室の窓ガラスが割れた。そして、割れた窓の前には男が立っていた。

「誰だ!?」

マクガフィン博士は尋ねると彼はこう答えた。

「私はマクガフィン王国軍のスパイだ。今すぐマクガフィン燃料の現物と製法をこちらに渡せ。命令に従わないと、このマクガフィンマクガフィンするぞ!これでマクガフィンされたら痛いだろうなあ…」

「そ、そんな…。いや!得体の知れない者にマクガフィン燃料を渡す訳にはいかない!名前を言え!あとマクガフィン燃料を持っていく目的も聞いておこう…!」

「フン!いいだろう!俺はマクガフィン王国の軍事スパイ。名前はマクガフィンだ!マクガフィン燃料を使えばマクガフィンマクガフィンなどを動かせる、それにマクガフィン燃料の爆発力を使った兵器なんかも作れる…それが俺がマクガフィン燃料を求めている理由だ!わかったらマクガフィン燃料とその製法をこちらへ渡せ!」

「な…!?マクガフィン燃料は人類の夢だ!お前のような奴の暴力に加担するために使わせるわけには行かない!」

「そうかそうか。では、このマクガフィンマクガフィン博士を痛めつけるしかねえなあ…。」

「そんな…」

マクガフィン博士は途方に暮れていた…。すると、

「ガチャン!」

とまた別の窓ガラスが割れた。

「誰だ!?」

「俺はマクガフィン共和国軍のスパイ。マクガフィン博士よ、マクガフィン燃料をこちらによこせ!」

「何だと…どうせ、あれだろ!貴様も戦争のためにマクガフィン燃料を使おうとしたんだろ!」

「ほう、話が早いな…ん?待てよ?『貴様も』ってどういうことだ?」

するとここで、マクガフィン王国軍スパイが

「フン!一足遅かったようだねえ。マクガフィン燃料には先客がいたんだよ、マクガフィン共和国のスパイさん。というわけでマクガフィン燃料は我々マクガフィン王国がいただくぞ!」

もちろん、マクガフィン博士はどちらにも渡したくはない。しかし…。

「俺に渡さないと酷いぞ!このマクガフィンで貴様の足を撃つ!あえて脳天ではなく、な…」

「いや、マクガフィン共和国の未来のために俺に渡すべきだ。何しろマクガフィン燃料があればマクガフィン共和国の世界統一計画は完遂できる。そうなれば、世界は一つになるんだ。」

と、互いに一歩も譲らぬ舌戦が続いている。どちらかに渡さないとマクガフィン博士の身が危ういし、マクガフィン燃料に関する記録が残ったマクガフィン博士のレポートも強奪されかねない。そこで、マクガフィン博士はマクガフィン燃料に関するレポートにマクガフィンで火をつけた。

マクガフィン博士!何をしている!」

二人のスパイは叫んだがもう時すでに遅し、マクガフィン燃料の作り方はもうマクガフィン博士の頭の中にしかないのである。

「やい!マクガフィン共和国のスパイ!お前が後から来なければこんなことにならなかったんだ、死ね!」

「何を!最初にマクガフィン博士を襲ったのはマクガフィン王国だろ!」

そう言い合って、両者は喧嘩を始めました。そして最終的にマクガフィン王国のスパイはマクガフィン共和国のスパイによって殺されてしまいました。

このニュースはマクガフィン王国全土で流された。そして、マクガフィン王国の国民の怒りはマクガフィン共和国に集中した。そして、マクガフィン王国がマクガフィン共和国に宣戦布告し、戦争が始まるのにそう時間は要さなかった。

マクガフィン王国とマクガフィン共和国の戦争は10年以上も続き、多くのマクガフィンマクガフィンが飛び交い、多くのマクガフィンマクガフィンが落とされた。マクガフィン王国の首都マクガフィンも、マクガフィン共和国の首都マクガフィンも焦土と化してしまった。そして多くの人が死に、多くの文化も失われた。

その様子を見たマクガフィン博士は、

「私がマクガフィン燃料を開発しなければ、こんなことにならなかったのに…」

と自らの研究を悔いた。

そして、マクガフィン博士は研究室にあったマクガフィンを飲み、命を絶ってしまったのである…。

(おしまい)