保毛尾田保毛男とは何だったのか?

作者注:最後にクイズがありますが正解したからと言ってハワイ旅行などをプレゼントすることはしませんし、できません。なお、答えは「4」です。

 

 

2017年9月28日、とんねるずのみなさんのおかげでしたの30周年記念2時間半スペシャルが放送された。30周年だって、すげえなオイ。30年って言ったらだいたい犬3匹分だからね。いやー、すごい。あまりにもすごいので普段はみなおかを見ない私も録画して見てしまった。

さて、そんなとんねるずのみなさんのおかげでしたの30周年記念2時間半スペシャル(以下、みなおかSP)が波紋を呼んでいることは読者もご存知であろう。

とんねるず“保毛尾田保毛男”が深刻な差別を孕んでいると気付かないフジテレビの愚行 http://wezz-y.com/archives/50304 

あまりに波紋を呼びすぎていて、どのニュースを使えばよかったか分からなかったがざっくりまとめると「みなおかSPで石橋貴明扮する保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)なるキャラクターが同性愛者を差別嘲笑しているとして苦情が殺到した」というニュースである。

私はみなおかSPを録画で2時間半ぶっ通しで見たが、この話題は録画を確認する前から知っていた。しかし、見終わってみると保毛尾田保毛男が同性愛者差別には見えなかったのである…、というのは異性愛者の傲慢なのだろうか?

でも、やっぱり保毛尾田保毛男を批判する人には、「ちゃんと番組見た?」と問いただしたくなってしまう。というわけで、なぜ、保毛尾田保毛男が同性愛者差別に見えなかったのか?その理由を、みなおかSPを振り返りながら考えてみよう。

みなおかSPは3つのコーナーで構成されていた。まず1つ目は「祝っていいとも!」。これは笑っていいとものスタジオや演出を丸コピしつつ、司会はとんねるずの二人が行い、テレフォンショッキングのゲストとしてタモリを呼び込んだり、アルタに呼びつけた鶴瓶を雨の中バイクのサイドカーに載せてフジテレビまで移動させたりしていた。このコーナーは30分程度でスパッと終わった。

残りの2時間だが、「ビートたけしと銀座を食べ歩く祝賀会」と「みやぞんの部屋でホームパーティ」のコーナーを「たけし祝賀会→みやぞん祝賀会→たけし祝賀会」とサンドウィッチ型にすることでたけしの件を後半に引っ張る構成になっていた。そして、保毛尾田保毛男が出たのはたけし祝賀会の方である。

たけし祝賀会では、ビートたけし木梨憲武もそれぞれ、鬼瓦権蔵とノリ子というキャラクターに扮しており、キャラクターの入った3人で銀座を食べ歩きするという企画だった。さて、オープニングではたけしの「お前ら別の国だったら死刑だからな」 や、木梨の「ホモなんですって?」に対して保毛尾田が「あくまで噂なの」とナヨナヨした口調で返すシーンはあった。が、このコーナー開始5分で保毛尾田のキャラは失速。前述のようなナヨナヨした口調だとか、ビートたけしに抱きついてキスでもするというわかりやすいホモキャラっぽい行動は一切出なくなった。ルーレット*1でも石橋と呼ばれていたし、見た目以外は完全に素の石橋だった。松崎しげるを呼んでおいて、思いっきり歌を遮るだとか、とんねるずが珍しく熱湯風呂に入るだとか、そういう件はあった。とりわけ、ビートたけしみなおか30周年を表彰すると称して、「とんねるずがフジテレビに取り入ったおかげであることは言うまでもありません」だとか「後輩たちには時計を買わせるくせに、自分たちは何も買わず、顰蹙を買う」だとか、とんねるずを延々disる表彰状を読むシーンは大変共感したし、めちゃくちゃ笑った。ところが、石橋貴明が保毛尾田という同性愛者であるという設定を活かした件はなかったのである。

せっかくなので、みやぞん祝賀会の方も振り返ってみよう。これは、とんねるずとずん飯尾が、みやぞんには自宅が会場であると伝えずに「祝賀パーティやるから来いよ」と誘い、強引に祝賀会をみやぞんの家で開くという非常にとんねるずらしいというかみなおからしい企画である。内容も、みやぞんが潔癖と知りながら、石橋貴明が部屋の私物を少しずつ傾けたり、鏡開きで部屋を酒まみれにしたり、生きた鯛をみやぞんの私物のテーブルの上に置いたり、肉を持ってきたあらぽん*2を早々につっ帰したり、後輩の歌ネタ芸人が持ってきた祝いの歌の途中で雑談して遮ったり、みやぞんの母が突然祝賀会に参加して最終的に美空ひばりのマネして出てきたり、石橋貴明美空ひばりの衣装を着たみやぞんの母の衣装のヒモをキツく締めたりみなおからしさ全開の企画であった。特に、歌を遮るという件はみやぞんの祝賀会でもたけしの祝賀会でも出てきている。

この2コーナーだけでもたまらないのだが、CM前後に「30周年の名シーンを振り返るミニコーナー」もあったが、このミニコーナーで振り返る名シーンがまたたまらない。「コント中に、石橋貴明宮沢りえの股間に小道具の斧を差し込むシーン」だとかゴルゴ松本の椅子の後ろの壁が開いて、ゴルゴ松本がウォータースライダーに落とされるシーン」だとか三田友梨佳アナウンサーの鼻にサワガニを挟むシーン」だとかそんなシーンばっかりが延々と流れるのだからたまらない。いかに、とんねるずが30年間セクハラと暴力だけで凌いできたかがよくわかる。好きな人にとっては懐かしいシーンだったんじゃなかろうか?

こうして見渡してみると2時間半のみなおかSPで石橋貴明保毛尾田保毛男として、ホモを笑い者にしていた時間など皆無なのである。石橋貴明にホモキャラは憑依していなかったし、ホモを馬鹿にした演技やボケをかますこともほとんどなかった。それでもLGBTの団体だとか、ただ単に騒ぎたいだけのクレーマーだとかはフジテレビに苦情を入れるんだろうか…?苦情を入れる人々は、石橋貴明がホモキャラで笑いを取れていると本当に思っているんだろうか?僕は甚だ疑問なのである。

 

Q、この文章を通して作者が最も批判している対象はどれか?

1、フジテレビ

2、ただ単に騒ぎたいだけのクレーマー

3、ビートたけし

4、とんねるず

 

*1:ビートたけしが用意した、撮影許可を取りに行く人が誰かを決めるルーレット。なお軸の回転が非常に固い

*2:みやぞんの相方