めちゃめちゃイケてる少年

むかしむかし、ある所に村がありました。村には牧場と畑があるだけで、娯楽などはなく、TVだけが村人の楽しみでした。

そんな村には、才蔵という羊飼いがいました。彼は羊飼いとして毎日牧場に来ては、狼が来て羊を食べないように見張ったり羊にエサを与えたりしながら暮らし、17時に定時退勤すると月曜日にはHey!Hey!Hey!を見て、水曜日にははねトびを見て、土曜日にはめちゃイケを見て、日曜日にはこち亀のアニメを見るという他の村人と同じような平和な暮らしをしていました。

 

…しかし、ある時羊飼いの才蔵にピンチが訪れます。こち亀のアニメが終わってしまったのです。さらに、他のフジテレビの番組を見ると、かつてバラエティ界を引っ張ってきたあのフジテレビは見る影もなく、韓国の情報と、ゴテゴテにテロップの盛られたしょーもないバラエティ番組しか流せないフジテレビがそこにはあったのです。「このままでは暇すぎる…どうしよう?」頭を悩ませた才蔵はあることを思いつきます。

 

 

ある日の朝、才蔵は村じゅうに響く大声でこう叫びました。

めちゃイケが打ち切りになるぞ〜!」

すると村人は「え?ついにめちゃイケも…?」、「確かに一時期よりは面白くなくなっていたが…」、「クレームクレームでがんじがらめだったから…」などと感想を口々に言い合いました。ところが、めちゃイケは打ち切りになりませんでした。そうです。これは才蔵の嘘だったのです。そして、村人はTVの中で岡村隆史が良くも悪くもいつも通りなのを見て「才蔵に騙された…」と気づくのでした。

 

水曜日、才蔵は全世代で人気第一位の鍋でお馴染みのキムチ鍋をつつきながら、はねトびを見ていましたが、はねトびでは女芸人が俳優に弁当を作るというカスみたいな企画をやっていました。「あー、暇だなあ…そうだ。またアレをやるか。」

 

次の日の朝、才蔵は村じゅうに響く大声でこう叫びました。

めちゃイケが打ち切りになるぞ〜!」

すると村人は「とうとうか…」「ここんところ面白くなくなっているとは思っていたんだ…」などと口々に感想を言い合いました。しかし一方で「才蔵はかつて嘘をついていた。それにフジテレビだって納豆のことで嘘をついていたこともあったはずだ」という村人もいました。しかし、そのような村人の意見はごくわずかで聞き入れられることはありませんでした。ところが、めちゃイケは打ち切りになりませんでした。そうです。これは才蔵の嘘だったのです。そして、村人はTVの中で岡村隆史が良くも悪くもいつも通りなのを見て「才蔵に騙された…」と気づくのでした。

 

さて、ある水曜日、才蔵にとっても村人にとっても大きな事件が起こりました。はねトびが終わってしまったのです。(これから水曜日はどうやって暇を潰せばいいんだ…)村人みんながそう思いました。

 

 

次の日の朝、才蔵は村じゅうに響く大声でこう叫びました。
めちゃイケも打ち切りになるぞ〜!」

すると村人は「そうか、今のフジテレビにはめちゃイケを維持する力もないのか…」「確かに今のめちゃイケは時代にも合ってない…」などと感想を口々に言い合いました。少し通な村人は「はねトびめちゃイケも、元々新しい波という番組がルーツだったんだ…めちゃイケも打ち切るのは仕方あるまい…」と言って村人たちをなだめていました。ところが、めちゃイケは打ち切りになりませんでした。そうです。これは才蔵の嘘だったのです。そして、村人はTVの中で岡村隆史が良くも悪くもいつも通りなのを見て「才蔵に騙された…」と気づくのでした。

 

ある日、才蔵がフジテレビの番組で一番楽しみな「古畑任三郎の再放送を録画した奴」を見ていました。すると、堺正章演じる犯人がギネス級の速度で古畑に尻尾を出すシーンで、ある衝撃的なテロップを見ました。「ニュース速報:ナインティナイン岡村隆史、芸能活動休止」そのテロップを見た才蔵は驚きすぎて、犯人はなぜ人を殺した後すぐに離れずに、わざわざお湯を沸かしてお茶漬けを食べたかなんてどうでもよくなってしまいました。そして才蔵は翌朝、あることをしようと考えました。

 

 

次の日の朝、才蔵は村じゅうに響く大声でこう叫びました。
めちゃイケが打ち切りになるぞ〜!」

すると村人は「岡村隆史が活動休止するんだから仕方ないな…」「新メンバーを募集すると言ってたような気もするが、肩透かしなのかな…」「ラジオでも『嫌なら見るな』とか言ってたし、おかしかったんだな」などと感想を口々に言い合いました。ところが、めちゃイケは打ち切りになりませんでした。そうです。これは才蔵の嘘だったのです。そして、村人はTVの中で岡村隆史が良くも悪くもいつも通りなのを見て「才蔵に騙された…」と気づくのでした。

 

 

ある日、才蔵はサックスをリサイクルして作ったシャワーを浴びながら 、(あーあ、何か変化をつけたいよなあ…)と考えごとにふけっていました。シャワーから出てTVをつけると、道の駅でじゃんけんをして勝った奴がクッソでかい木彫りの人形を自費で買う企画が流れていました。「これだ!」才蔵はそう叫びました。

 

次の日の朝、才蔵は村じゅうに響く大声でこう叫びました。
みなおかが打ち切りになるぞ〜!」
すると村人は「とんねるずの笑いも今の時代には合わないんだよな…」「後輩に時計買わせるなんてパワハラだろ」「汚い店行く企画で国際的に揉めたもんな」などと感想を口々に言い合いました。中には「みなおかって何?」という村人もいましたが、そんな村人には「とんねるずのみなさんのおかげでした、の略だよ」というともれなく目ん玉を飛び出させて驚いていました。ところが、みなおかは打ち切りになりませんでした。そうです。これは才蔵の嘘だったのです。そして、村人はTVの中で石橋貴明が良くも悪くもいつも通りなのを見て「才蔵に騙された…」と気づくのでした。

 

ある日、才蔵が他人のトラクターにバスケットボールをぶつけまくって破壊していると、トラクターの持ち主が家から出てきて、才蔵は大目玉を食らってしまいました。才蔵は「すみません、暇だったんです…」と言い訳しました。するとトラクターの持ち主は「もっと人に迷惑をかけない方法で暇を潰しなさい。」と答えました。(人に迷惑をかけない暇つぶし…あれしかないな…)と才蔵は思いました。

 

 

次の日の朝、才蔵は村じゅうに響く大声でこう叫びました。
めちゃイケが打ち切りになるぞ〜!」すると村人は「とうとうめちゃイケも終わりだよな…」「新メンバーの三中とかいう奴、あれ何なんだよ」などと感想を口々に言い合いました。しかし、一方で「才蔵は嘘つきだ。才蔵が『めちゃイケが打ち切りになる』と言って打ち切りになったためしなどないじゃないか」と才蔵のいうことを信じない村人も着々と増えていました。そして、めちゃイケは打ち切りになりませんでした。そうです。これは才蔵の嘘だったのです。そして、才蔵の言うことを信じていた村人はTVの中で岡村隆史が良くも悪くもいつも通りなのを見て「才蔵に騙された…」と気づくのでした。

 

 

 

 

ある日、才蔵が友達の引っ越し祝いにとわざわざ山を二つ超えて出向き、友達の新築の家でカレーフォンデュパーティをしていると、その友達が口を開きました。「めちゃイケ、今度の春で終わるんだって。」これを聞いた才蔵は(早速明日の朝、村のみんなに伝えないと…!)と思いました。

 

次の日の朝、才蔵は村じゅうに響く大声でこう叫びました。
めちゃイケが打ち切りになるぞ〜!」

しかし、もう村人に才蔵の叫びを信じる者はいませんでした。「どうせ嘘だ。これまでも打ち切りにならなかったじゃないか。」「めちゃイケはここまでずっと終わらなかったんだ。今更終わるわけない。」村人はそう言い合いました。

 

 

ところがです、春になると本当にめちゃイケは終わってしまったのです。村人たちは「どうして…どうして…?」「終わるなら終わると誰も言ってくれなかった…なぜだ…!?」「山本は!?ねえ、山本は!?」と悲しみに暮れました。そんな村人たちに対し、才蔵はこう言いました。「ね、終わるって言ったでしょ?」

 

 

 

この一言は村人たちの怒りを買い、今まで騙されたぶんの怒りもあって、才蔵は狼がウヨウヨいる山の頂上に閉じ込められてしまいました。

 

このように、嘘をつくと、誰にも信じてもらえなくなるし、狼に食べられてしまうこともあります。みなさんも嘘をつかないようにしましょうね。

 

(おしまい)