1、オタクに関する話(序論)
どうも、こんばんは。
先日、私がいつものようにアホ面を晒しながらTwitterのTLを遡ってますと、オタクに関するある説が流れてきました。
オタクは現実と虚構を分けるスペシャリストだ。
と。一次ソースは貼らないけど、本当でしょうかねえ。どっかのイキリオタクがアディダスの財布をクチャクチャしながら考えた説なんじゃないですかねえ。
でも、この説を見て僕は思い出したことがあったんです。
2、お笑いに関する話
突然ですが、僕の好きなものの一つに「お笑い」があります。何で好きかって面白いからですよ、やっぱり。アニメでもドラマでも面白いものはある。でも「お笑い」が一番面白い。そりゃそうでしょ、餅は餅屋、ケーキはケーキ屋、お笑いはお笑い芸人、と相場が決まっています。
だから、エンタの神様だとか爆笑レッドシアターだとかと言ったTVのネタ番組というのは自分は欠かさず見てたし、みんなも見てるもんだと思っていました。「視聴率が悪いので打ち切り」というニュースを見るまでは。
M-1グランプリとかキングオブコントとかみんな楽しみにしてないんですか?してないみたいですね。聞くまでもなく数字が物語ってやがりますねチクショウ!
というわけで、現在のTVの少なくとも地上波には「毎週やってるネタ番組」というものはありません。エンタの神様もイロモネアもレッドカーペットもあらびき団も爆笑オンエアバトルもみんな終了か特番化してしまいました。
そのせいか*1、TVのネタ番組が思わぬ事態を迎えているんです!ピンチなんです!思わぬ事態が何なのかはこれから説明するしそれが冒頭の話とリンクするんだけどその前に結論を先走ると、オタクにこそお笑い見てほしいんだよ!お前だよお前!そこでブログ読んでる、「TVつまんねーからもう見ねーわ」とか吐かしながら深夜アニメだけは毎週マメに録画するなりネット配信なりできっちり見てるお前だよお前!お前にお笑いを見ろっつってんだよ、お前に!
3、 クローズアップ現代〜悲鳴を上げる観客〜
えー、前章終盤だいぶ取り乱して太字まで使ってしまいましたけれども、そもそも前章で書いた 「TVのネタ番組での思わぬ事態」とは何なのかって話で。そのためには2016年10月2日まで遡らなくてはなりません。2016年10月2日といえば、そう、みんな大好きキングオブコント2016の日ですね。
ちょいちょいTwitterでも言ってるんですけどもこのキングオブコント2016が酷かった。いや、コントは面白かったですよ。全組面白かったと言っていい。ただ、問題はタイトルにもあるように観客ですよ観客。お前ら、悲鳴上げすぎ。血を見せただけで悲鳴を上げるし*2、小銭めっちゃ出しただけで悲鳴上げるし*3、流れ的にブルマ履いてるとしか思えないタイミングでブルマ履いてたところで悲鳴上げるし*4、童貞というワードを連発するコントでは終始引いてたし*5ほんと笑いより悲鳴が多かったんじゃないすかねこの群衆*6は。かまいたちの1本目の初っ端は悲鳴上がったらダメな奴だろあれ*7。ステージの向こうで何をこんなに怖がることがあるんだバカタレが。しかも気に食わないのが、拳銃で撃たれても血を出した方*8、は悲鳴上げるのに血を出さなかった方*9は悲鳴上げないあたりこの人だかり*10シンプルに頭悪いんだなと。こんなに女って頭悪い人しかいないんですかね?だとしたら、もう恋なんてしないですよ。いやいや、もし君に一つだけ言える強がりとかじゃなくて。本当に本当に君が大好きだからとかじゃなくて。「なんて?」じゃねえよ「なんて?」じゃ、言う派なの俺は!言うの、絶対!
しかも、タチの悪いことはネタ番組の観客が悲鳴を上げるというのはキングオブコント2016に限った話ではない、ということ。全てのネタ番組を見たわけじゃないけど3-4個に一個は観客が悲鳴を上げる客層ですね。前からそういう客層のネタ番組はあったけどここ1-2年くらいで如実に増えた印象がありますね。「今日M-1決勝にカミナリ*11出るみたいだけど観客*12悲鳴上げねえかなあ」って何でこっちが気を揉まなあかんねん、ふざけんな。
4、お待たせしました現実と虚構の話
さて、ネタ番組で悲鳴を上げる観客が増えた原因として
芸人がネタでやる笑いがどんどん先鋭化した*13。
というのをあげる人がいます。どんどんシュールに、ニッチに、ブラックになっている、だから観客は笑わないし何なら怖がる、ということなんでしょう。
しかし、私は小学生の頃からエンタの神様、M-1グランプリを見ていましたし、キングオブコントも第二回から欠かさず見ていました。そこでは正直、笑えないネタ*14もありました。でも、悲鳴は上げなかったな、上げたとしても「え…」くらいであんなにギャーギャー上げなかったな、と。
ではなぜ、最近のネタ番組の観客は悲鳴を上げるのか。これは
観客の人々がほとんどネタ番組を見ていないから
ではないかと。数年間、ネタ番組を地上波で垂れ流さなかったツケが想像だにしない形で投影されたんですね。そして、なぜ「ネタ番組を見ていないで育った観客はネタを見て悲鳴を上げやがるのか?」という問いには
現実と虚構の区別がついていないから。
という結論が出るんじゃないかと。第1章の説を考えたときそういう形でリンクしたんですね、私は。そもそも考えてみると、コントで描かれてることって大体実際起きると嫌なんですよね。例えば、何かしらかの店行って、店員にサンドウィッチマン富澤みたいな接客されたら嫌だし、空き巣に入られたとき交番行ったら警官にインパルス板倉*15みたいな応対されても嫌。東京03のコントに至っては9割がた揉め事ですからね。あいつらいっつも喧嘩してんな。
でも、それを見て僕が笑っているのは画面の中だとかステージの上だとかでしか起きてないってどこか割り切って見ている、つまり現実と虚構を区別しているということだったんですね。考えたこともなかったけど。
5、距離感の話
長い文章*16ですがいよいよ最終章(ただし総評は除く)です。最終章でいきなり食べ物の話するのも恐縮なんですが「ざるそば」ってあるじゃないですか?あの、蕎麦をそばつゆに浸して食べる奴。食通曰く「麺をジャブジャブ浸すんじゃなくて、1-2割くらいつゆに漬けずに食った方がいい」って奴。この最後の「食通のアドバイス」。人によっては「うるでーばか」で済ます人もいるかもしれないですけど、個人的な持論として「確かに、蕎麦をちょっと浸さない方が蕎麦の味がして旨い」と思っています。
このようにざる蕎麦一つとっても一番旨い食べ方があるように、お笑いにも一番面白くなる見方ってあると思うんです。そしてそれは、登場人物にガッツリ感情移入しすぎないことつまり、芸人のネタなんて全部嘘なんだから現実と切り離すことだと思うんです。そんなことを僕は無意識にやっていたのに、できない人がよりによって、ネタ番組の観客にいるんです。だから、今こそオタクにお笑いを見てほしいんです。アニメをアニメとして愛せるそこの君ならコントをコントとして、漫才を漫才として笑えるはずなんです。そしてキングオブコント2017の観覧を普段から「声優をママにしたい」だの「アニメキャラをぶち犯したい」だの「お前らそれキングオブコント2016の観客の前でも同じこと言えんの?」と言いたくなることをツイートしてるようなオタクで埋め尽くしたいんです*17。
もっというと、この距離感っていうのは芸人のネタではなく現実で起こるあらゆる事象に言えることだと思うんですね。というのも松本人志は、チキンライスという曲の歌詞で「最後は笑いに変えるから」という一節を書いています。辛いことや悲しいこと、怒ったことを全部すべらない話に変えられたら素晴らしいと思う反面、笑いごとでは済まされないくらい辛いことや悲しいことがあるのも仕方ない。この2つの違いは出来事と自分の距離だと思うんですよね、やっぱり。
6、総評
*1:あくまで憶測なので「か」
*5:だーりんずの1本目のこと。これに関してはこういう客層で決勝やるってわかってて決勝進出させた準決勝の審査員が悪い
*7:実際には山内の力で意外と(?)取り返していたけど
*8:しずるの1本目。無論血糊
*9:ライスの1本目
*11:ボケをそこそこ泳がせてから頭を思いっきり叩いて叫ぶツッコミが特徴の漫才師
*12:この観客は頭叩くのはOKだけど頬を叩くのはNGだったので個人的に大きな謎となっている
*13:実はこの2010年代におかしな店員のボケに客がツッコミを入れる、というコントをやってる芸人はほとんどいない
*14:単純につまらないネタもあれば先述の通りあまりに難解だったネタもある
*15:キングオブコント2009より。けしてホモガキに媚びたわけではない
*16:じゃあ書くな
*17:ここに関してはさすがに我ながらイキリっぷりが酷い
*18:再生数のために面白いと思って犯罪行為に手を染めるyoutuberもこの辺がわかってない